投稿日 2024.03.19

最終更新日 2024.03.19

Salesforceが実践するカスタマーサクセスとは?ポイントを解説

Salesforceが実践するカスタマーサクセスとは?ポイントを解説
Salesforceは世界で有数のポピュラーな営業支援プラットフォームを提供する会社ですが、同社が成功を収めている理由の一つに、カスタマーサクセスを重視していることが挙げられます。
 
この記事では、そんなSalesforceが実践しているカスタマーサクセスのための取り組みについて、注目したいポイントをまとめて解説します。

カスタマーサクセス(CS)について

カスタマーサクセス(CS)について

カスタマーサクセスとは、端的に言えば商品を購入した顧客に寄り添い、商品を通じて顧客が成功体験を得られるべく、提供企業が顧客に対して実施する各種施策を指す言葉です。
 
Salesforceの創設者であるマーク・ベニオフが提唱を始めたとされるこの概念は、あらゆる商品・サービスを顧客に提供するにあたって重視されるようになった概念で、利益率の向上において重要な役割を果たすことが注目されています。
 
また、近年は安定した収益化が見込めるサブスクリプションビジネスの台頭に伴い、カスタマーサクセスの重要性はますます高まっていると言われています。カスタマーサクセスの強化を通じて顧客エンゲージメントを高めることが鍵を握るからです。

Salesforceのビジネスモデルとカスタマーサクセス

Salesforceがカスタマーサクセスを重視する背景には、同社のビジネスモデルが大きく関与していることがわかります。
 
Salesforceは現在、クラウド型の法人向けプラットフォームを提供しており、月額制の課金によってサービスを利用することができるビジネスを主流としています。いわゆる典型的なサブスクリプションビジネスですが、ここでポイントとなるのが、顧客はいつでもサービスを解約し、別の製品に乗り換えられる点です。
 
ハードウェアを買い切り型で販売する場合、例えば製品の品質や事業者のサポートに不満があっても、一度購入してしまった以上、少なくとも減価償却が済むまでは製品を使い続けなければ損失が大きくなってしまいます。一方でSalesforceのようなクラウドサービスの場合、不満があった際にはすぐにサービスの利用を打ち切ってしまった方が、損失が小さく抑えやすいのです。
 
そのため、Salesforceも当初は順調に契約者の獲得に成功していた一方、月当たりの解約率も決して小さくなく、顧客の流出に悩まされていました。そこで同社が注目するようになったのが「カスタマーサクセス」の概念で、ここをコアバリューとして考えることが、同社の成長における重要な成果をもたらしました。
 
参考:https://www.techno-producer.com/column/salesforce-customer-success-strategy

Salesforceが取り組むカスタマーサクセスとは

Salesforceが取り組むカスタマーサクセスとは

それでは、Salesforceは具体的にどのようなカスタマーサクセス施策を展開しているのでしょうか。知っておきたいポイントとしては、同社では以下の2つの概念を用いて顧客の成功に向けた活動を進めている点です。

トレイルブレイザー

トレイルブレイザー(Trailblazer)とは英語で「先駆者」を意味する言葉ですが、Salesforceではこの言葉を顧客企業の導入担当者を表現する上で使用しています。Salesforceの導入は、導入企業にとって大きなビジネスの転機をもたらすきっかけを与えられる取り組みである反面、従来の業務フローや企業文化からの大きな革新が求められるチャレンジでもあります。
 
Salesforceは、そんな導入担当者を企業に変革をもたらせるポテンシャルを秘めたパートナーと考え、変革への挑戦をトレイルブレイザーとして強力に後押しするカスタマーサクセス施策を展開しているのが特徴です。
 
Salesforceの運用を教育するためのプログラム「Trailhead」の展開や、Trailblazers Communityの運営など、その施策は多岐にわたります。

オハナ

トレイルブレイザーと並んでSalesforceが重視している考え方として「オハナ」が挙げられます。オハナとはハワイの言葉で「家族」を意味するものですが、Salesforceにおいては社員はもちろん、顧客とステークホルダーをも同社の「家族」として捉え、お互いにフラットな意見表明ができるコミュニティとして用いています。
 
Salesforceでは企業課題はもちろん、個人レベルでの問題や社会課題など、あらゆる人々や組織が直面するチャレンジに正面から向き合います。一筋縄では行かない問題へ果敢に立ち向かえる企業活動を実現することで、企業や商品の魅力を高め、安心して優秀な人材が活躍できるような環境を構築する取り組みです。
 
Salesforceがカスタマーサクセスにおいて多大な成果を挙げてきたのも、このようなオハナの拡大を両立できていたことが背景として考えられます。

Salesforceが注目する「顧客の自走化」とは

カスタマーサクセスとはサービスベンダーが積極的に顧客へ関与し、サポートするようなイメージがある取り組みですが、顧客をただ囲い込み、おんぶに抱っこを続けてしまうことは好ましい状況とは言えません。
 
そこでSalesforceでは「顧客の自走化」というコンセプトを据えたカスタマーサクセスを実施しており、最終的にはSalesforceに頼る必要のない、完全な内製化を促進しているのが特徴です。

参考:https://coorum.jp/cxin/event_report/salesforce/

顧客の自走化を実現する上で、Salesforceが顧客へ促しているのが高速でPDCAを回し、成果を生み出せる環境です。Salesforceが提供するプラットフォームを活用してデータの収集と蓄積、活用を改善し、改善ポイントの迅速かつ的確な把握、そして改善施策の実施を促します。
 
当初こそSalesforceのサポートチームがこれらを支援しながら顧客に促しますが、最終的な顧客が自立して実施できるようになることを、Salesforceはカスタマーサクセスの実現において重要なことと考えているわけです。

CS実現のためにSalesforceが設定するKPI

Salesforceでは、カスタマーサクセスの実現において

  • 契約更新率
  • ヘルススコア
  • エンゲージメント

という3つのKPIを設定しています。
 
契約更新率は、毎年の顧客の更新後契約金額を更新前契約金額で割った数値とし、結果的なKPIとして重視されています。
 
途中指標としてSalesforceが重視しているのが、ヘルススコアとエンゲージメントです。利用状況や契約年数、問い合わせ状況などを可視化しヘルススコアとすることで、契約更新やアップセルにつながる可能性を見極めます。
 
また顧客との打ち合わせの実施やウェビナーへの参加状況などをエンゲージメントとすることで、コミュニティにおける活動状況なども含めた関与度合いの指標として活用しているのが特徴です。

Fabeeeが提供する定着化支援

Salesforceは比較的他のサービスと比べてカスタマーサクセスの実現に向けた施策が充実しているサービスではあるものの、一方で外資系企業の支援を前提としたサービスであることも要因となり、日本の企業にとって十分な支援が得られない可能性があることも考慮しなければなりません。
 
そこでFabeeでは、Salesforceを使ったDXを顧客に合わせて実現すべく、丁寧な導入・定着化支援を提供しています。現場の事情を踏まえたSalesforceの活用や、サービス導入によるメリットの最大化に向けた提案など、Salesforceの導入後の活用も見据えた定着支援によって、顧客の事業成長に伴走しています。
 
※ご参考資料
https://9208363.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/9208363/06.DX/02.DX/fabeee-interview-flyingfish.pdf
https://9208363.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/9208363/06.DX/01.salesforce/Salesforce%20On%20Boarding_Fabeee_BansoDX.pdf

まとめ

この記事では、Salesforceが実践しているカスタマーサクセス施策について解説しました。カスタマーサクセスの概念を世界に広めた企業であるとともに、同社のビジネスモデルとカスタマーサクセスが切っても切れない関係にある以上、その取り組み内容は参考になるものばかりです。
 
Salesforceの強みや機能への理解を深め、高度な運用を実現するべく、社内での活用可能性についてまずは議論してみると良いでしょう。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。