金融業界のDXは遅れている?業界全体の課題解決に求められるDXとは

2022.01.14

2022.01.14

DXのあるべき姿を考える

世界中の企業が取り組むDX。デジタル後進国と言われる日本では、少しずつ着手する企業が増えているものの、まだまだ世界に比べるとDXの推進率は低いままです。

金融業界も例外ではなく、DXへの取り組みを行うことでまだまだ変革が起こせる業界の一つ。そこで今回は、金融業界のDXにスポットを当てて、業界の課題やデジタル化について考えてみましょう。

 
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金融業界にとってのDXとは?

「2025年の崖」の回避のためにも、各業界での早急な取り組みが求められているDX。金融業界も他業界と同じく、まだまだDXの進捗状況は思わしくありません。

そこでまずは、金融業界にとってDXがどのような役割を果たすのかについて考えていきましょう。

金融業界はDXに取り組みにくい業界?

各業界、徐々にDXへ取り組む企業が増えていますが、そもそもDXを行うためにはデジタル化・IT化が欠かせません。しかし一方で、デジタル化に向かない業界があるのも事実です。

金融業界は、どちらかと言えばデジタル化に向かない業界。ハンコ対面主義と言った文化が根強く残っている上に、歴史のある企業が多いことから昔のやり方を重んじる傾向があります。

それだけでなく、日本経済の基盤となる大企業が多いことから、ITインフラの改修や変革に莫大なコストがかかることもDXに着手しにくい要因の一つ。簡単な事務処理などのDXに取り組む企業は多いものの、企業全体の効率化のためのDXが進まないのは、業界ならではの特徴があるからなのです。

金融業界おいてなぜDXが必要なのか

企業の規模が大きくなればなるほど大掛かりなDXに取り組みにくい印象のある金融業界ですが、多数のハードルを乗り越えてでもDXに取り組むメリットはあります。業務効率化や金融の高度化など、DXに取り組むことで得られるメリットがあるにも関わらず“変化に対するアレルギー”を持つ人が多いことから、金融業界のDXは進んでいません。

しかし、先ほども申し上げたように、金融業界に属する企業の中には日本経済の発展の中心となっている企業も多く、日本のDXを進めるためには金融業界におけるDX進捗率の向上が欠かせません。2025年の崖を回避し、めまぐるしく変化するビジネス環境に対応しながら世界の中で戦っていくためにも、金融業界が率先してDXを進めていく必要があるのです。

金融業界の現状と課題

金融業界には、DXに取り組んで解決すべき課題がいくつか存在しています。業界の現状と合わせて、課題に目を向けてみましょう。

レガシーシステムから脱却できない

どの業界にも存在している、レガシーシステム。金融業界もレガシーシステムへの依存が根深く、DXを遅らせる原因となっています。金融業界では、顧客の資産や金融商品を安全に預かるため、高いセキュリティを誇るシステムの導入が求められていました。

そこで金融業界各社が導入したのが、限られた担当者やシステムを開発した業者のみが使用できる“閉じられた”システム。業界自体が望んで導入したこのオンプレミスは、ビジネスの変革が求められる今の時代に合わず、企業の足かせとなってしまっています。

オンプレミスが導入された当初は、いち早くデジタル化に着手した業界であった金融業界。他業界の企業が金融業界に進出し始めている今、レガシーシステムからの脱却が急がれているのは言うまでもありません。

少子高齢化や所得減少による収益の減少

各業界、解決すべき課題として挙げられている少子高齢化。金融業界も同じく、少子高齢化に対応する策が求められています。金融業界にとって少子高齢化による人口減少は、働き手の不足だけでなく収益の減少にも直結。

銀行などの金融機関の収益は、顧客からの手数料が大部分を占めています。これまでは手数料によって収益を上げるというビジネスモデルが通用していましたが、人口減少が進み始めたことによってこの体制は限界を迎えることに。今まで無料だった部分を有料にするなどして、顧客の口座を維持しようとしている銀行も増えてきました。

また、少子高齢化は働き盛りの世代の社会保険料引き上げにもつながっており、手取り額の減少を引き起こします。所得の減少から将来的には顧客の“低所得化”が進むと考えられており、そうなるとさまざまな場面でのさらなる手数料の引き上げが起こりかねません。

ただ、いくら手数料の引き上げを行っても、そもそも銀行のサービスを利用する人自体が減ってしまうと、金融業界全体が苦しい状況に追い込まれてしまいます。こういった課題を解決するためにはDXでビジネスモデルに変革を起こし、課題を克服する力をつけておけなければいけないのです。

伝統から脱却できない

先ほどもお伝えしたとおり、ミスが許されない金融業界の業務において、顧客の信用を得るためになかなか新しい風を吹き込めないという風潮があります。ハンコ対面主義はもちろん、これまで積み重ねてきたことが顧客との信用につながっているという考えが土台となっているため、何かを変えたり止めたりすることに拒絶反応を起こすケースが珍しくありません。

しかし、社会のニーズも人々のニーズも時代とともに変化して当然。そういった変化に対応するためには、伝統を重んじるだけでなく新しいことに挑戦していかなければ道は開けません。

これまでの歴史と伝統を大切にすることは、企業を発展させていく上でも忘れてはいけないこと。しかし、時代に合ったサービスを提供するためには、金融業界全体の風土から見直す必要があるのではないでしょうか。

金融業界におけるDXへの取り組み

他の業界に比べて、DXの進捗に遅れがみられる金融業界。しかし、DXに取り組むことで課題を解決しているケースも増えています。

金融業界において、どのようなDXの取り組みがなされているのか。いくつか事例を確認していきましょう。

働き方改革に直結

どの業界にも言えることですが、DXに取り組むことでその企業で働く人たちの働き方を変えることができます。働く環境の見直しなどを行うことで優秀な人材の流出を防ぐことができますし、業務効率化を行うことで長時間労働の廃止や生産の向上に直結。

働き方に関するDXは、従業員たちの働きがいにもつながるため、従業員だけでなく結果的に企業にとってもプラスになることは言うまでもありません。対面主義による営業からテレワークが行えないなど、時代の流れに逆らったような働き方はいつまでも続けられるものではないため、金融業界にとって働き方の改革は早急に着手すべきDXであると言えます。

契約書やハンコの電子化

DXへの取り組みの第一歩として、ペーパーレス脱ハンコに着手する企業も少なくありません。各業界の中でも特に紙・ハンコ文化が根強く残る金融業界でも、徐々にペーパーレス・脱ハンコの流れが主流となってきました。

ペーパーレスや脱ハンコの動きが鈍かった背景には、金融業界ならではのセキュリティ面の問題がありましたが、現在はセキュリティに対する対策も大きく進歩しています。ペーパーレスと脱ハンコは、金融業界のDXを加速させるポイント。テレワーク実現のための大きな一歩となるため、この流れに乗る企業は少なくありません。

 
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金融業界内でのデジタル技術活用

かつては、いち早くデジタル化の動きを見せていた金融業界。DXの取り組みには遅れがみられますが、徐々にデジタル技術取り入れながらビジネスに変革をもたらそうとする企業が増えてきました。

どのような場面でデジタル技術が活用されているのか、見てみましょう。

RPAを活用して業務を効率化

一つの取引に対して多くの書類や手続きが発生する金融業界の業務。当然のことながら、それらの処理に対してたくさんの人の力が利用されており、新たなサービスを生み出すために人材を確保できない状況が続いています。

そこで導入されたのが、ルーティンワークの自動化を得意とするRPA。RPAを導入することで今まで人に頼っていた簡単な事務処理が自動化されるため、日々の業務を大幅に効率化することができます。

また、今までヒューマンエラーとして起きていたミスも、大幅に減少させることが可能。RPA導入によって生まれた人と時間の余裕は、既存サービスの改善や新たなサービスの開発に回せるようになるため、結果的に顧客へのサービス向上へとつながっていきます。

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AIを使ってデータ分析

より一層のコスト削減、業務効率化が求められる金融業界では、AIによるデータ活用もなされています。今あるサービスの向上や金融の高度化を図るためには、これまでに蓄積されてきたデータからヒントを得るのが一番の近道。各業界のDXにおいてもAIが活用される機会が多く、DXに取り組む上でAIは欠かせないデジタル技術であると言えます。

金融業界においては、AIを使ってデータ活用することで、融資にまつわる業務の簡素化につながるなどメリットがたくさん。企業側にとっても顧客にとっても、メリットのあるサービスの変革を起こすことができるようになります。

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クラウドシステムで「2025年の崖」対策

レガシーシステムへの依存度が高い金融業界。DXを取り組む上で、今最も優先度が高いとされているのがクラウドシステムの導入です。

クラウドシステムを導入することで、取引や手続きなどの金融業務をインターネット上で完結できるようになります。一部では、レガシーシステムとクラウドシステムを組み合わせて使用するというハイブリッドな手法を取っているケースもあり、今後金融業界にとって欠かせない存在となることは間違いありません。

金融業界のDX成功事例2選

DXの進捗率において遅れを取っている金融業界ですが、すでに成功を収めている事例も挙がっています。実際の例を確認していきましょう。

デジタル技術とデータを活用して新たなサービスを提供/株式会社大和証券グループ本社

大和証券グループ本社では、スマホやデジタルデバイスの普及に合わせ、最先端技術を活用した新たな顧客サービスの創出に成功。顧客が持つ金融資産を、他社の金融資産も含めて運用をサポートするためのツールを開発しました。

このツールを使うことで、基本的な情報はもちろん運用状況のモニタリングや運用にまつわる意思決定のサポートを受けることも可能に。デジタルネイティヴ世代にとっても有意義なサービスとなっており、大和証券グループのDX自体にも注目が熱りました。

多様なデータを活かした新たなサービスを創出/三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループは、多種かつ膨大な量のデータを保有しているという企業の特徴を活かし、それらのデータを活用した新たなサービスを創出しています。預金や受託ローン、金融資産など内部で保有しているデータだけでなく、外部企業やグループ会社からもデータを集めて連携することで、新たなプラットフォームの開設に成功しました。

データ活用は、企業のDXにとって欠かせない手段の一つ。金融業界の企業にとっての脅威となっているフィンテック企業に負けないためにも、こういった視点・思考の転換が求められます。

まとめ

日本経済を支える業界である金融業界は、DXに大きな可能性を秘めています。世界と戦える日本を取り戻すためにも、金融業界のDXへの取り組みは急務。

デジタル人材の不足など、乗り越えなければならない壁は多いですが、日本の未来のためにもDXへの取り組みは避けて通れないプロセスです。

Fabeee編集部

Fabeee編集部

こちらの記事はFabeee編集部が執筆しております。