投稿日 2022.08.18

最終更新日 2022.08.18

もう迷わない! GA4のアトリビューション完全解説

もう迷わない! GA4のアトリビューション完全解説

アトリビューションとは?

アトリビューションとは、日本語にすると「間接効果」という意味を持ちます。コンバージョン(Webサイトを訪問した後に商品・サービスの購入や問い合せなどのアクション)に至るまでのユーザー接点を明らかにし、それぞれコンバージョンにどれだけの貢献をしたのかを測定する分析です。例えば、広告バナーをクリックしてメーカーの公式オンラインショップにアクセスし、商品を購入したユーザーがいたとします。従来のアクセス解析であれば、直前にクリックした広告バナーだけが貢献したと評価されるでしょう。しかし、実際にはユーザーが広告バナーをクリックする前に、ブログやSNSなどで商品の詳しい情報や感想を読んでいることは珍しくありません。
 
ユーザーが直前のクリック(ラストクリック)以前に仕入れた情報が商品・サービスの購入を決定づけているのであれば、それを正しく評価する必要があります。アトリビューションは、その評価を行うための分析法です。アトリビューションを行えば、広告費を適切に使える、ユーザーの好感度が高まるという効果が期待できます。

広告費を適切に使える

アトリビューションで貢献度の高い広告・貢献度の低い広告が明らかにすることで、効率的な広告費の使い道ができるようになります。仮にアトリビューションを利用しなければ、ラストクリックだけを評価するアクセス分析が頼りです。ラストクリック以前の接点の貢献は無視されることになるでしょう。その結果、ラストクリックされた広告が過大評価されることになり、そこに広告費をつぎ込むことになります。それ以外の広告は貢献をしていないということで広告費を削られ、ユーザーの目には触れる機会は激減します。このように、非効率的な広告費の使い道で成果が出るはずもありません。アトリビューションで広告費の貢献度を明らかにし、広告費を適切に使うことは成果を出すために必要でしょう。

ユーザーの好感度が高まる

アトリビューションを利用することで、ユーザーが求める情報を把握することができます。ラストクリックだけを重視していると、リスティング広告ばかりが目立つことになりますが、それはユーザーの視点に立ってみれば、必要な情報を提供せずに商品・サービスを売りつけようとする気持ちが透けて見える行為です。そのようなことを続けていれば、ユーザーの気持ちが離れていきます。アトリビューションによって過去の接点がどれだけの貢献をしているか把握できれば、そのようなことが起きるのを防げます。例えば、ユーザーが商品・サービスの感想を見てからアクションをしているのであれば、実際の使い心地などを知りたがっていることがわかります。そこでモニターを募集して、ブログやSNSに感想を投稿してもらうことでユーザーの欲しがっている情報を提供することができます。ユーザーの心理を理解し、求めるものを提供することはユーザーの好感度を高めるのに役立ちます。そうした取り組みを続けていき、ユーザーからの信頼を得ることができれば、安定した売上を期待できるでしょう。

GA4で利用可能なアトリビューション


GA(Googleアナリティクス)のプロバティは、第3世代がUA(Universal Analytics)で第4世代はGA4です。GA4では、データドリブンアトリビューションモデル、クロスチャンネルのルールベースモデル、Google広告優先のルールベースモデルの3種類を利用できます。

データドリブンアトリビューションモデル

データドリブンアトリビューションモデル
データドリブンアトリビューションモデルは、ユーザーがアクションをした経路に加えてアクションをしなかった経路も含めて蓄積したデータからコンバージョンへの貢献を評価する分析です。データドリブンアトリビューションモデルを利用すれば、ユーザーの行動を正確に分析でき、どの広告に効果があったのかがわかります。パソコンやスマホなど異なるデバイス間の分析も可能ですから、広告の効率を高めることが期待できます。

クロスチャンネルのルールベースモデル

クロスチャンネルのルールベースモデルは、複数のチャンネル(経路)間で貢献度の分析をするときに使います。クロスチャンネルのルールベースモデルでは、コンバージョンに至る履歴から接点を明らかにし、貢献度の割り当てを調整することが可能です。貢献度の割り当てですが、ラストクリックであればユーザーが最後にクリックしたチャンネルに全て割り当てることになりますし、減衰はコンバージョンに近い時間軸の接点ほど高い貢献度が割り当てられます。

Google広告優先モデル

Google広告優先モデルは、Google広告について貢献度を分析するモデルです。ラストクリックであれば、アクションを起こす前にクリックしたGoogle広告に全ての貢献度が割り当てられる仕組みです。しかし、Google広告を介さないでコンバージョンに至ることもあります。その場合には、機能がクロスチャンネルのラストクリックに切り替わります。

正しいアトリビューション設定が必要な理由

正しいアトリビューション設定が必要となるのは、評価する部分と検証したい部分を一致させるためです。最終的に評価に結びついた接点を知りたいのであれば、クロスチャンネルのルールベースモデルやGoogle広告優先モデルでラストクリックに貢献度を割り当てます。そうすれば、ユーザーが最後に見た広告を明らかになるでしょう。一つの接点ではなくユーザーの行動全体を検証したいときには、データドリブンアトリビューションモデルが最適です。ラストクリック・ファーストクリックの分析では隠れてしまう貢献度の高い広告を浮き彫りにできます。
 
また、個人情報保護法の改正から、ユーザーの行動を追跡するCookieは厳しく規制されるようになりました。そのため、広告のコンバージョン測定は難しくなっています。正しいアトリビューション設定をして、広告の貢献度を評価して次の戦略を立てることがこれからの時代にはますます必要になってくるでしょう。

プロパティのアトリビューション設定

プロパティのアトリビューション設定
GA4でプロパティのアトリビューション設定をするときにはアカウントにログインした後、設定画面にある「管理」という項目から「アトリビューション設定」に移動します。すると、「レポート用アトリビューションモデル」からデータドリブンアトリビューション・クロスチャンネルのルールベースモデル・Google広告優先のラストクリックモデルの3つを選択できます。さらに、「ルックバックウィンドウ」からはユーザー獲得コンバージョンイベントとその他全てのコンバージョンイベントのルックバックウィンドウを選択できます。
 
ルックバックウィンドウ
ルックバックウィンドウとは、コンバージョンをいつまで遡るのかという設定です。ユーザーがアクションを起こす場合、広告を見てから1週間や1カ月が経過していることも珍しくありません。しかし、広告を見てからアクションするまでの期間が長過ぎると、さまざまな要素が影響して広告の効果がわかりにくくなりますし、特定のキャンペーンに対する反応を見るときなどは古いデータは不要です。ユーザー獲得コンバージョンイベントについてデフォルトのルックバックウィンドウは30日になっていますが、設定では7日間への変更もできます。その他のコンバージョンイベントだと、デフォルトのルックバックウィンドウが30日のところ、60日も選べます。

【まとめ】GA4のアトリビューションで成果を上げよう

集客に使われるチャンネルが次々と現れ、複雑になっていく世の中でラストクリックだけを見てきた従来のアクセス解析に頼ると取り残されてしまいます。そんな時代に対応できるGA4のアトリビューションは、企業のマーケティングを担当する人の心強い味方です。広告を効率的に打ち出し、コンバージョン数を稼ぐことで成果を上げて他社との競争に打ち勝ちましょう。

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー