投稿日 2023.01.12

最終更新日 2023.01.12

DX人材の採用・育成は難しい時代でどのようにDX推進するべきかを分かりやすく解説

DX人材の採用・育成は難しい時代でどのようにDX推進するべきかを分かりやすく解説

なぜDX人材の採用や育成は難しいのか?

DX人材は現代ビジネスにおいて重要な役割を担っていますが、多くの企業では採用・育成が思うように進んでいません。その原因としては、以下のような要素が挙げられます。

DXに対する企業の理解度が追いついていない

DX人材を採用するにも育成するにも、まずは企業の経営層や人事担当者がDXについて理解を深めておくことが重要です。しかし現状では「IT関連の環境と人材を整える」といった具合に、漠然としたイメージでDXを進めている企業も少なくありません。DXのために必要な人材を採用・育成するにあたってどんな取り組みをすべきかが見えていなければ、効率的にDX人材を確保することは難しいと言えるでしょう。

企業の思い切りが足りない

DXはIT関連のスキル・環境構築による業務プロセスの革新を経て、企業の事業活動における新しい価値観を作り出すことが目的です。職場をIT化して従業員が働きやすくなった、という段階ではまだDXが実現したとは言えません。DXでは必要であれば業務プロセスの抜本的見直しや、基幹システムの入れ替えなど大きな取り組みを行うこともあります。DX人材を迎え入れるにあたってこうした大きな変化が伴うことに及び腰となってしまう企業も多いのです。

待遇面でのハードル

DX人材は比較的新しい概念であり、求められるスキルも高い水準となっています。したがって、既存の従業員に比べて待遇面で優遇されているケースが多いです。自社に新しくDX人材を取り入れようとする場合、既存社員とDX人材の間に生まれる待遇差によって社内で不満の声が起こることも珍しくありません。特に年功序列の風土が根付いている企業では、中堅層やベテランの既存社員から中々理解が得られないケースも多いです。かと言って、旧来の評価システムや待遇を継続していてはいつまで経っても優秀なDX人材は確保出来ません。DXについて正しい知識を身に付けた上で、その重要性や専門性を社内で共有することが重要になってくると言えるでしょう。

多様なワークスタイルへの順応

2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、リモートワークやテレワークといった在宅を絡めた働き方が広く浸透しました。これらの働き方は特にIT関係やデザイン業との親和性が高く、DX関連の業務にあたる従業員も例外ではありません。出社型のワークスタイルに重きを置いている企業は、こうした柔軟な働き方が実現しにくいとしてDX人材から敬遠されがちです。業界や商材によっては在宅ワークへの切り替えが難しい場合もあるため、DX人材の採用・育成が滞ってしまいます。

DX推進が成功できている企業はどうやっているのか

DX推進が成功できている企業はどうやっているのか
人材確保に苦悩する企業が多い中で、DX化に成功している企業が存在するというのもまた事実です。DX人材を確保してDX化に成功している企業では、以下のような取り組みが盛んに行われています。

役割と目標を明確にしている

一口にDX人材と言っても、実際に担当してもらう業種はプロデューサー・デザイナー・エンジニアなど様々です。DX化に成功している企業では自社にとってどのような人材が必要であるかを明確にし、DX人材に求めるスキルをハッキリと提示しています。そしてその能力によって自社がどのような変革を実現したいのか、どのようなビジネス的価値を生み出していきたいのかまでを見据えているのです。新しい概念であるDX人材は先行き不透明な部分もあるため、未来のビジョンが明確な企業に優秀な人材が集まります。

柔軟に働ける環境を作っている

DX化に成功している企業には、先に述べたテレワークやリモートワークに加えてフレックスタイム制や私服通勤など柔軟な働き方を提供しているところが多いです。ワークライフバランスの重要性が見直されている現代において、こうしたフレキシブルな働き方は労働者にとって大きなメリットとなります。DX人材の需要が特に高いIT業界や外資系企業では、従業員が働きやすい環境を構築するための取り組みが盛んであるという点が特徴の1つです。DX人材の採用競争を勝ち抜くためには、様々なワークスタイルに対して柔軟な考え方を示すことが重要と言えます。

採用プロセスが洗練されている

人材市場において希少価値の高いDX人材は、業界各社が採用活動で奪い合っているというのが現状です。したがって、採用決定までに時間がかかるプロセスだと競合他社に先を越されてしまう可能性が高くなるでしょう。優秀なDX人材を確保している企業では応募書類の確認作業がスムーズであり、早ければ翌営業日には応募者に連絡を取っています。また、面接においても応募者の不安を取り除くため積極的に質問を促すスタイルをとっている企業が多いです。応募者に自社を信頼してもらう他にも、ミスマッチによる早期退社のリスクを抑えるという効果があります。

スキルに見合った報酬を提供している

予算との兼ね合いもありますが、DX人材に対してはスキルに見合った報酬を提示するというのが基本です。DX人材はIT関連人材の中でも高収入になる傾向が強く、年収1000万円前後で働く人材も居ます。もちろんすべての業種でその水準という訳ではありませんが、DX関連の求人やエージェントの情報網を駆使して相場を把握しておくことは大切です。特別手当てや入社一時金を設けている企業も多いので参考にしてみてください。

DXコンサルタントを活用するメリットとデメリット

DXコンサルタントを活用するメリットとデメリット
自社でのDX人材育成・採用が難しい場合には、外部顧問としてDXコンサルタントに依頼するという方法もあります。DXコンサルタントを活用する際のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット1.ノウハウが素早く蓄積される

DXコンサルタントはITのスキル・知識と、経営者的視点を併せ持った人材です。この双方を有機的に結び付けた上で自社の改革を手助けしてくれるため、スムーズにノウハウを吸収出来るというメリットがあります。通常、DXに必要なITの知識とビジネス的思考を結び付けるには相応の学習時間が必要です。ITスキルをどのように活用してDX化を進めれば良いかの道筋が明確になるのは、クライアント企業にとって大きなメリットとなります。

メリット2.第三者視点から専門家の意見が聞ける

DXには大きな社内改革がつきものであり、経営層と従業員との間でコミュニケーションエラーや軋轢が生まれてしまいがちです。そんな時に重要なのが間を取り持つ調整役ですが、DXコンサルタントはその役割も果たしてくれます。客観的な視点からの意見は社内の意見をまとめるのに効果的であり、それはITについても経営についても専門的な知見を持ったDXコンサルタントの意見であればなおさらです。社内の調整や改革に行き詰った時の打開策を考える時間はDX化においてロスタイムとなりますが、DXコンサルタントに依頼すればそのリスクを抑えられます。

メリット3.人材育成のサポートが受けられる

DXコンサルタントではクライアント企業におけるDX人材の育成をサポートしているところも多いです。特にIT関連のノウハウがあまり蓄積されていない企業では、人材育成に苦戦するケースが目立ちます。DXに必要なスキルの定義から社内研修制度の整備まで、DXコンサルタントに依頼すればITスキルとDXについての考え方が社内に定着する環境が整うでしょう。

デメリット1.効果が出るまでにはある程度の時間が必要

DXコンサルタントは外部の人間であるため、自社のビジネスについては1から知識を仕入れてもらうことになります。そのため、実際の社内改革に取り組むまでには一定期間のタイムラグが発生する点には注意しましょう。また、そもそもDX自体がビジネスとして効果が表れるまでに時間がかかる分野でもあります。DXコンサルタントに依頼したからといって即効性は期待せず、効果測定を行いながら中長期的な視点で取り組んでみてください。

デメリット2.すべてを任せ切りに出来る訳ではない

DXコンサルタントはあくまで外部顧問であり、自社の従業員ではないということを忘れないようにしましょう。コンサルティングによってノウハウがもたらされたとしても、それを社内で適切に運用出来なければあまり意味がありません。外部に任せ切りのスタンスが続いてしまうといつまで経っても自立出来ず、結果としてコンサルティング費用が高額になる可能性もあります。また、DXコンサルタントの言う事すべてを鵜呑みにしてしまうのも考えものです。自社としての立場・意見はしっかり主張して、双方向のコミュニケーションを取りながら改革を進めていきましょう。

DX推進に強いコンサルティングのご紹介

DX推進に強いコンサルティングのご紹介
企業のDX化をサポートしてくれるコンサルティングサービスは多く、どこを選べば良いのか迷ってしまいがちです。ここではDXに強いおすすめのコンサルティング企業を4社紹介します。

野村総合研究所

大手情報サービス企業である野村総合研究所では、多様なITソリューションも提供しています。国内有数の証券会社を母体に持つ同社では、金融事業に関わるDX事業を特に得意としているのが大きな特徴です。大規模な業務システムの構築にも実績があるため、大企業でも安心して利用出来ると言えるでしょう。

NTTデータ

1988年設立のNTTデータは国内トップの情報通信サービスであり、そのノウハウをコンサルティング事業として展開しています。IoT・AI・ビッグデータといった先進技術に強いのが特徴であり、アプリケーション開発などキメ細かいところにも手が届くコンサルタントです。

モンスターラボ

モンスターラボは2006年設立の比較的新しい企業ですが、社内ワンストップのコンサルティングでスピード感のある仕事に定評があります。「ビジネス」「デザイン」「テクノロジー」という3つの軸からクライアント企業をサポートし、スペシャリストによる柔軟な対応力も魅力です。

Fabeee株式会社

Fabeee株式会社では2020年4月に少数精鋭のDX推進チーム「バンソウDX」を立ち上げました。ITノウハウが不足している企業に対しても分かりやすい説明と丁寧な仕事振りが反響を呼び、立ち上げ初年度で既に20件以上の事例を担当しています。トライアンドエラーを忘れない姿勢で常に進化を続けている同社は、クライアント企業にとって長い付き合いのパートナーになってくれることでしょう。高いクオリティを維持しながらも比較的コストが抑えられているという点も見逃せません。

DX人材の育成・採用は長期勝負!コンサルタントサービスを活用して徐々に定着させていこう

DX化は企業にとって急務でありながらも、早期決着が難しい分野でもあります。人材の希少性や教育ノウハウの蓄積など、越えるべきハードルは少なくありません。「急がば回れ」という言葉があるように、DX人材はコツコツとした積み重ねが結果としてスムーズな育成・採用に繋がります。そのためにはDXコンサルタントのような専門家の力を借りるのがおすすめです。良きパートナーを見つけて、社内でのDX人材確保を目指してください。

この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。