【料理男子】意外と似ている!? システム開発と料理を紐解く

2018.09.18

2021.08.12

Fabeee社員ブログ


みなさん初めまして。炎の料理人、シェフKayagoeです。
私が勤めているフォトメという会社はシステムインテグレーション、平たく言えばシステム開発をしている会社です。なので今日は最新のテック情報をご紹介・・・と言いたいところですが、それなら他のサイトとかを見た方が良いので、今回のブログではちょっと違った切り口でいきたいと思います。
では、どういう切り口か?というところですが、今回は

料理とシステム開発

という観点で書いていきたいと思います。
一見すると何も関連性が無いように見えるこの二つですが、本質的なところは結構似ています。それを今日は洋食の王道、ビーフシチューの作り方から紐解いていきたいと思います。
 
あ、その水800円するから貧乏人は飲むなよ?


前準備


今回は4人分の分量で作ります。
玉ねぎ  100g(ちょうど半玉くらい)
にんじん 40g(1本のちょうど半分くらい)
セロリ  40g(こちらも1本のちょうど半分くらい)
にんにく 2片
オリーブオイル 50cc(理想は80cc)
牛バラ肉 600g(シチュー用またはブロック)
赤ワイン 200cc
バター  20g
小麦粉  20g
にんじん 1本半(具材用。大きめの乱切りに)
じゃがいも 2〜3個(煮崩れやすいので大きめにカット。メークインが理想)
固形ブイヨン 1個
トマトピューレ 1瓶(だいたい100〜200g)
ローリエ 3枚(牛肉の臭みを気にする方はもう4枚)
デミグラスソース缶 1缶


ソフリットを作ろう


はい、いきなり聞きなれない単語が出ました。まぁ詳しくはググってくれや。
ソフリットについて簡単に言うと香味野菜を多めの油で炒めたものを差します。洋食の基礎(特に煮込み料理)となるもので、これを他の洋風料理に入れるだけでも、普段の料理が格段にレベルアップします。では、作り方に移ります。
 
まずは、玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにくをみじん切りにします。なるべく粒度を揃えるようにすると焦げにくくなります。刻み終わったら厚手の鍋に材料をすべて入れて、オリーブオイルを注ぎます。ちなみに、オリーブオイルを80ccを計量した時に、「え?こんなに油入れるの!?」と驚かれる人もいるでしょう。ですが、ご安心を。この後の工程でその油たちが良い仕事をしてくれます。
 
中火にかけて加熱していきます。プロは弱火でかき混ぜながら1時間〜1時間半ほど加熱をしますが、今日はそれほど時間をかけていられないので蓋をしてしまいましょう。蓋をすればなかに蒸気がこもるため、下部はオイルによって加熱され、上部は蒸気によって加熱されます。水分がまわっていれば温度の上昇には上限があるため、火加減は中火のままで大丈夫です。そのまま5分加熱します。
(鍋が薄手の場合、温度の上昇が早いため注意しましょう。2〜3分置きに蓋を開けてかき混ぜたほうが安全)
 
かき混ぜる時は蓋の内側についた水分をなかに落とすようにしましょう。なかの温度上昇を抑え、蒸気に混じっている揮発化合物をなるべく逃さないためです。木べらで上下を入れ替えるように混ぜます。この時、底に香味野菜が張り付いているようであれば火加減が強すぎますので弱めてください。
もう一度、蓋をしめてもう5分加熱します。
 
5分経ったら蓋をあけて、今度は「蓋なしで5分加熱」します。さきほどまでの工程は野菜の甘みを引き出す工程で、今度はメイラード反応※1を起こしてコクを出す工程です。メイラード反応は低温でも進みますが、150〜160度くらいの温度にすると早く進みます。(それ以上の温度にすると糖が焦げる恐れがあります)そのため、蓋をしめずに水分を飛ばし加熱していきます。
※1.メイラード反応は和食、洋食問わず、料理を美味しくするために欠かせない化学反応の一種。詳しくはこちら

写真は完全にメイラード反応がおき終わった状態、これ以上炒めると焦げます。なので火を止める段階で、ここまで色合いが強くなるまで炒めてしまうと、火を止めた後の余熱で焦げてしまうので、火を止めるタイミングはもう少し早め(素材の色が、まだちらほら残ってるくらい)にしましょう。


肉を焼く


この料理の主役であるお肉を焼いていきます。ブロック肉を使う場合は5〜6cm角に切りましょう。フライパンに『さきほどのソフリットの表面に浮いている油』を小さじ1ほどひき、強めの中火でフライパンを温めます。しっかり温まったら、お肉を投入します。そしてここからが焼く上で最大のポイント。
 
お触り厳禁( ^ω^ )
 
先ほどのソフリットの作り方でも出てきたメイラード反応はお肉でも反応が起きます。例えば、ステーキの香ばしい焼き目もメイラード反応なのです。ビーフシチューを作る上でも、これを使わない手はありません。
そしてメイラード反応は150度以上で早く進むので、鍋の表面温度をある程度上げる必要があります。その時、肉から出てくる水分が邪魔になるのです。そのためお肉を木べらなどでベタベタ触ったり、焼き色が付く前に何度も裏返したりするのは厳禁。肉は水分を含んだスポンジのようなもので、箸やトングで不必要に押すと水分が流出し、焼き色がつきません。またよく焼くことで臭みのない仕上がりになります。


お肉の旨味を逃さず使おう


お肉が焼けたら1度取り出しますが、ストーーップ!!!フライパンはまだ洗っちゃダメ!ゼッタイ!
何故か?それは、フライパンにお肉の旨味がたくさん残っているから。洗い流しちゃうなんてもったいない!じゃあどうするか?ブラウンルーを作ってこそげ取りましょう。
ちなみに、ブラウンルーは小麦粉とバターを茶色になるまで炒めたもの。洋食のデミグラスソースをつくるときに使う材料です。
牛脂の残っている鍋に分量のバターと小麦粉を入れ、混ぜながら中火で加熱していきます。はじめはブクブクと泡立ちますが、やがて収まってきます。この状態で牛乳を入れればいわゆるホワイトソースができますが、ブラウンルーはさらに炒めます。キャラメルと同じくらい色付いたら火を止め、フライパンの底を濡れ布巾で冷やします。焦げるのを防ぐためです。人肌くらいまで冷めたら赤ワイン100ccを加えましょう。ルーが冷めていればダマになることはありません。
これが赤ワインを加えた直後。

これを混ぜながら火にかけます。ちゃんと混ぜ続けていれば、、、、

こんな感じにとろみがついてきます。お肉の旨味をたっぷり含んだ赤ワインルーの完成です。鍋でじゃがいも、にんじんを軽く炒め、先ほどの赤ワインルー、お肉、ソフリットを全て一緒にしましょう。一緒にしたらトマトピューレを1瓶、固形ブイヨン1個、ローリエ3枚、デミグラスソース1缶、水300cc、残りの赤ワイン100ccを入れ、中火で一旦煮立たせます。煮立たせたらアクが出てくるので、こまめに取りましょう。一通り取りきったら、弱火にしてお肉が柔らかくなるまで
煮込んでいきます。お肉の質にもよりますが、早ければ1時間ほど、硬いお肉は3時間ほど煮込みます。
(煮詰まり過ぎたら、ちょいちょいお水を足してください)
煮込み料理の美味しさは煮込んだ時間に、だいたい比例します。時間は掛かりますが、じっくり煮込みましょう。
ま、僕は圧力鍋使って25分で済ませましたけど。楽だわ〜。

煮込み料理の時ほど、圧力鍋の偉大さを感じます

 
そして、30分3時間煮込み終わったものがこちら。
ちなみに、煮込み始めたばかりの鍋には野菜の旨味をたくさん含んだソフリットの油、お肉の油が浮いていますが、この頃には見る影もなくなっているはずです。何故かというと、赤ワインルーに含まれる小麦粉(タンパク質)が油と乳化して、均一に混ざり合ってるから。また、乳化することで油っぽさがなくなり、シチュー特有のとろみも出ます。

お、“ソレ”っぽくなってきましたね。このタイミングで味見をしてみましょう。
 

・・・マズくはないけど、思ったよりも美味しくない。

 
そう、この段階だと実はまだそんなに美味しくありません。赤ワインやトマトの酸味、デミグラスソースの苦み等、色々な食材の特徴が、まだ調和しきっていません。でも心配ご無用。ここから調和を取っていきます。
写真を撮り忘れましたが、ここで活躍するのが板チョコ。特に50%カカオなどのビター系のチョコがベターです。
 
チョコに含まれる砂糖(甘み)がトマトや赤ワインの棘のある酸味をまろやかにし、カカオの香ばしい香りはデミグラスソース独特の苦味を含んだ香りをより引き立たせ、深いコクを生み出します。
今回の分量であれば、20〜30gくらいがちょうどいいでしょう。あまり入れ過ぎてもカカオの強い香りが、全体のバランスを壊します。チョコを入れても酸味が気になるようなら、上白糖を少しずつ入れてください。
途中で水を足し過ぎて味が薄い、または純粋に塩気が足りない場合は固形ブイヨン、またはトマトケチャップを少し加えても良いでしょう。
 
味を整え終えたら完成です。

ビーフシチューは肉が主役の料理なので、お肉の質に大きく左右されますが、この作り方で作れば、特売セールで売っているような安いお肉でも、きっとワンランク、もしくはそれ以上の味になっていると思います。また、一晩寝かせればお肉に水分が戻ってしっとりとした食感になり、より美味しく食べられます。
 


最後に


ここまでつらつらと料理についての駄文を綴ってきましたが、結局システム開発と料理に、どこが関連性があるのか?
それは
 

何を、どう作るか?

 
という点です。
システム開発はどんなシステムを、どう作るか?というところから考えるかと思いますが、料理も一緒でどういう料理をどう作るか?というところから始まります。
その後の行程も結構似ていて、言語や開発環境の選定は料理で言う食材、調理機材の選定、設計書はレシピ、調理は実装、テストは味見。こうして見ると料理ってシステム開発と似ていると思いませんか?
“でも、料理とシステム開発が似ているからと言って、それが何になるのか?”と言う話になるのですが、料理はパターン認識が肝になってきます。
 
「この味、何かに似てるな。あ、あの食材と一緒だ!」
「ということは、あの料理にも使ったら美味しいかも」
「この調理方法、あの料理にも応用出来そうだ!」
 
料理をしているとこんなことが多々ありますが、開発現場でも似たようなことはあると思います。
 
「このシステムは以前に作ったあのシステムと似ているから、応用してみよう!」
「このツール、今やってるプロジェクトにも使えそうだ!」
 
こんな具合に。(この逆も然り)
もっと広義的なことを言ってしまえば、これはビジネス全体にも応用の効く話です。
技術情報や市場動向の勉強はとっても大事ですが、料理を通じてイマジネーションを鍛え、より応用の効く思考を鍛えてみる、というのも一つの選択肢としてどうでしょうか?
( 上手に出来れば美味しい料理というおまけも付きますしね)
 
そして、現在フォトメでは料理人兼エンジニアを積極募集中です!
ちょっとでも興味を持ったそこのあなた、ぜひぜひこちらのページも覗いていってみてください。
 
最後までお読み頂きありがとうございました!
 

Fabeee編集部

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こちらの記事はFabeee編集部が執筆しております。