投稿日 2022.10.24

最終更新日 2022.10.24

メタバースで行う社内研修が話題。もう”つまらない”とは言わせない最新事例5選

メタバースで行う社内研修が話題。もう”つまらない

メタバースを研修に活用している企業が増加中

テレワークの増加を背景に、オンラインコミュニケーションがビジネスの場に定着してくる中で、社内での人材育成や各種研修をメタバースで行う企業が増えてきました。メタバースとはインターネット上の「仮想空間」をいい、もともとは「meta(超えた)」「universe(宇宙)」との組み合わせによる造語です。メタバースには、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった技術が用いられ、ユーザーはゴーグルを着用してインターネット上の仮想空間に入り、ユーザー自身の分身となるアバターを操作することで、他のアバターと交流したり、コミュニケーションを取り合ったりすることが可能になるだけでなく、現実世界と同様の商取引なども行うことができるようになります。

開発当初は主にゲーム業界で用いられていた技術でしたが、2021年に仮想空間上で会議や商談などが自由に行えるバーチャルオフィスのサービスがリリースされると、ビジネスの世界でも各分野でメタバースを導入する動きが広がり、実用的なオンラインコミュニケーションツールとして社内での研修などにも活用されるようになってきました。メタバースを研修に取り入れた具体的事例としては、次のようなものがあります。

監査法人の不正会計防止研修

監査上の不正を見極めることを目的に、仮想空間上で監査役、被監査役の双方の視点でアバターとなることを体験し、不正処理が行われている現場を体感することによって、一般的な座学では体得できない生の雰囲気を体験しようというものです。

アパレル販売の現場研修

仮想空間に実際の店舗と同様の店内レイアウトや商品展示を行い、顧客役と接客役でアバターを使い分けながら、さまざまなシチュエーションを設定して接客スキルを学びます。実店舗と同様の場面設定で、多くの接客パターンを体験することができます。

看護現場での現場研修

看護教育の場で行われる研修です。実際に患者さんとやり取りをする際の様々なパターンを仮想空間上に再現して、アバターを動かしながら対応の仕方を学びます。採血なども実際に行うようにアバターを通じて機器を動かします。

建設現場での遠隔研修

複数の現場を相互につなぎ、映像や音声、各種データなどをリアルタイムで共有しながら、仮想空間上で工事のシミュレーションを行います。

新人の合同研修や交流会

全国規模で事業展開する企業では、日程的にも経費の面でも一か所に集合して行うことが困難な中、仮想空間上で一堂に会し、地域によるばらつきを排除した均質なクオリティでの研修を行うほか、アバターを通して自由にコミュニケーションをとりながら交流会も行います。

これらの研修に共通しているのは、アバターというユーザーの分身を通して仮想現実に入り込み、現実世界とシームレスに活動できるという点です。そしてこれを可能にしたのがVR・AR技術の進歩なのです。これまでにもアバターを使って仮想現実の世界を動き回らせる技術はありましたが、その舞台は2次元空間なので、ユーザーはどちらかというと動くアバターを外から眺めているという印象でした。しかしVR・AR技術が実装されたメタバースでは、世界が立体的な3次元空間に変化し、拡張現実の技術によってあたかも自分がそこにいるかのような没入感がもたらされるようになりました。

時代の流れに沿って働き方にも変化が生じてくる中で、全員が一堂に会して行う研修は開催が困難になってきています。そこで脚光を浴びてきたのがオンラインによるコミュニケーションツールですが、臨場感や利便性などに優れているという点でメタバースは特に注目を集めるようになり、多くの企業が用途に応じて積極的にこれを導入するようになってきています。

これまでの社員研修の弱点

これまでの社員研修の弱点
そもそも社員研修とは、社員個々のスキルの育成や人間的な成長を目的に実施される学習機会をさしますが、新人や管理職を対象にした階層別研修や、営業テクニック・接客マナーなどにフォーカスしたスキルアップ研修など、その内容は多岐にわたっています。研修の形態も、対象者が同じ会場に集まって行う集合型研修や、テーマに沿って社員をチーム分けし意見を述べ合うグループワーク、パソコンやタブレットなどの端末を利用して受講するオンライン研修など、複数に分かれているのが現状です。

いずれの研修形態も、管理職や上司に当たる人物が主導して講師を務め、参加者は講義の内容を聞いて質疑応答するという流れが一般的な構成となります。グループワークのように相互に意見を交換する研修もありますが、進行役は参加者の上席が務めるというのが多く見られるケースです。そうなると、どうしても参加者は遠慮してしまい、自分の意見を自由に言いにくいという委縮の心理状態が生まれてしまいます。これは個人の成長を目的とする研修の効果を半減させるものですが、これまでの社員研修の形態では避けがたい弱点の一つでもありました。

さらに集合型研修やグループワークでは、参加者が一堂に会することで効率的に進行でき、顔を合わせて親睦も深められるというメリットがある反面、交通費をはじめとした開催コストがかさみ、資料などの準備にも労力を割かれるといったデメリットも生じます。オンライン研修は場所を選ばず参加することができるので開催コストなどはかかりませんが、進行役と発言者の一対一の対話になりがちで全員の積極的な参加を促すことが難しいといったデメリットが生じています。

メタバース研修ならこう解決できる

メタバース研修ならこう解決できる
メタバース研修は、オンライン研修の一種に数えられますが、既存のシステムと大きく違うのはアバターを利用した仮想空間の中で、あたかも現実世界であるかのような臨場感のあるコミュニケーションが図れるという点です。自分も上司もアバターというキャラクターに扮しており、生身では無理だと感じている自己表現も、キャラクターを通せば何となくできてしまうといった開放感が生まれます。この中で独創的な意見や提案がどんどん生まれてくれば、研修の目的も十分に果たせられたといえるでしょう。

メタバースなら研修にかかる経費を節約することも可能です。仮想空間が会場になりますので、全国にいる何百人、何千人といった社員が一堂に会しても会場費は無料、交通費も一切かけることなく交流の場を設けることができるのです。親睦を深めることで社員同士のコミュニケーションをはかるという点では、研修という学習機会だけにとどまらず、プロジェクトの打ち上げや忘年会、新年会といった社員交流の場に導入してもお互いの距離感を縮めチームの一体感を強める効果を発揮します。

社員がどこにいても仮想空間上ですぐに集合でき、主体性をもって勉強会や交流会を行えるのがメタバース研修の大きな強みですが、さらに一歩進んで仮想空間上で技術開発などを行える可能性もはらんでいます。これまでの技術面における社内研修は情報交換の段階で踏みとどまっていました。しかしメタバースでは、3D技術を活用してオブジェクトを共有し、遠隔でも共同作業が行えるという発展性を持っています。メタバース研修の導入は、社員の仕事に対するモチベーションを高め、これまでの社員研修の持つ印象をガラリと変える潜在能力を秘めているのです。

【まとめ】メタバース研修の導入は社員のモチベーションを高め、社内に一体感をもたらす

メタバースとは「仮想空間」のことで、アバターを通じて相互に交流したり現実世界と同様に商取引を行ったりすることができる技術です。当初は主にゲーム業界で用いられていましたが、ビジネスの世界でも社内研修に導入する企業が増えてきました。メタバースのメリットは社員の自主性を引き出すことですが、交通費などの経費をかけずに社内交流をはかることもでき、集合研修が難しくなった中でますますその存在感が高まっています。

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