投稿日 2022.01.27

最終更新日 2022.01.27

ビッグデータのビジネス活用事例を7つの業界別で分かりやすくご紹介します。


業界によって活用方法はさまざまですが、業務効率改善やコストパフォーマンスの改善、筆改善、売上向上など効果を出しています。またDX推進のためにもデータ活用は必要です。ビッグデータ活用する企業が増加しているなかどのようにビジネスに活用しているのかを業界ごとに分けてご紹介いたします。

金融業のデータ活用事例

金融業のデータ活用事例

ビッグデータの活用基盤を導入/auカブコム証券株式会社(カブドットコム証券)

auカブコム証券株式会社の前身の企業であるカブドットコム証券は、ビッグデータの活用にまつわる問題を解決するため、高速分析用のデータベースである「HPE Vertica」を導入し、ビッグデータ活用の環境を整えました。
投資家向けのサービスを提供する企業であったことから、一般向けに提供されている株価のデータよりも高い“リアルタイム性”が求められ、ビッグデータを活用する上でもいくつかの課題が浮上。データ量が多いのはもちろんデータ自体も非常に複雑であることから、リアルタイム性が確保できないという問題や、そもそもシステム部門とリスク管理・マネジメント部門が分断してしまっていたことなど、課題は山積みの状況でした。
その状況を打破するためにHPE Verticaを導入し、当時の課題を一つずつ解消。auカブコム証券株式会社という社名に変わってからも、金融取引業界の中で生き残るためにシステム面の強化が続けられています。

外部データの活用で景況感指数調査にかかるコストを削減/野村證券

野村證券では、社内にあるデータだけでなくSNSなどの外部データも合わせて活用し、景況感指数の取り出しに成功しています。野村證券が利用したのは、TwitterのAPI。TwitterAPIを用いて膨大な量のテキストデータを自然言語処理することで、調査にかかる時間の短縮とコストカットを実現しました。

このプロジェクトを成功へと導いたカギは、自社データだけでなくTwitterや国内主要ブログなど外部のデータも合わせて活用したというところにあります。ひと月あたり15,000件ものサンプルデータ取得にも成功し、一石三鳥もの成果をもたらしたと言われています。
 
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情報通信業のデータ活用事例

情報通信業のデータ活用事例

二次流通データを活用して顧客の行動を可視化/メルカリ

フリマアプリの開発・運営などを行うメルカリでは、新品を取り扱う企業が持つ“一次流通データ”と自社が持つ“二次流通データ”を連携させてビッグデータを活用。一次流通企業やメーカーでは、これまで一次流通までしか顧客の購買行動の後追いができませんでした。

一次流通企業やメーカーにとって、メルカリの二次流通データとの連携は、自社商品の中古市場での商品価値を知るきっかけとなります。年間94万トンもの廃棄が生まれると言われる中、二次流通データとの連携はメーカーにとっても「売れ残らない商品」を作るために重要なプロセス。

メルカリにとっては一次流通データと連携することで新たな商品を生み出すヒントにもなるため、双方にとってメリットのあるビッグデータ活用事例だと言えます。

自社開発のBIツールで企業のビッグデータ活用を支援/日立ソリューションズ

システム構築やコンサルティングなどを行う日立ソリューションズは、電子マネーの楽天edyに自社のインメモリ型BIツール「QlikView」を提供。2021年6月現在で全国86万ヶ所を超えるお店で利用できる楽天edyは、利用者・利用地点の増加によって増えたデータの管理や分析に対する負荷が大きくのしかかっていました。

そこで、データ管理・分析に関わる負荷を軽減すべく、日立ソリューションズのQlikViewを導入。営業部門、マーケティング部門での導入を進め、業務効率の向上や分析精度の向上などの実績を上げました。

その後、システム部門でもQlikViewを導入。現在は、社内システムがきちんと稼働しているかどうかの監視にも役立てられています。
 
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製造業のデータ活用事例

製造業のデータ活用事例

ビッグデータ活用のためのシステムを開発/小松製作所

建設機械や鉱山機械のメーカーとして知られる小松製作所は、ビッグデータ活用事の事例が特によく知られている製造業の企業の一つです。小松製作所では、「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ばれるIoTのシステムを開発し、重機それぞれからの情報を収集。収集したデータは社内だけでなく社外からも閲覧できるようになっており、省エネ対策や重機の保守管理に役立てられます。

また、KOMTRAXのデータは顧客にも開示されており、重機の稼働時間や作業者の名前を確認することが可能に。KOMTRAXにて収集したビッグデータを活用することで、故障原因の追究がしやすくなったりメンテナンスの迅速化が叶ったりと、さまざまなメリットが生まれています。

アクセル踏み間違いによる事故の抑制にビッグデータを活用/トヨタ自動車

自動車メーカーのトヨタ自動車では、コネクティッドカーを用いて収集したビッグデータを活用して、「急アクセル時加速抑制機能」というアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を抑制するための機能を開発。これまであった「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」の機能では、障害物がある場合に対してのアクセルの踏み間違いを抑制することはできましたが、障害物のない道でのアクセル踏み間違いには対応できませんでした。

新たに開発された急アクセル時加速抑制機能は、障害物がない道でもアクセルの踏み間違いに対応可能。アクセルペダルが全開で踏み込まれたときの“踏み方”の特徴を、コネクティッドカーにて収集したビッグデータと照らし合わせ、以上なアクセル操作の特定につなげています。
 
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小売業のデータ活用事例

小売業のデータ活用事例

<楽天>ビッグデータを活用し広告配信の精度を上げる

EC業界の大手である楽天では、ビッグデータを活用した広告配信を展開しています。楽天などのECモールは、さまざまな顧客のデータが集まるプラットフォーム。この利点を活かし、ECモールから取得したビッグデータと楽天の利用履歴を利用者のIDと紐づけて、各ユーザーに最適な広告の表示に成功しました。

また、ビッグデータの分析結果から、“更新頻度の短縮”と“ジャンルの細分化”にも着手。結果的に30%もの売り上げアップにつながり、大きな成果につながっています。

<GooDay>可視化したデータを基に営業方針を決定

九州北部を中心に、ホームセンターを展開しているGooDay。この企業ではコロナ前よりBIツールを導入し、POSデータをはじめとする社内のあらゆるデータを可視化していました。

企業内で蓄積したPOSデータや時間別来客数データ、外部の感染者数データ、Googleによる人の移動状況のデータなどを基に、営業時間を短縮する方が密を生み出すという結論を導き出すことに成功。コロナ禍に入り、他の小売店では密を避けるために営業時間の短縮などを決断する中、GooDayでは通常通り営業を続けるに至りました。

生活必需品が並ぶホームセンターは、外出自粛が要請される中でも、一定数は人の出入りがある場所。闇雲に時短営業を行うのではなく、きちんとデータに基づいて通常営業するという判断ができたのは、コロナ禍において参考にすべき事例なのではないでしょうか。
 
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行政・自治体のデータ活用事例

行政・自治体のデータ活用事例

65万人分のビッグデータを活用して健康課題の見える化を実現/静岡県

健康に対する意識が高まっている昨今。一方で、地域によって“健康格差”が生じているのも事実です。そんな健康格差をなくすべく、静岡県では65万人分の健診結果のビッグデータを活用した、健康課題の見える化を実現しました。

この取り組みのきっかけとなったのは、静岡県内でスタートした特定検診制度。特定検診は40歳から74歳までの人が受診できる健診で、結果のデータは大企業の健康保険組合や国民保険組合、協会けんぽなどに保管されています。

静岡県では、それぞれの組合の垣根を超えて健診結果のデータを収集。県内に本部を置いている全ての医療保険者へデータの要請を行い、データの収取を実現しました。収集した約65万人分のビッグデータは、分析の後“お達者度”別に市町村の地図に表示して見える化。

住民の健康意識を高めるためにも、行政として今後も取り組みを続けるそうです。

携帯やスマホのビッグデータから交流人口の動向調査を実施/新潟県

新潟県では、交流人口の動向を調査するために、携帯電話の県内運用データとスマホユーザーへのアンケート結果のデータを活用しています。携帯電話の県内運用データは、国内約7,000万台の携帯電話と訪日外国人約400万台の携帯電話が対象。このうち、新潟県内において調査対象期間内に利用されたデータを使い、県内を計7つのエリアに分けて動向を調査しました。

また、エリアだけでなく時間帯別にも動向を調査することで、来訪の目的の大半が“宿泊”であるという結果を導くことに成功。どの県・どの国からの来訪が多いのかや、どういった目的で来訪しているのかを知るためにビッグデータを活用し、観光事業の振興に役立てています。
 
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医療のデータ活用事例

医療のデータ活用事例

生体システムビッグデータから疫病システムを解明/早稲田大学

早稲田大学と国立研究開発法人 産業技術総合研究所がタッグを組み、国内生物のビッグデータ解析のための基盤を構築。バイオ分野と情報技術とを組み合わせることでさまざまな産業への応用ができると期待されていますが、一方で迅速に結果を示すための情報解析技術の開発が急がれているという背景もありました。

早稲田大学と国立研究開発法人によって設立された「産総研・早大 生体システムビッグデータ解析オープンイノベーションラボラトリ(CBBD-OIL)」は、両者の情報解析シーズ技術と早稲田大学が持っている生体ビッグデータを組み合わせ、疾病のメカニズム解明や個別化医療実現のための研究が行える施設。研究が進むことで、特効薬の開発につながったり、病気の予防や発症を予測できるのではという期待が持たれています。

エビデンスに基づいた医療政策を立案/横浜市

横浜市では、医療実態の正確な把握が求められる医療政策の立案時に、医療ビッグデータを活用しています。「YoMDB(Yokohama Original Medical Data Base)」と呼ばれる独自のデータベースを活用し、医療レセプトデータや介護データ、特定検診等のデータを分析。導き出された結果を基に、在宅医療の将来的な需要や在宅緩和ケアの実態、がんの在宅ターミナルケア患者の分析などを行っています。

2018年にはYoMDBを用いた分析結果の論文が国際誌に取り上げられるなど、その活動は世界から注目を集めています。
 
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農業のデータ活用事例

農業のデータ活用事例

ビッグデータを活用して収入を予測/ビビッドガーデン

オンラインマルシェのサービス「食べチョク」の運営元であるビビッドガーデンでは、農業向けのIoTキット「Agri Palette(アグリパレット)」と連携し、データドリブンな農業の実現を目指すための取り組みを行っています。その取り組みの内容は、食べチョクにて高評価を得ている農家へAgri Paletteを導入し、顧客からの評価とその農作物の栽培データを統合して、事前に消費者からの評価を予測するというもの。

このシステムが構築されることによって、生産者は栽培状況から収入の予測が立てられるようになります。収穫が最終段階を迎えるまで収入の予測が立てられないという農家特有の課題を、ビッグデータを持って解決に導こうというのがこの取り組みの目的。ビッグデータは、生産者の生産量と収入に対する不安をも払拭してくれる存在となりつつあります。

作物ビッグデータでスマート農業を促進/NTT・農研機構

NTTと農研機構は、それぞれ異なる組織であることから共有できなかったビッグデータを活用し、スマート農業の促進に努めています。NTTと農研機構が活用したのは、日本の農業が長年培ってきた高度な栽培技術に関するデータ。スマート農業の促進や、将来に向けた農業に関する研究や開発の効率を上げるために、作物ビッグデータを活用しています。

一方、高度な栽培技術に関するデータは、機密情報に値するデリケートなデータです。農業従事者たちが築いてきた技術を流出させないためにも、ビッグデータの活用にだけ目を向けるのではなく、情報を守ることにも力を入れています。

「秘密計算技術」を用いることにより、作物ビッグデータは暗号化状態のまま解析が可能。計算の対象となる元のデータを、誰の目にも触れさせない状態で共有・保管・分析が行えるため、これまで積極的でなかった作物ビッグデータの活用も安心して行えるようになりました。
 
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まとめ

7つ業界のビックデータ活用をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。今後も事例を増やしデータ活用参考となる内容を追記していきたいと思います。
 
ビックデータ活用に関しては経済産業省でも推進しており、データ利活用ポイント集を公開しています。(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/datapoint.pdf)データを活用することでより戦略的に経営判断、意思決定ができるようになり将来の設計を描くことができるようなります。またデータ活用なのかで新たなビジネスチャンスを発見できる機会もあります。今後もデータドリブンを主体とした経営を実施する企業は増加してくるでしょう。まだ取り組みがない企業やデータはあるけどどう活用していいかわからない企業は是非弊社( Fabeee株式会社)にご相談ください。弊社ではDX推進によるデータ活用のノウハウを持っており、コンサルティングから開発まで上流から下流工程まで伴奏してサポートが可能です。
 

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー