投稿日 2022.02.07

最終更新日 2022.02.07

スクレイピングとは?メリットや注意点などデータ収集の上で知っておくべきポイントを解説

スクレイピングとは?メリットや注意点などデータ収集の上で知っておくべきポイントを解説

デジタル技術が進歩した今、企業にとってさまざまなデータの活用はなくてはならないプロセスの一つとなっています。データを活用するためにはまずデータの収集を行わなければいけませんが、効率良くデータ収集が行えないという悩みを抱える企業も少なくないことでしょう。

そこで今回は、「スクレイピング」と呼ばれるデータ収集方法について解説。企業にとって“知っておくと便利”なデータ収集法なので、ぜひ参考にしてみてください。
 
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スクレイピングとは

スクレイピングとは

普段からデータを扱っている人以外には、聞き慣れないであろう「スクレイピング」という言葉。この言葉を聞いても、「一体何のことなのかわからない」という意見があって当然です。

スクレイピングとは、こするかき集めると言った意味を持つ「scraping」という英単語が由来となっている言葉。コンピューターの世界では、「情報を取得し、新たな情報として利用しやすい形に加工すること」という意味合いで、スクレイピングという言葉が使われています。

スクレイピングは、Web上に公開されている情報の中から、ある特定の情報だけをピックアップできるコンピューターのソフトウェア技術のこと。スクレイピングを介して収集したWeb上の情報は加工されて新しい情報として生成されるため、手動でデータ収集を行うよりも大幅な時間と手間の削減につながります。

一点注意しておきたいのが、クローリングとの違い。クローリングは、スクレイピングと似たような意味合いで使われる言葉です。しかし、スクレイピングが特定の情報を抽出するのに対して、クローリングはWeb上を巡回してデータを収集することに対して使われる言葉。混同して使われがちですが、それぞれ違う意味で使われている言葉であるということを認識しておきましょう。

スクレイピングで何ができるのか

スクレイピングで何ができるのか

スクレイピングは、データを効率良く取得する上で有効な方法であることがわかりました。では、スクレイピングの利用でどのようなことができるようになるのでしょうか。

次は、スクレイピングでできることにスポットを当てて掘り下げていきたいと思います。

自社のブランドデータを監視

自社の評価に関するデータの抽出は、スクレイピングが得意とする分野の一つ。自社のブランドに対する評価などのデータを活用することで、自社サイトへも正確な情報を記載できるようになるため、自社サイトの信頼が高まるという結果につながります。

また、スクレイピングを導入することでブランドデータの監視も可能に。自社に関係する新しい発言や、商品に対するレビューなどを迅速かつリアルタイムで収集できるため、ブランドの評判に影響を与えるような事態になったときにも迅速に対応することができます。

効率的にマーケティングが行える

スクレイピングは、株価の変動や検索順位、オークションサイトの価格変動など、数字の動きに関するデータの収集を得意としています。数字の動きに関するデータは、マーケティングを行う上で非常に有効な情報。そのため、効率的にマーケティングを行う上で、スクレイピングは欠かせないツールであると言えます。

スクレイピングを利用することで、今、最も旬な価格で商品を売り出すことができるようになるのはもちろん、競合他社のリサーチにも活用可能。リアルタイムで把握した競合他社のデータをもとに、自社の経営戦略をブラッシュアップできるため、細やかにマーケティングを行えるようになります。

社内のデータ処理を自動化

企業の中には、さまざまなシステムが存在していることかと思います。それらのシステムから取得できるデータを的確に収集してうまく活用することが、今の企業にとって必要なこと。しかし、あらゆるシステムからのデータは複雑かつ不確実であることから、手動でのデータ処理はなかなか難しいのが現実です。

スクレイピングは、このような社内にあるさまざまなデータの収集・分析が得意。手動で行うと不正確かつ不十分になってしまうデータ処理も、スクレイピングを導入することで自動化することができ、正確な分析結果が導けるようになります。

スクレイピングのメリット

スクレイピングのメリット

スクレイピングを利用する上で得られるメリットについて、以下にまとめました。

業務効率化が図れる

働き方改革や人材不足などから、さらなる業務効率化が求められる昨今。企業にとっては、手間や時間のかかるデータ収集においても、業務効率化を図りたいと考えているところがほとんどでしょう。

スクレイピングは、データ収集から分析、活用までを自動化できる技術。そのため、今まで手動で時間をかけて行っていたデータ収集の時間を、大幅にカットすることができます。

データ収集にまつわる業務効率化が図れるのは、スクレイピングを利用することで得られる大きなメリットであると言えるでしょう。

社内にあるデータ以外のデータも活用できる

新たなビジネスチャンスを生み出すためには、社内にあるデータだけでなく膨大な量の社外データにも目を通さなければいけません。しかしそれを人の手で行うとなると、果てしない時間と手間が必要となります。

スクレイピングは、社内のみならずWeb上にあるデータの収集・分析・活用ができる技術であるため、幅広いデータを活用しながらのマーケティングを可能にします。どういうコンテンツがバズっているのかや集客率が高まるネタの検索など、新しいビジネスチャンスの機会を創出につながるのも、スクレイピングを利用する大きなメリットです。

スクレイピングを利用する際の注意点

スクレイピングを利用する際の注意点

スクレイピングは、社内のデータだけでなく社外のデータも活用できる技術。そのため、使い方を間違えると違法となる可能性もあります。

スクレイピングの利用に踏み切る前に、使用上の注意点にも目を向けておきましょう。

取得したデータは解析以外に使用してはいけない

スクレイピングで取得したデータには外部のデータも含まれることから、使い方の注意点を頭に入れておかなければ法律に触れてしまうケースもあります。スクレイピングを行う上で注意すべき法律は、「動産不法侵入」と「著作権法」です。

他者のデータの取り扱いについては、著作権法にて情報解析のための複製or私的利用のための複製のみ認められています。そのため、スクレイピングにて取得した情報をそのまま別のサービスとして提供するのは法律違反。スクレイピングで収集したデータは、解析のみにとどめるかオリジナルの情報として加工を施すなどの手間を加えて使用しなければいけません。

また、データの収集先となるサイトの利用規約に違反していないかどうかも確認が必要。違法な使い方でなくとも、サイトの利用規約にスクレイピング自体を禁止する文言があれば、そのサイトでスクレイピングを実施することはできません。事前に情報収取先のサイトの利用規約を確認することは、スクレイピングを行う上で忘れてはいけないステップであることを頭に入れておきましょう。

情報収集先となるサイトの負担にならないよう注意

スクレイピングは、最新の情報を得るために情報収集先となるサイトに変更があれば、その都度巡回を行います。しかし何度も巡回を行うことによって、情報収集先のサイトの負担となるケースも。情報収集先のサイトに負担がかかりすぎると、スクレイピング自体が禁止されたりアクセス拒否されたりする可能性が高まります。

また、悪意がなかったとしてもスクレイピングによって他社サイトに負荷をかけてしまうと、偽計業務妨害罪に問われてしまうことも。実際、過去には悪意なくスクレイピングを行っていた人物が、情報収集先のサイトより訴えられて逮捕されたケースもあります。

取得したデータの使い方だけでなく、情報収集先のサイトに負荷をかけないということも、スクレイピングを行う上で注意しなければいけないポイントです。

スクレイピングの活用事例

スクレイピングの活用事例
スクレイピングの技術は、私たちの身近な場面で活用されています。代表的な活用事例をいくつかご紹介しましょう。

SEO

自社サイトを検索上位へと押し上げるために欠かせないのが、SEO対策です。SEO対策を行う上で知るべきは、どのようなワードが検索上位に食い込んできているのかということ。スクレイピングを実施することで今人気の高いワードに関してのデータ収集・分析が行えるため、的確なSEO対策を行うことができます。

ホテル情報の検索

旅行の計画を立てる際、ホテル情報の検索を行う人がほとんどでしょう。希望のホテルが見つかったら、次はそのホテルをいかにお得に利用するかということに目を向けることとなります。

こういった場面にも、スクレイピングは力を発揮。ホテルの施設情報や交通手段、駐車場の有無、朝食の内容などさまざまな情報をもとに、理想のホテルを見つけることができます。

株価予想

株式投資を行っている人は、日々目まぐるしく変動する株価に目を向けていることでしょう。スクレイピングでは、さまざまな情報をもとにリアルタイムの株価指数を把握することが可能。

数ヶ月先の株価指数の予想にも役立つため、株式の購入にスクレイピングを活用している人も少なくありません。

まとめ

マーケティングや新たなサービスの開発など、ビジネスのみならず人々の生活にとっても心強い存在であるスクレイピング。使用上の注意をしっかりと頭に入れて、正しく活用していきましょう。

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー