アトリビューションとは?分析モデルを踏まえて分かりやすく解説

2022.04.20

2022.06.21

マーケティング

従来型のアトリビューションモデル
近年におけるマーケティングは、集客媒体や経路(チャネル)が複雑化しています。また、チャネル同士の相互効果もあるため、マーケティングに利用した施策が、実際にどれほどの効果を示したのかを見極めることが難しくなっています。そのため、施策の費用対効果を調べるためにアトリビューション分析をしている企業は少なくありません。

アトリビューション分析とは

アトリビューション分析とは
アトリビューション分析とは、マーケティング活動で利用した施策がどれだけコンバージョン(以下CV)に結びついたのかを、施策で利用した媒体ごとに観測して分析することです。オンライン広告からサービスや製品の購入があったケースを考えてみましょう。アトリビューション分析では、オンライン広告からCVがあったという直接効果だけでなく、ほかの広告が間接的に与えた効果も調べます。購入者がどのような広告を見たのか、キャンペーンなどの施策を利用したのかといった、購入者の行動情報を調査して、どんな要素が決定に影響を与えたのかを調べます。

アトリビューション分析に用いられる典型モデル

アトリビューション分析に用いられる典型モデル
アトリビューション分析ではユーザーがCVに至るまでの過程を調査し、どの接点がCVに貢献しているのかを判断しなければなりません。しかし、その判断が恣意的であっては分析がうまくいかないのは当然でしょう。そこで、アトリビューション分析する際には、貢献度をどのようにして振り分けるかといったルールが、あらかじめ設けられています。これがアトリビューションモデルと呼ばれるものです。そのため、アトリビューションモデルは、アトリビューション分析における基本ルールであるといえるでしょう。アトリビューションモデルには、次に紹介する5つの典型モデルが存在しています。

終点(ラストクリック)モデルと起点(ファーストクリック)モデル

終点(ラストクリック)モデルと起点(ファーストクリック)モデル
サービスや製品を購入したユーザーが、購入直前に利用した接点を高く評価するモデルが「終点(ラストクリック)モデル」です。このモデルでは最後に利用した接点に100%の貢献度を与えて計算します。例えば、直接販売につながったデジタル広告、誘因に成功し販売数を獲得した電子メールなどは、貢献度100%として評価されます。CVに対して最も近い接点を高く評価するため、費用対効果の評価がしやすいという特徴があるモデルです。終点(ラストクリック)モデルは、アトリビューション分析においてどのモデルよりも多く採用されています。

対して、最初に利用した接点に最も貢献度を割り振るモデルが「起点(ファーストクリック)モデル」です。このモデルでは、サービスや製品を購入したユーザーが最初にアクセスしたであろう接点を貢献度100%として評価します。このモデルを使えば、すぐに成果が期待できないアプローチであっても、その貢献度を評価することが可能です。

線形モデルと減衰モデル

線形モデルと減衰モデル
ユーザーが利用した接点の全てを評価したい場合には「線形モデル」もしくは「減衰モデル」が用いられます。これらのモデルでは接点の全てに貢献度を設定します。線形モデルでは貢献の度合が全ての接点に均等に与えられるため、分析にはCVにつながるまでの接点情報が一定量以上必要です。多くの情報を取り込んで分析をするため、広くさまざまな推論を立てやすいモデルといえるでしょう。一方で、減衰モデルでは、最後の接点から最初の接点に向けて貢献度が減衰します。終点(ラストクリック)に近くなるほど貢献度が高くなるので、CVに至る経路が説明しやすいという特徴があります。

接点ベースモデル

接点ベースモデル
たくさんの接点をまたいでいる場合、線形モデルや減衰モデルでは分析が複雑化してしまうかもしれません。そこで分析効率をよくしたモデルが「接点ベースモデル」です。このモデルでは、最初と最後の接点の貢献度がそれぞれ40%と高く設定されており、残りの20%は中間にあたる接点に均等に割り振られます。

アトリビューション分析は効果的か?

アトリビューション分析は効果的か?
アトリビューション分析はマーケティング活動に利用した施策のROI(投資利益率 Return On Investment)を調べるのに、高い効果が認められるといえるでしょう。しかし、アトリビューションモデルは、分析をするためのルールでしかありません。分析ができる事項はあくまでルールに収まる範囲内に限られます。

本当の広告効果とは?

広告効果あるいは広告の役割は、商品やサービスの認知度を向上させることでユーザーの行動変容を促し、商品やサービスの販売を促進することです。その効果は大きく分類すると接触効果・心理効果・売上効果の3つに分けられます。接触効果は広告を通じて商品やサービスの認知度を上げる効果です。心理効果は商品やサービスに対する理解、売上効果は実際に購入へのアクションを起こすことを指します。

マーケティング活動で広告を利用する場合には、以上の3つの効果を念頭においた上で、それぞれの媒体が持つ特性を考えて、有効な広告の組み合わせを設計します。アトリビューション分析を用いれば、広告媒体の貢献度を明らかにできるので、媒体の適切な使い分けや最適なコスト配分が可能です。しかし、実際に広告設計にアトリビューション分析を用いると、適切なアトリビューションモデルが見つからず、良い推論が立てられないことがあります。

本当の広告効果と従来型アトリビューションモデルの問題点

本当の広告効果と従来型アトリビューションモデルの問題点
ユーザーをCVにまで導くための接点をつなぎ合わせても、単純な一本道となるわけではありません。そのルートを可視化すると、接点同士が複雑に絡み合うような形になっていることでしょう。本当の広告効果は、プラスに作用することもマイナスに作用することもあります。場合によっては、広告の影響によってCVから遠くなる場合もあります。

ですが、従来型のアトリビューションモデルは、複雑に絡み合う相互関係を考慮するようには設計されていません。例えば、TVCMが後押しとなってオンライン広告のCV率を挙げている場合、終点(ラストポイント)モデルで分析すると、TVCMの効果は顧みられなくなります。適切な貢献度を評価されないままにROIを改善させようとすると、TVCMへの投資は少なくなり、オンライン広告のCV率を引き下げてしまう結果となりかねません。本当の広告効果がCVに与える影響は、目に見えるものに限られるわけではないのです。

また、本当の広告効果には、ほかの影響がなくともCVへとつながったであろう「ベース売上」と、ほかの広告の影響を受けることでCVにつなげる「インクリメント売上」が含まれています。従来のアトリビューションモデルによる貢献度に頼った判断では、その双方を見落としてしまうかもしれません。

なお、広告の見直しを図る場合には、多くの企業がA/Bテストによる広告効果の推測を採用しています。しかし、A/Bテストによる広告媒体は、必ずしも従前の広告と同質のものとなるとは限りません。終点(ラストクリック)を狙いにしていた広告が、内容を変更しただけで、起点(ファーストクリック)となる可能性もあります。A/Bテストの結果をApple to Appleの広告とするためには、広告間の相互関係を分析して判断する必要があります。

新しいモデルとしてMMMを利用する企業が増えている

新しいモデルとしてMMMを利用する企業が増えている
では、マーケティング活動をより具体的に分析して施策のROIを最適化するにはどうすればよいのでしょうか。それには、アトリビューションモデルでは把握が難しい本当の広告効果をモデル化する必要があります。この問題を解決するために、従来型のアトリビューションモデルからの脱却を図り、マーケティング・ミックス・モデリング(以下、MMM)を採用する企業が海外を中心に増えています。MMMもまたマーケティング分析のためのモデリング方法です。MMMではマーケティング活動に利用した広告媒体などの影響を数値で表してモデル化します。

 
■MMM(マーケティングミックスモデル)とは?を知りたい方はこちら

MMMを検討すべき理由とは?

MMMを検討すべき理由とは?
統計的手法をマーケティングの分析に用いるだけであれば、アトリビューションモデルによる分析でも足りるはずです。しかし、MMMには従来のアトリビューションモデルと異なる利点があります。

まず、MMMはメディアミックスの分析に適した手法です。媒体がどのようにCVに影響したのかという貢献度の分析だけでなく、異なる媒体の相互影響の効果も、MMMでは数値化できます。TVCMが後押しとなってオンライン広告のCV率を挙げている例の場合、TVCMによって獲得したであろうCV率も数値化してモデル化します。MMMなら、直接にCVに結びつかない媒体の活躍を取りこぼすことがありません。ベース売上やインクリメント売上をモデル計算のなかに取り入れることもできます。

また、取得するデータは広告媒体の成果に限りません。地理情報や気候情報、あるいは社会情勢や経済データというものも数値化して利用するので、広告媒体以外の要因がCVにどのような影響を与えたのかを把握することが可能です。さらに特定の広告媒体が存在しなかった場合であってもモデル化ができます。特定の広告が存在しない世界線を検討すれば、それぞれの広告媒体が持つ純粋な効果を把握できるでしょう。くわえて広告間の相互関係を分析して判断できるため、A/Bテストによる広告効果の推測を採用した場合も、Apple to Appleとなる広告を設定しやすくなります。

まとめ

複雑な広告媒体のモデル化に最適!MMMの採用を検討してみよう
アトリビューション分析を使えば、広告などの施策効果を貢献度という形で把握できます。しかし、この分析では多数の広告媒体の相互効果が把握できません。そこで、広告の相互効果を分析するための方法としてMMMが注目を集めています。MMMならば、広告媒体の相互間の影響や貢献度で示せない成果を、数値化してモデル化できます。最適なアトリビューションモデル選びに悩んだ場合には、MMMの採用を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者:冨塚辰

この記事の監修者:冨塚辰

Fabeee株式会社のデータサイエンティスト。 広告代理店でオン・オフ問わずプロモーション領域を中心にプロデューサー、制作ディレクターとして国内・外資、幅広い業界のクライアントを担当。
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