エンジニアの理想的な働き方は?雇用形態ごとのメリットとデメリットを比較

2021.07.21

2022.02.02

IT業界のキャリアについて考える

社会人になれば社会に出て働くこととなりますが、一言で「働く」と言ってもその方法はさまざま。特にエンジニアという職種は他の職種よりも雇用形態の幅が広いため、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
そこで今回は、エンジニアとして仕事をする上で選択できる、働き方の選択肢についてご紹介します。それぞれのメリットとデメリットを比較し、自分にはどのような働き方が合うのかを見つけていきましょう。

■エンジニアとして働く上で知っておきたい雇用形態

まずは、エンジニアの雇用形態について。どのような雇用形態の選択肢があるのかを、確認していきましょう。
 
・正社員
新卒・中途に関わらず、エンジニアは正社員での求人が出ている職種です。正社員採用試験をクリアすることで、正社員エンジニアとして働けるようになります。

働く仲間がいることや、福利厚生など会社からの恩恵を受けられること、そしてなにより安定して働けることが正社員エンジニアの特徴だと言えます。
 
・フリーランス
エンジニアは手に職が就く職業であるため、フリーランスという雇用形態も選択できます。個人事業主となり、企業と業務委託契約を交わして仕事をするケースがほとんどです。正社員として会社に属するエンジニアとは違い、フリーランスで働く場合は自分で仕事を獲得しなければいけません。

企業との交渉から税務処理などに関する知識も必要となるため、幅広く知識が身に付けられるのはフリーランスの特徴だと言えます。
 
・派遣
今は、エンジニアに特化した派遣サイトなども存在し、エンジニアを求める企業が増えていることがわかります。出勤日数や勤務時間を自分のペースに調整できる職場も多いため、正社員エンジニアよりは働く上での自由度が高い雇用形態であると言えるでしょう。

自分が探すだけでは見つけられないような企業と出会えるのが、派遣エンジニアとして働く上での一番の特徴です。

■【正社員編】エンジニアとして働く

安定を求める人にとっては、魅力の多い「正社員」という働き方。正社員エンジニアにとってのメリットとデメリットを、それぞれ確認していきましょう。
 
・正社員エンジニアの働き方
正社員エンジニアは、会社と直接雇用契約を結びサラリーマンとして働くこととなります。直接雇用されるということは、その会社の一員になるということ。そのため、長くかつ安定して業務に取り組むことができる雇用形態です。
また、社員研修などのプログラムが用意されているため、経験を積みたい初心者エンジニアにとっても正社員という働き方は魅力が多いと言えるでしょう。
 
・正社員エンジニアとして働くメリット
正社員エンジニアのメリットは、他の働き方よりも安定しているということ。自分の理想にぴったりな会社に出会えれば、居心地の良い環境で日々業務に取り組めるようになります。
正社員エンジニアとして働くメリットは、他にもたくさん。どのようなメリットがあるのか、一つずつ見ていきましょう。
 
【給与面の安定】
正社員エンジニアとして働く一番のメリットは一定額の給与が保証されているということです。会社側から解雇されない限り、毎月の収入は約束されています。その上、社会保険や福利厚生など、会社からの直接雇用であるからこその恩恵も少なくありません。

また、正社員として働いていれば、基本的に毎年昇給があります。同じ会社で長く働くことで収入がアップするため、一つの事業と長く向き合いたいと考えている人にとっては、正社員エンジニアとして働くことのメリットは大きいと言えるのではないでしょうか。
 
【一緒に働く仲間がいる】
正社員エンジニアの場合、会社に属して仕事をすることになるため、同期や先輩・後輩、上司など、同じ仕事をする仲間がいます。仲間がいるということは、身近な場所で目標になるような人も見つけやすくなるということ。

特に経験の浅いエンジニアにとって、仲間や目標となる人が身近にいるということは、これから自分がどんなエンジニアになりたいかを見つけるためにも何よりの強みになります。
 
【研修が充実している】
正社員として働く場合、他のどの働き方よりもエンジニアに対する研修をしっかりと受けることができます。一つの会社に属して働くことになるため、その会社のことを知るための研修はもちろん、実践の経験を積むためのOJTが用意されているケースもあり、スキルアップにつながることは間違いありません。

また、キャリアアップのための研修が実施される会社もあるため、上のポジションを目指したいという人にとっても、会社員エンジニアは魅力の多い働き方でしょう。
 
【社会的信用度が高い】
人材不足が叫ばれているエンジニアという職種ですが、より大きな案件になってくると、信頼されている企業に属しているエンジニアにしか仕事が振られないというケースは珍しくありません。セキュリティレベルを考慮した上で、個人情報など「漏れてはいけない情報」を取り扱う案件については、正社員エンジニアしか扱えない状況となっています。

この案件の偏りは、“正社員である”という社会的信用度の高さから生じているもの。より大きなプロジェクトに関わりたいと考えている人にとっては、社会的信用度の高い正社員エンジニアとしての働き方が合っていると言えるでしょう。
 
・正社員エンジニアとして働くデメリット
メリットが多いように見える正社員エンジニアとしての働き方ですが、正社員だからこそのデメリットがあるのも事実です。次は、正社員エンジニアとして働くことのデメリットに目を向けてみましょう。
 
【大幅な収入アップは見込めない】
正社員エンジニアの場合、昇給はその会社で決められた規則に乗っ取った範囲内でしか見込めません。コツコツと収入を上げていくことはできますが、“正社員の安定”がゆえ、一発逆転のような大きな昇給はないと考えておくのが一般的です。
 
【就業時間が決まっている】
正社員エンジニアは、当然のことながらその会社の規則に従って働かなければいけません。就業時間も決められているため、自分が持っている仕事の量に関わらず決められた時間に出勤し、決められた時間までは仕事をしなければならないのです。

エンジニアは、その業務量の多さから残業が多い職種として知られています。会社によっては、拘束時間が長時間に及び帰宅が深夜になるケースも珍しくないので、入社前にどれくらいの拘束時間になるのかきちんと確認しておきましょう。
 
【人間関係に苦労するケースがある】
先ほど正社員エンジニアのメリットのところで、「仲間がいること」というポイントをご紹介しましたが、実はそれがデメリットになってしまう可能性も否定できません。一緒に働く人間がいるからこそ、責任を伴うような仕事を押しつけられてしまい、結果的に人間関係の悪化を招くケースも珍しくないのです。

組織に属することが苦手な人や人と話すことが苦手な人にとっては、正社員エンジニアのメリットである「仲間がいる」ということが、デメリットになってしまうでしょう。
 
【業務内容が偏る場合もある】
会社によっては、業務内容に偏りが出る場合もあります。そのため、自分のやりたい仕事だけをできるという状況を作り出すことは、正社員エンジニアにとっては難しいと言えるでしょう。

また、人員不足から本来は担当しないような業務を任されるケースも。「やりたくないこともやらなければいけない」のは、正社員エンジニアの宿命とも言えます。

■【フリーランス編】エンジニアとして働く

自由に働けるイメージにある、フリーランス。フリーランスエンジニアという働き方には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
 
・フリーランスエンジニアの働き方
フリーランスエンジニアは、「個人事業主」となって独立し、自ら仕事を探して獲得することで収入を得るという働き方です。フリーランスエンジニアの中にも、「常駐型」と「在宅型(請負型)」という二つのパターンがあります。

常駐型は、会社員エンジニアと同じようにオフィスに常駐して仕事を行います。企業と個人(自分)が業務委託契約を結び、業務を遂行。ひと月の収入が固定で決まっているケースがほとんどなので、収入が安定しやすいと言えます。また、企業を通して案件を獲得することになるため、個人で営業を行うよりも大きな案件を獲得できる可能性もアップするのです。

一方在宅型(請負型)は、最も“フリーランスらしいスタイル”で仕事ができます。個人で企業や知人などにアプローチをし、仕事を獲得。常駐型とは違って完全に個人で仕事を行うことになるため、提案力や見積もり力が求められます。
 
・フリーランスエンジニアとして働くメリット
フリーランスエンジニアには、フリーランスという働き方だからこそのメリットがあります。自由だからこその苦労もありますが、うまく時間を使ったり提案力・見積力を磨いたりすれば、大きな可能性のある働き方だと言えるでしょう。
 
【働く時間が自由に決められる】
フリーランスエンジニアは、企業に属することなく仕事を行います。そのため、一部拘束型フリーランスエンジニアを除いては、正社員エンジニアのような時間的拘束が一切ありません。

自分で仕事を獲得するため、時間的な制約も受けにくく労働のための時間を自分でコントロールできます。在宅で仕事が行えるため、プライベートと仕事との時間のバランスが取りやすいと言えるでしょう。
 
【高収入も狙える】
フリーランスエンジニアの場合、収入に関する就業規則などに縛られることがないため、単価が高い案件を効率よく獲得していけば、高収入を狙うことも可能です。また、個人で仕事を行うため、営業や事務などにかかる経費はゼロ。

企業で働く場合には、仕事を完遂したことにより相手企業から得た報酬から、さまざまな経費が差し引かれてエンジニアの給料として支払われます。フリーランスの場合は、それらの経費が掛からないため、単純に報酬として支払われた金額がそのまま収入となります。

フリーランスの仲介会社などを利用した場合には仲介手数料などがかかりますが、それでも報酬の5~10%が相場です。賢く収入をアップさせたいという人は、フリーランスエンジニアのメリットが大きく感じられるかもしれません。
 
【人間関係の悩みが減る】
フリーランスエンジニアは、個人で仕事を行います。もちろん、業務委託契約を結んだ先の企業の人や、クライアントとのコミュニケーションは必須となりますが、仕事を行うときは基本的に一人です。

・フリーランスエンジニアとして働くデメリット
自由に時間を使えるフリーランスエンジニアは、メリットが多い働き方のように見えます。一方、自由だからこそのデメリットがあるのも事実です。
 
【仕事や収入が不安定】
フリーランスエンジニアは、基本的にプロジェクト単位で仕事を受けることになります。そのため、一つの仕事が終わるまでに次の案件を確保しておかなければ、そのプロジェクトが終了した時点で収入もなくなります。

また、会社員エンジニアのように有給休暇などの制度を利用することもできないため、仕事を休むと収入の低下に直結。業務委託契約自体が解除されるケースもあるため、突然収入源がなくなってしまう可能性もゼロではありません。

この点は、フリーランスエンジニアとして働く上で、必ず頭に入れておかなければいけないデメリットです。時間的にも仕事内容的にも自由がきくフリーランスですが、仕事と収入面での不安定さが常にセットになっているということを知っておきましょう。
 
【保険の手続き・確定申告の手間が増える】
フリーランスエンジニアは、エンジニアとしての仕事に関わる部分だけでなく、付随業務についても自分一人で全て行わなければいけません。各種保険の手続きや確定申告など、会社員として働いていれば別部署の人が行ってくれていた手続きも、自分の仕事となるのです。

しかし、これらはフリーランスエンジニアとして仕事を続けていく上で、避けられない作業です。抜けがあると仕事が続けられなくなる可能性もあるため、事務的な手続きにかかる時間の計算もしておかなければいけません。
 
【社会的信用度が低い】
会社員エンジニアが社会的信用度が高いのに対して、フリーランスエンジニアの社会的信用度は低いと言えます。フリーランスエンジニアは会社に属さず仕事を行うため、“身分が保証されていない”という扱いになり、ローンを組む際の審査に引っかかってしまうケースも。

実際に会社員エンジニアからフリーランスエンジニアへと転身した人は、フリーランスになる前に家を買っておいたという人もいます。自由度が高いがゆえの不自由さがあることは、知っておくべきデメリットです。

■【派遣編】エンジニアとして働く

派遣会社に登録し、派遣社員としてエンジニアの仕事に就くこともできます。会社員エンジニア、フリーランスエンジニアなどの雇用形態とはどういったポイントが異なるのでしょうか。
 
・派遣エンジニアの働き方
派遣エンジニアとして働くためには、派遣会社に登録することから始めます。今は、IT業界に特化した派遣会社も増加。派遣エンジニアとして、仕事を始めやすい環境になっていると言えます。

エンジニアの仕事はプロジェクト単位で進んで行くケースがほとんどですが、今はエンジニアの人材不足からその需要が高まっている状況です。働き方のスタンダードが変わりやすい今、派遣エンジニアとしての働き方に注目が集まっています。
 
・派遣エンジニアとして働くメリット
エンジニアに対する需要が高まっていることから、派遣社員としてでもエンジニアを雇いたいと考えている企業は少なくありません。スキルや経験が武器となる派遣エンジニアですが、その壁をクリアすればメリットもたくさん。
柔軟な働き方ができる派遣エンジニアのメリットに、目を向けてみましょう。
 
【働く場所や時間などが選択できる】
場所や時間に対する制約が多い正社員エンジニアに対し、さまざまな面で自由度が高いイメージのあるフリーランスエンジニア。この両者に対し、派遣エンジニアは選ぶ企業によって正社員エンジニア寄りにもフリーランスエンジニア寄りにもなれるポジションにあると言えます。

派遣会社は、たくさんの企業の案件を抱えています。そのため、派遣会社が持っている案件の中から自由に派遣先の企業を探すことができ、自分の優先したいポイントに重きを置きながら仕事を見つけることができるのです。

また、「特定派遣」という形で派遣されれば、将来的にその企業で正社員になることも可能。ただ働くだけでなく、キャリアアップを目指したい人にとってもメリットの多い働き方だと言えます。
 
【さまざまな職場で働ける】
派遣エンジニアは、基本的に一つの職場に1~3年ほど在籍することとなります。雇用契約が切れるとまた別の企業と契約を結び…というサイクルを繰り返すのが、派遣エンジニアの働き方です。

この派遣エンジニアならではなサイクルは、さまざまな職場でエンジニアとしての経験を積みたいと考える人にとっては大きなメリット。出会える人の数もどんどん増えていくため、人脈も広がっていきます。
 
【高時給案件が獲得しやすい】
派遣会社にて派遣先の企業を探す場合、あらかじめ報酬が開示されているケースがほとんどです。そのため、仕事内容と報酬を照らし合わせながら派遣先探しができるため、効率よく収入アップできるケースも珍しくありません。

また、未経験を歓迎してくれる企業もあるため、未経験で高時給案件が獲得できる可能性も。経験がないからと諦めている人にとっても、待遇の良い案件が見つけやすいのは、派遣エンジニアならではです。
 
・派遣エンジニアとして働くデメリット
では、派遣エンジニアとして働くデメリットはどういったことなのでしょうか。
 
【雇用の安定性に欠ける】
基本的に定年を迎えるまで安定して働ける正社員エンジニアに対し、派遣エンジニアの雇用期間は1~3年と短期間。すぐに次の派遣先が決まれば問題ありませんが、ここでつまずいてしまうと職を失ってしまう可能性も否定できません。
 
【職場環境の変化が激しい】
メリットのところでもお伝えしたとおり、派遣エンジニアは1~3年で職場が変わります。その点がメリットとなる一方で、職場環境の変化についていけない場合にはデメリットともなり得るのです。

さまざまな職場で働けるからこその経験が積めるのは事実ですが、環境の変化に弱い人にとっては、派遣エンジニアという働き方は時に酷な状況を生み出す可能性があることを頭に入れておきましょう。
 
【正社員よりも収入が下がる】
高時給案件も獲得できる派遣エンジニアですが、正社員エンジニアと比べると収入は下がる傾向にあります。正社員に比べると基本給そのものや賞与などの水準が下がるため、当然正社員エンジニアのほうが収入は高くなるのです。

ただ、他の職種に比べれば、エンジニアは派遣社員としての給与の水準は高いので、働き方の自由度と天秤にかけながら派遣エンジニアになるかどうかを判断するといいでしょう。
 
【出世や昇給にはつながりにくい】
派遣エンジニアは、正社員エンジニアに比べると責任を負う機会は少ないと言えます。ただ一方で、責任を負う仕事が少ないゆえに出世や昇給にはつながりにくいのが事実です。

派遣先企業でいい成果を上げられたとしても、契約時以上の報酬は得られません。企業内で出世や昇給を目的としている人にとっては、派遣エンジニアの働き方は物足りないと感じるケースもあるでしょう。

■まとめ

エンジニアは、他の職種に比べて雇用形態の幅が広い職種だと言えます。エンジニアとして経験を積む方法やスキルアップする方法もたくさんあるので、常に上を向いて仕事ができる職種です。

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この記事の監修者:杉森由政

この記事の監修者:杉森由政

2018年2月Fabeee株式会社CTOに就任。現在は、新規事業開発部門の責任者を務めるともに、AIやブロックチェーンなどの先端技術を用いた研究開発も担当。また広島大学との連携研究においては、生体データを解析する人工知能および解析アルゴリズムの研究開発にも携わるなど、多岐に渡り活躍をしている。
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