投稿日 2022.01.13

最終更新日 2022.01.13

「ブロックチェーン」とは何か?DXとの関わりや活用事例を踏まえてわかりやすく解説


日々進化を続ける、テクノロジーの世界。AI(人工知能)やロボット技術など、私たちの生活はテクノロジーの力によって、ハイスピードで変わり続けてきました。
今回ご紹介する「ブロックチェーン」も、現代の人々の暮らしの中になくてはならない存在(概念)でDXを推進するための一つの技術でもあります。では、ブロックチェーンとは何なのか。基本から活用事例までを順に解説していきます。

 
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ブロックチェーンとは何か?

ブロックチェーンとは何か?
ブロックチェーンと聞いても、一体それが何のことかわからないという人も多いことでしょう。スマホやパソコンなど、それがどんなものであるかが誰でもわかるテクノロジーとは違い、ブロックチェーンは一般的に広く認知されているテクノロジーではありません。
しかし、ブロックチェーンは仮想通貨や金融業界などと密接な関係にあり、これからも活用される概念です。まずは、「ブロックチェーンとは何か?」という基本的なところから確認していきましょう。

ブロックチェーンの特徴とDX推進との関係

ブロックチェーンは、簡単に言うと取引履歴の情報を過去から順番に鎖のようにつなげ、正確な取引情報を維持するための技術。業務に関するアプリケーションとデータベースに頼る従来のシステムとは違い、それぞれの台帳をみんなで共有するという形で構成されています。
わかりやすく言えば、一つの大きな台帳をたくさんの人で共有するようなイメージです。
それぞれの台帳のベースが同じなので、データの連携も簡単に行なうことができます。特定の管理機関によって管理されるものではないため、編集の権限がどこかに集中してしまう心配もありません。
基幹システムとの連携することで、部署や企業を超えて情報を共有する事ができるため、業務フローをスムーズにデジタル化することができDX推進の可能性を持っています。

ブロックチェーンの基本的な仕組み

ブロックチェーンの基本的な仕組み
ビットコインと切っても切れない関係にあるブロックチェーンには、インターネットの歴史の中で開発されてきた技術が活用されています。各技術の特徴を確認しながら、ブロックチェーンの仕組みについて学んでいきましょう。

ブロックとチェーンで強固なセキュリティを実現

ブロックチェーンは、取引の情報が詰まったブロックハッシュ化と呼ばれる鎖でつなげることで構築されていくシステムです。中央となるサーバーがない上に全てのデータがで繋がりあっているため、特定の人物や団体が管理する団体によってデータが改ざんされる心配がありません。ブロックチェーンの図式は、反逆者やグループ内で形成されたチームによって引き起こされるテロ「ビザンチン障害」にも対応。また、これまでセキュリティの関係からオンライン上への記録には第三者の介入が必要だった「価値(お金)」や「権利」の転送も、当人同士直接やりとりが可能となりました。
ブロックチェーンの強固なセキュリティは、インターネットのさまざまな技術の組み合わせによって実現しています。では、ブロックチェーンの運用に用いられている技術について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

P2Pテクノロジー

わかりやすく言えば、“みんなで使える台帳”という立ち位置にあるブロックチェーン。サーバーを介さず、それぞれのマシン同士が直接つながっているのがブロックチェーンの特徴ですが、その形式を成立させているのが「P2P(Peer to Peer)テクノロジー」です。P2Pテクノロジーは、P2Pネットワーク・P2Pなどと呼ばれることもあり、ブロックチェーンの仕組みを構築する上で欠かせない技術の一つとして知られています。
P2Pテクノロジーは、コンピューター同士が情報を交換し合う方法の一つ。いわゆるネットワークと呼ばれるものの一種です。
P2P(Peer to Peer)のPeerは、友達同等の人という意味を持つ言葉です。この言葉の意味と同じく、P2Pテクノロジーは各パソコンに上下のレベルの違いを持ちません。各パソコン同士がお互いに通信・処理を行うため、クライアントサーバー方式のようにサーバーダウンによる障害などリスクがゼロになります。
どこかのPeer(パソコン)に障害が発生したとしても、その他のPeer同士の通信には影響が出ないため、ダウンタイムはゼロ。どこかのネットワークに障害が発生したとしてもまわりのネットワークには影響が出ないので、こちらもまたダウンタイムはゼロとなります。
また、それぞれのパソコンに役割が与えられるわけではないため、複雑なネットワークの構築も不要。安価で導入できて運用する上でのリスクが低いというのが、P2Pテクノロジーの特徴でありメリットです。

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、取引のプロセスから契約完了までを自動的に行なうシステムのこと。契約を自動化するために開発されたコンピュータープロトコルで、その概念自体はブロックチェーンが誕生する前から活用されていました。価格の設定など、契約にまつわる決まりごとさえあらかじめ設定しておけば、そのあとのプロセスは全て自動で実行。スマートコントラクトのスマートには、プロセスの実行に対する自動という意味が込められています。
身近なところにあるもので言えば、自動販売機が代表的な例。
「飲み物を買いたい人が商品代金を自動販売機に入れ、欲しい商品のボタンを押す」
上記の契約が締結されることで商品が出てくるという仕組みが、スマートコントラクトの基本となります。
事前のルール設定のみ行っておけばその後のプロセスは第三者の介入なく進んでいくこととなるため、高い信頼性が期待できます。また、ブロックチェーン上では、スマートコントラクトにて交わされた契約の内容が全て記録されるため、不正が行われた際の検知度が高く透明性に富んでいると言えるのです。
スマートコントラクトの技術は、ブロックチェーンの可能性を高める存在となっています。

コンセンサスアルゴリズム

中央政権的なやり方を取っていないブロックチェーンですが、ブロックを作り出すための合意方法については予めルールが決められています。「コンセンサスアルゴリズム」は、ブロックチェーンが正しく機能するためのルールのこと。新しいブロックが生まれることを更新の承認と呼ぶのですが、承認に至るまでのルール(コンセンサスアルゴリズム)にはプラットフォームごとに種類が存在しています。
ビットコインにて使われている「PoW(Proof of Work)」やネムで使われている「PoI(Proof of Importance)」などが、代表的なコンセンサスアルゴリズムです。それぞれ形式が異なり、台帳を共有する範囲や取引が成立するまでの速度に影響を与えます。

偽造防止・暗号化技術

高いセキュリティを実現しているブロックチェーン。そんなブロックチェーンの世界をあらゆる虚位から守る、いわば壁のような役割を果たしているのが「偽造防止・暗号化技術」です。
権利の核となる存在や中央銀行的存在を持たないブロックチェーンでは、安心・安全に取引が行える環境を何か別の方法で用意しなければいけません。偽造防止・暗号化技術は、いわばブロックチェーンに監視役となるような機能の一つ。ハッシュ関数による暗号化や、公開鍵暗号技術などを用いて、安全に取引できる環境を作り上げています。
参加者(ノード)たちの数が多ければ多いほど監視の目が増えるため、参加者が増えるほど障害に強くなるという特性を持っているのです。

ブロックチェーンのメリット

ブロックチェーンのメリット
ビットコインなどの仮想通貨に活用されている、ブロックチェーン。どのようなメリットがあるのか、まとめました。

セキュリティ面のメリット

ブロックチェーンはその形態の特徴から、セキュリティの高さが支持されています。仕組みのところでもお話したように、ブロックチェーンはブロックで成り立つシステム。ブロックの中身が書き換えられると、鎖の役割を果たしている“ハッシュ値”が書き換わってしまうため、ノードたちによってすぐに改ざんが見つけ出されます。
ブロックチェーンは「自立分散システム」として成り立っており、セキュリティの高さに対する信頼性をその仕組みで担保。この仕組みによって、特定の運営者に依存することなく複数の企業(事業者)や不特定多数の人々と、透明性の高い台帳を共有することができるのです。

システム面のメリット

ブロックチェーンには、システムダウンしにくいというメリットもあります。よくある集中管理型のシステムの場合、中央となるメインのシステムが停止するとその周りにあるシステムの取引も自動的にストップしますが、ブロックチェーンの場合はその心配がありません。
どこかのノードがダウンしてしまっても、残りのノードには正しいデータがきちんと残っているため全体が止まってしまうリスクはなし。どこかでマシントラブルが起きて作業が停止してしまっても他のノードにて作業が続けられるので、予期せぬトラブルにも強いというメリットがあります。

コスト面のメリット

ブロックチェーンは、ホストサーバーなどの用意が必要ないため、システム構築にかかるコストを低く抑えることができます。サーバークライアント方式の場合は、中央となるサーバーに処理の負担が集中するため、クライアント側の動作に影響を出さないようにするには、高スペックなサーバーを用意しなければいけませんでした。
一方ブロックチェーンはP2Pの方式を取っているため、高スペックなサーバー自体が不要。それにかかる費用を、丸ごとカットすることができます。
この仕組みは、仮想通貨など金融関連のコストカットにも有効。ノード同士の繋がりによって成り立つことで、ユーザー同士の直接送金が可能となります。金融機関を経由することでかかる数千円の手数料を、ブロックチェーンの技術を活かすことで安価な手数料での送金ができるようになったのです。
システム的な部分のコストはもちろん、お金のやりとりに関するコストも抑えられるのは、ブロックチェーンのメリットだと言えます。

ブロックチェーンの活用事例2選

ブロックチェーンの活用事例2選
仮想通貨をはじめ、金融業界で活用されているようなイメージの強いブロックチェーンですが、その活用事例は多岐に渡ります。実際に、様々なビジネスで活用されているブロックチェーンを活用してDXを実現している事例を見ていきましょう。

トヨタ・ブロックチェーン・ラボ

トヨタ自動車株式会社では、ブロックチェーンの技術を基盤とした「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が実現に向けて加速しています。トヨタ・ブロックチェーン・ラボは、トヨタ自動車・・トヨタファイナンス・トヨタファイナンシャルサービス・トヨタシステムズ・デンソー・豊田中央研究所の6社によって進められているプロジェクト。ブロックチェーンを基盤としたシステムを用いて、車の価値や使われ方が大きく変わる世の中に対応できるような仕組みを作り上げるのが、このプロジェクトの目的です。
ユーザー・車両・サプライチェーン・価値のデジタル化を別々で考えるのではなく、全てつなげることで各プロセスにかかる手間やコストを省けるのが一番のメリット。将来的に決済アプリとの連携も視野に入れているとのことで、近い未来、車にまつわる生活のあり方に良い意味での大きな変化が生じることは間違いありません。

デジタルコンテンツの権利情報管理

デジタルコンテンツの利用が当たり前になった昨今ですが、その作品に対する権利(著作権)の管理については、未だに著作権管理団体や作者自身によって行われている状態でした。そこで立ち上がったのが、エンタメ業界の代表格であるソニーです。
ソニー株式会社・株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント・株式会社ソニー・グローバルエデュケーションの3社は、ブロックチェーンの技術を用いた「デジタルコンテンツの権利情報処理システム」の開発に着手。電子データが作成された日時を証明するための機能や、対改ざん性を兼ね備えた事実情報登録機能など、ブロックチェーンの長所を取り入れた様々な機能が搭載されています。
株式会社ソニー・グローバルエデュケーションにおいては、ブロックチェーンの技術を教育の領域へと展開。教育現場で活用できるコンテンツや新たな教材の開発など、権利情報管理にとどまらないブロックチェーンの活用の道を切り開いています。

まとめ

ブロックチェーンは、AIなどの技術と並んで企業のDX化に期待される技術の一つです。仮想通貨のための技術だったころと打って変わり、様々なビジネスにおいてブロックチェーンの技術が活かされることは間違いありません。
弊社でも、DXコンサルティングやブロックチェーンの開発に力を注いでいます。ビジネスの中にブロックチェーンを取り入れたいとお考えの方はお問い合わせください。

この記事の監修者