投稿日 2024.01.09

最終更新日 2024.01.09

IT導入補助金とは?補助金の種類や申請の方法などを分かりやすく解説

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、主に中小企業や小規模事業者を対象として、情報技術(IT)関連の製品やサービスを導入する際に、政府や自治体から提供される財政支援の一形態です。この補助金の目的は、企業の生産性向上や業務効率化、さらにはデジタルトランスフォーメーションへの適応を促進することにあります。具体的には、クラウドサービスの利用、業務管理システムの導入、オンライン販売プラットフォームへの参加、セキュリティ強化のためのシステム導入など、多岐にわたるIT関連の投資に対して補助が行われます。
 
この補助金は、企業が直面するデジタル化の障壁を取り除き、競争力の強化を支援する重要なツールです。特に、中小企業やスタートアップにとっては、限られた予算の中で最新のテクノロジーを活用する大きなチャンスです。補助金の申請プロセスには、提案書の提出や計画書の詳細な記述を含みます。企業は、補助金を利用することで、IT投資の初期コストを軽減し、長期的なビジネス成長に資することができるのです。
 
しかし、この補助金を活用するには、複数の要件を満たす必要があります。申請者は、補助金の対象となる企業であること、導入を計画しているIT製品やサービスが補助金の対象となるものであること、そして提案されたプロジェクトが補助金の目的に適合していることを示す必要があります。また、補助金の申請には期限が設けられている場合が多く、審査プロセスも競争が激しいため、計画の提出は早めに行うことが望ましいです。
 
IT導入補助金を効果的に活用するためには、最新の情報を把握し、適切な計画と準備が必要です。補助金を通じてITソリューションを導入することで、企業はデジタル時代における競争力を高め、新たなビジネス機会を捉えることができるのです。
 

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IT導入補助金の種類と補助上限額

IT導入補助金には、ビジネスの規模やニーズに応じたいくつかの種類が存在します。最も一般的なのは、中小企業や小規模事業者向けの標準的な補助金ですが、それ以外にも特定の業種や技術分野をターゲットにした特化型の補助金が提供されることがあります。例えば、電子商取引のためのプラットフォーム導入を支援する補助金や、高度なセキュリティシステムの導入を促進するための補助金などがあります。このように、各補助金は企業が直面する特定の課題や目的に応じて設計されています。
 
補助金の上限額は、それぞれのプログラムによって異なります。一般的に、標準的な補助金プログラムでは、導入費用の一部(例えば、50%や2/3など)が補助の対象となります。補助の上限額は、数十万円から数百万円の範囲で設定されることが多く、企業が計画するプロジェクトの規模や内容によって異なります。特化型補助金の場合、より高額な補助が提供されることもあります。特定の技術やサービスの導入を奨励する意図があるからです。
 
たとえば2023年のIT導入補助金では、いくつかの異なるカテゴリーが提供されていました。これらは主に「通常枠(A類型・B類型)」、「セキュリティ対策推進枠」、および「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」の3つの主要な枠組みで構成されています。通常枠は業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援するための補助金です。補助額はA類型で5万円以上150万円未満、B類型で150万円以上450万円以下と設定されています。セキュリティ対策推進枠はサイバーセキュリティの強化を目的とした補助金で、デジタル化基盤導入枠には「デジタル化基盤導入類型」や「複数社連携IT導入類型」など、特定の目的や形態に特化した補助金が含まれています。
 
また補助金の申請には、企業が満たすべき複数の条件があります。例えば、企業が中小企業や小規模事業者であること、補助金を活用して導入するIT製品やサービスが市場で広く認知されているものであること、計画された導入が企業の業務効率化や生産性向上に直結することなどが挙げられます。これらの条件は、補助金がその目的に沿って効果的に使用されることを保証するためのものです。
 
IT導入補助金の申請プロセスは、詳細なビジネス計画や予算計画の提出を含みます。企業は、どのようにして補助金を活用してビジネスの成長を図るか、その詳細を計画書に記載する必要があります。これには、導入するITソリューションの詳細、期待される効果、プロジェクトのタイムライン、予算配分などが含まれます。補助金の申請は競争が激しく、限られた予算内で多くの申請者が支援を求めているため、計画の品質と実行可能性が重要な審査基準となります。
 
要するに、IT導入補助金は中小企業や小規模事業者にとって重要な財政支援ツールですが、その活用には適切な計画と準備が必要です。補助金の種類や上限額を理解し、申請プロセスに精通していることが、成功への鍵となります。

補助金または助成金活用企業の活用の実態

補助金または助成金の申請して獲得できる金額

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補助金または助成金の申請よる獲得予算

申請してる補助金または助成金の種類

DX推進で活用できる補助金/助成金、 「IT導入補助金」が56.4%で最多となりました。

申請してる補助金または助成金の種類

経営者・役員の実例から学ぶ!補助金/助成金申請の前にやっておくべきことは?

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IT導入補助金の申請方法

IT導入補助金の申請方法は、いくつかの段階を経て進行します。このプロセスは、中小企業や小規模事業者が適切に補助を受けられるよう設計されています。まず初めに企業は自社のニーズに合ったIT導入支援事業者とITツールを選定する必要があります。この選定は、事業の特性や規模、直面している課題に基づいて行われます。支援事業者やツールの選定は、補助金事務局が提供するツール検索システムを利用するか、あるいは企業自身がインターネットで検索することで行います。
 
次に補助金の申請に必要な行政サービスへの登録が求められます。これには、「gBizIDプライム」アカウントの取得や「SECURITY ACTION」への宣言などが含まれます。「gBizIDプライム」は法人や個人事業主が行政サービスを受けるための共通認証システムであり、「SECURITY ACTION」は中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むための自己宣言制度です。また、2023年度からは「みらデジ」ポータルサイト内での登録や「経営チェック」の実施も必要です。
 
申請段階では、IT導入支援事業者と協力して、必要な事業計画を策定し、それに基づいて補助金の申請を行います。申請は、事務局が提供する「申請マイページ」上で、必要な情報入力と書類の添付を行い、最終的に申請者が宣誓を行って提出します。申請が完了すると、事務局で申請の審査が行われ、交付決定の通知は「申請マイページ」を通じて申請者に伝えられます。交付が決定された後、企業は補助事業を開始することができますが、交付決定前に契約や導入が行われた経費は補助対象外となるため、注意が必要です。

IT導入補助金のポイント

IT導入補助金では業種や業務に特化した製品が対象となります。これは、汎用ツールだけでは補助の対象とならないことを意味しています。したがって申請する際には、導入するITツールがこの要件を満たしているかどうかを確認することが重要です。補助金額と補助率に関しては、通常枠A類型では補助下限が5万円に引き下げられ、B類型では最大450万円までの補助が可能です。補助率は通常枠で1/2以内、デジタル化基盤導入枠で3/4または2/3に設定されています。
 
また申請のスケジュールに注意することが求められます。申請締切日から約1ヶ月後に交付決定日が設定され、補助事業はこの交付決定日以降に開始する必要があります。準備物としては、gBizIDプライムアカウントの取得や「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。これらは補助金申請のための基本的な手続きであり、不備があるとアカウント発行が遅れるリスクがあるため、早めに準備を進めることが推奨されます。さらにIT導入補助金では、通常枠でクラウド利用料の補助期間が最大2年に延長され、デジタル化基盤導入枠の補助下限が撤廃されるなど、より使い勝手の良い仕組みとなっています。
 
最後に導入支援事業者の選定においては、長期的な関係が可能な業者を選ぶことが大切です。多くの申請・採択の実績がある業者や、会社の規模に適したツール提案をする業者を選ぶことが推奨されています。

IT導入補助金の活用した事例

IT導入補助金の活用事例には、様々な業種の中小企業や小規模事業者が含まれます。例えば市原ファームでは、地域特産品に特化したECサイトを開設し、販売支援や資金回収管理を強化しました。有限会社天女山は、ITツールとドローンを組み合わせて森林調査の効率を大幅に向上させました。株式会社ホーム・アートは、公共工事用の積算システムを導入して元請け比率を高め、小幡建設工業株式会社では勤怠管理ツールとオンライン会議環境を整備し働き方改革を推進しています。
 
さらにその他の事例としては、株式会社河北が工事原価作成システムを導入し利益率とコスト削減に成功、ケーズメタル株式会社は会計システムを導入して経理業務の負担を軽減し、迅速な経営判断を実現しています。有限会社千葉恵製菓は和洋菓子のECサイト販売を展開し、売り上げを拡大しました。
 
これらの事例は、IT導入補助金が業務の効率化、売り上げの増加、コスト削減など、ビジネスにおいて大きな効果をもたらしていることを示しています。このようにIT導入補助金は、多岐にわたる分野での生産性向上やビジネスモデルの変革を促進する効果があるのです。
 

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。