【小売業】ビッグデータの活用事例15選!メリットやその方法を解説

2021.10.06

2021.10.06

DXのあるべき姿を考える


デジタル化が進む昨今、企業ではビッグデータをいかに活用するかということがキーポイントとなっています。特に小売業ではEコマースやモバイルデバイスが普及しているため、ビッグデータの活用が欠かせない状況です。

そこで今回は、小売業に特化してビッグデータの活用事例をピックアップします。ビッグデータの活用を成功させている企業がどのような工夫を凝らしているのか、見ていきましょう。

小売業のデータ活用の背景

小売業のデータ活用の背景
スマホが普及したことにより、人々にとって情報手段ツールの要となったインターネット。ターゲットとなる人々が、インターネット上でどのような情報を見てどのような行動を起こしているのかというデータは、マーケティングを行う上で欠かせない存在となりました。

また、小売業においては顧客の要望に対応すべく、新製品の開発やオペレーションの効率化などを常に意識しなければいけません。多様化する顧客の要望に応えるには、日々蓄積されてきたデータの活用は必須。「買い物の利便性向上」・「決済の手間の軽減」という小売業にとっての永遠の課題とも言えるこの二つのポイントをおさえるためには、ビッグデータの活用が欠かせないのです。

今や、ビッグデータの活用なしでは企業の成長はありえないと言われるほど、小売業にとってもその存在の影響力は大きなものとなっています。小売業において、ビッグデータの活用は特に重要なアクションの一つなのです。

小売業のデータ活用事例15選

小売業のデータ活用事例15選
ビッグデータを活用しながら、新たなビジネスのチャンスを手にする企業も増えています。ここからは、実際にビッグデータの活用に成功した小売企業の事例をご紹介します。

<ヤクルト>データの活用・分析から売上15~20%アップに成功

乳酸菌飲料メーカーとして知られるヤクルトでは、消費者の購買データだけでなく気象データや広告へのアクセスデータ、Google検索結果などを基に、購買行動に対する知見を獲得しました。従業員が個別に作成したスプレッドシートなどのデータしかなかった状況を変えるべく、マーケットアナリストなどを導入。アナリティクスパッケージの「Spotfire」を活用し、小売店からもデータへアクセスできるような環境を整えました。

このシステムはビッグデータが基礎となっており、売上のシミュレーションに使用することも可能。自社のデータだけでなく外部のデータも取り込みながら、売上増に転じた成功例として知られています。

<楽天>ビッグデータを活用し広告配信の精度を上げる

EC業界の大手である楽天では、ビッグデータを活用した広告配信を展開しています。楽天などのECモールは、さまざまな顧客のデータが集まるプラットフォーム。この利点を活かし、ECモールから取得したビッグデータと楽天の利用履歴を利用者のIDと紐づけて、各ユーザーに最適な広告の表示に成功しました。

また、ビッグデータの分析結果から、“更新頻度の短縮”と“ジャンルの細分化”にも着手。結果的に30%もの売り上げアップにつながり、大きな成果につながっています。

<ローソン>必要なデータを見極めて解析

コンビニ大手のローソンでは、「どのようなデータを活用すべきなのか」にまず着目し、データの厳選からスタート。コンビニでは、POSデータや会員カードのデータなどが活用されるが、それぞれの短所にも目を向けることで、ローソンは「本当に必要なデータとは?」という問いに対しての答えを見つけることができました。

ローソンではビッグデータの活用により、短期的に見ると売上の低い商品も長期的に見るという視点を持つことに成功。結果、商品の売り上げにかんする意外な真実が見つかったり、レジの在り方に対するそれぞれの好みが見つかったりと、仕入れや店舗運営に生かせる有益な情報が得られ、それぞれの店づくりにそれぞれのデータが生かされています。

<GEO>自社アプリに集まるビッグデータを活用

ビデオレンタルなどを主軸とするメディアショップ「GEO」では、自社アプリ「GEOアプリ」をリニューアルし、そこからビッグデータを取得しています。オンデマンド配信やネット通販に対抗すべく、アプリで得たビッグデータを活用。ビッグデータから得た情報を基に、“売上貢献別”や“趣味別”に会員を分類し、クーポンやメールなどの手法を使ってそれぞれにアプローチを行っています。

これらの情報は店舗の在庫管理にも生かされており、販売元から仕入れる際の仕入れ枚数交渉に役立てられています。

<ダイドードリンコ>データを活用して自動販売機の商品配置を調整

飲料メーカーのダイドードリンコでは、アイトラッキング(視覚計測)のデータを活用。小売業界では「Zの法則」という法則に乗っ取り、自動販売機の商品配置を決める際、主力商品は購入者より向かって左上に配置するというのが定説でした。

自動販売機の売り上げが全体の9割を占めるダイドードリンコは、主力商品のリニューアルを機に自動販売機の商品配置を見直し。消費者アンケートの結果とアイトラッキングのデータに基づいて、自動販売機の下段に主力商品を配置したのです。

データを基に配置された主力商品は、前年比1.2%増という売上結果に。法則に乗っ取るという当たり前を覆すためにデータを活用した、良い事例だと言えるのではないでしょうか。

<TRUE&CO>サイズのバラつきを数値化しオンラインでの下着購入を実現

女性用下着を取り扱うTRUE&COでは、実現が難しいとされていたオンラインでの下着販売を成功へと導きました。女性用下着はメーカーによってサイズに微妙なバラつきがあり、一人ひとりにフィットするものを選ぶためには、店舗スタッフによる実測が基本です。しかし、店舗での試着自体に抵抗を感じる消費者がいることも事実でした。

そこでTRUE&COは、顧客からの過去の注文データと返品データを分析して数値化。これによって、消費者が好みのメーカーや下着のサイズ、服のサイズ、好みのフィット感、などを入力するだけで、その人に合うアイテムが選定できるような仕組みの確率に成功したのです。

忙しくて店舗が開いている時間帯に足を運べない人や、プライバシーを気にする人にとって、心強いサービスとなりました。

<GooDay>可視化したデータを基に営業方針を決定

九州北部を中心に、ホームセンターを展開しているGooDay。この企業ではコロナ前よりBIツールを導入し、POSデータをはじめとする社内のあらゆるデータを可視化していました。

企業内で蓄積したPOSデータや時間別来客数データ、外部の感染者数データ、Googleによる人の移動状況のデータなどを基に、営業時間を短縮する方が密を生み出すという結論を導き出すことに成功。コロナ禍に入り、他の小売店では密を避けるために営業時間の短縮などを決断する中、GooDayでは通常通り営業を続けるに至りました。

生活必需品が並ぶホームセンターは、外出自粛が要請される中でも、一定数は人の出入りがある場所。闇雲に時短営業を行うのではなく、きちんとデータに基づいて通常営業するという判断ができたのは、コロナ禍において参考にすべき事例なのではないでしょうか。

<トライアル>データを活用した日本初のスマートストア

九州発のスーパーとして、日本全国に256店舗(2021年9月現在)を展開するトライアル。トライアル各店舗では、データ活用から誕生した「スマートショッピングカート」を導入し、日本初の“スマートストア”としてのポジションを築き上げています。

元々IT企業として歴史をスタートさせた企業であることから、デジタル化にも注力しているのが特徴。スマートショッピングカートをはじめ、人の流れや棚にある商品の読み取りを行う「リテールAIカメラ」などの導入や、24時間営業店舗での「夜間無人化」を実現するなど、小売業界内に革命を起こしています。

スマートストアと呼ばれる店舗を運営するためには、データ活用技術が欠かせません。それと同時に、デジタルに精通している人材の確保も求められます。祖業の一つであるIT事業は、トライアルの新たな歴史を作る原動力となりました。変化を恐れずビッグデータを積極的に活用したトライアルは、小売業界内でも注目度の高い事例です。

<Amazon>ビッグデータ活用で独自のビジネスを展開

eコマース世界No,1のAmazonは、ビッグデータ活用の元祖とも言える企業。現在当たり前のように活用されているAmazonの売買システムは、全てビッグデータの活用から誕生したものであり、これからもAmazonのビッグデータ活用によって新たなビジネスの形が生まれると想定されています。

商品を買うために会員登録をし、その顧客データを活用するという流れを作ったのは、他でもないAmazon。現在でも興味のある商品の広告が表示されたり、商品の注文から到着まで最短一日ということが実現したりするのは、Amazonがビッグデータを活用しているからに他なりません。

今後は、自分でカスタマイズした商品を注文し、直後に自宅へ届くということが可能になるという希望も持たれています。Amazonのビッグデータ活用は、オンラインの世界とリアルの世界の距離を近づけることに成功した事例だとも言えるのではないでしょうか。

<Walmart>ビッグデータの活用でAmazon以上の増収を実現

世界各国にチェーンを広げるWalmartは、そのネットワークの広さから短時間でビッグデータが収集できるという特徴を活かし、消費者の行動を先回りした店舗運営を行なっています。Walmartが取得できるのは、1時間になんと2ペタバイト(1ペタ=1024TB)以上という膨大な量のデータ。独自に構築したビッグデータ解析ツールを使い、急激に下がったプロダクトの原因を20分ほどで究明したり、季節性のイベント時など極端に需要が上がった商品に対して、在庫がない店舗へアラームを発動したりと、“欲しいときにない”という状況を生まない努力が行われています。

また、データ分析ツールの活用により、ECでの増収も実現。Amazonからの猛追に苦戦した時期があったにも関わらず、現在はコロナ禍にありながらもECの売り上げを伸ばすなど、ビッグデータを有効に活用しています。

<ZOZO>ビッグデータを業界全体の活性化に活用

ファッション通販サイトとして日本最大級の規模を誇るZOZOでは、ビッグデータを活用してファッション業界全体の活性化に着手し始めています。ZOZOに蓄積されたビッグデータは、ZOZO自体のサービスを良くするためだけでなく、将来的にはZOZOに出店しているブランドに対しての還元にも活用されるとのこと。

2019年9月、グループ企業であるZOZOテクノロジーズへAmazonのチーフサイエンティストとして活躍したアンドレアス・ワイガンド氏が加入しましたが、彼も「企業とユーザーはwinwinの関係であるべきだ」と発言しています。自社の利益だけでなく、ユーザーはもちろんZOZOとつながりのあるブランドを大切にするためにもビッグデータを活用しようとする姿勢は、ファッション通販サイトの先頭を走る企業ならではだと言えます。

ZOZOSUITやZOZOMATなど、ユーザーの利便性とデータ収集に特化したツールは、これからも生み出されていくことでしょう

<PARCO>データ活用の意義を販売員に落とし込んで前向きに取り組み

ビジネスモデルの変革に力を入れているPARCOは、ショッピングセンターの中でも特に積極的にデータ活用に力を入れています。データ活用を推進する上で、大切なのは「従業員たちにいかにデータ活用の重要さを訴求するか」ということ。一般企業であれば同じ企業に勤める従業員たちの足並みを揃えることが求められますが、PARCOの場合は社員だけでなく、テナントの販売員たちにもデータ活用の大切さを知ってもらわなければいけません。

そこでPARCOが力を入れたのは、販売員たちにデータ活用を“自分ごと”として捉えてもらうための工夫でした。アプリから得られるビッグデータを基にただ施策を掲げるのではなく、一貫性のあるストーリーを軸にデータ活用を実施し、今までの取り組みの延長線上にデータ活用があるという認識に変えていったのです。

アプリやクレジットカードなどから集められたデータは、PDCAならぬ“DAPC”のサイクルで活用。サイクルの入口となる販売員と消費者とのコミュニケーションから、企画につなげて実行するという出口まで一貫することで、PARCOらしいデータ活用法を見出すことに成功しました。

<ファミリーマート>ビッグデータを活用した新規事業に着手

厳しい状況が続いているコンビニ業界でも、ビッグデータを活用した新たなビジネスが動き始めています。コンビニ大手のファミリーマートでは、ビッグデータを活用した“広告マーケティング×金融”の新たな事業展開を目標に、着々とDXが進行中。2019年に導入された「ファミペイ」のビッグデータは、店舗の集客力をより一層高めるために活用されています。

また、SDGsの取り組みに対してもビッグデータを活用。データを可視化することで、食品ロスの削減やプラスチックごみの削減につなげるなど、企業にとって大切な“売上以外の部分”にもデータの力を活かしています。

<ココカラファイン>データを使って利用客の動線を分析

全国にドラッグストアを展開しているココカラファイン。ドラッグストアは差別化が難しいとされる業界であり、どういったポイントに着目するのかが非常に重要です。

ココカラファインでは利用客の動線に目をつけ、徹底的に行動の特徴を分析。都市型大型旗艦店として2020年12月にオープンした「東京新宿三丁目店」では、4階まであるフロアを有効に活用すべく、利用客の動線を意識して商品が配置されています。

店内に「Amazon Hubロッカー」を設置するなど、店舗へ足を運んでもらうための工夫も。実際に利用客に来てもらうことで得られデータを分析し、データ分析に基づく商品配置を行った結果購入に至ったのかというデータをさらに収集することで、データを活かしながらのアプローチを行っています。

<セブンイレブン>トレンド把握のためにビッグデータを活用

逆風が吹くと言われているコンビニ業界ですが、セブンイレブンは状況に応じたトレンドの変化に対応すべく、データ活用の基盤となる「セブンセントラル」を構築しました。セブンセントラルとは、21,000店舗分のPOSデータを、リアルタイムで収集・分析できる能力を持つビッグデータ活用基盤のこと。汎用性・即効性のあるデータの一元管理が可能となるため、各部からの要望に対してスピーディーに対応できるようになるというメリットがあります。

セブンセントラルは業務ロジックとデータの結びつきがないため、さまざまな目的でさまざまなデータを取り出すことが可能。今後はセンシティブなデータの取り扱いも想定し、さらなるセキュリティ強化が求められています。

まとめ

デジタル後進国と言われる日本でも、さまざまな企業がビッグデータの活用を行っています。新たなビジネスチャンスを逃さないためにも、小売業においてのデータ活用が重要だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

DXの支援を行う弊社では、小売業に特化した購買分析パッケージ「DATA CAPITAL For Retail」を提供しています。小売業においてデータ活用の推進に取り組もうと考えている企業の方は、ぜひご活用ください。

Fabeee編集部

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こちらの記事はFabeee編集部が執筆しております。