投稿日 2024.02.01

最終更新日 2024.02.01

新規事業開発を成功させるためのポイントを事例を含めて解説

新規事業開発を成功させるためのポイントを事例を含めて解説

新規事業の必要性と意味

新規事業の必要性やその意味を理解するにあたり、「新規事業」という言葉の定義を十分理解しておく必要があります。「自分はマーケティング担当者として十分キャリアを積んでいる」と思っていても、「新規事業」の定義を間違って理解していたり、思い違いをしているケースは意外に多いようです。こちらで、新規事業の定義を今一度確認したうえで、必要性と意味について考えていきましょう。

新規事業の定義をおさらい

新規事業とは、既存の事業とは別の新たな分野に参入し、事業として立ち上げることを言います。なお、新規事業と言うと、新商品やサービスの開発をイメージする方もいますが、これは新規事業の定義の一部と言えるでしょう。新商品や新サービスの開発に加え、事業の多角化などにより、これまで獲得できなかった新たな顧客層取り込みを図って事業を展開することが新規事業と定義づけられます。

新規事業の必要性

事業には栄枯盛衰がつきものです。世の中のトレンドやニーズは刻一刻と変化しており、大企業であろうとその波には逆らえないでしょう。既存の事業だけでは成長が見込めない、これまでと同様の利益を確保できないという事態はどの企業にも起こりうるため、新規事業に取り組み、競争力を維持・強化することが重要になります。

新規事業の意味や意義

新規事業が順調に成長を遂げれば、その企業のビジネスモデル、つまり収益獲得の仕組みが増えることになります。収益の柱が複数あれば、仮に一つの事業がうまくいかなくても企業の存続および成長は可能になります。それが、新規事業を立ち上げるべき意味でありメリットです。

新規事業の戦略的アプローチ 新規事業を成功させるポイント

新規事業を立ち上げる場合は、アプローチの方法および順番が大切になります。必要不可欠なプロセスであっても、順番を間違えると時間的・金銭的コストが余計にかかったり、成功に至らない可能性があるからです。逆に、各プロセスを順番通りに実行すると、戦略的かつ効果的なアプローチになりえます。こちらでアプローチの方法を順番を追って説明します。

目的と目標の設定

新規事業立ち上げの最初の段階で必要なのは、事業策定の目的や明確な目標の設定です。ゴールが不明瞭なまま新規事業を立ち上げてしまうと、途中で方針がぶれる可能性がありますし、達成度合いも把握できないでしょう。目的は明確に、目標には具体的な数字を挙げて設定することが新規事業成功の第一歩です。

現状分析

新規事業立ち上げに際し、現状を理解することは重要です。現時点の立ち位置を知ると、自社の強みや弱みを理解でき、方向性を定めるのに役立つからです。現状分析に先立ち、適切な情報集めにも注力したいものです。耳障りの良いものだけでなく、耳の痛い情報も集めると、効果的な戦略立案に役立つでしょう。

ビジョンの明確化

現状分析の結果を踏まえ、自社ならではの価値を理解し、それを活かすための方向性を決めます。今後のビジョンを検討する際は、方向性が異なる複数の選択肢を用意しておくと良いかもしれません。選択肢があればあるほど、失敗した際の方向転換が容易になります。

各戦略の評価

目指すべき方向性が決まったら、アプローチ方法を複数用意し、最も実現可能なやり方を模索していきます。評価に際しては、初期・運用コスト、新規事業を立ち上げるメリット・デメリット、起こり得るリスクなどを検討します。

施策の策定および実行

アプローチ方法を具現化して、実行できる施策に落とし込んでいきます。新規事業開始までのステップやスケジュールを決め、優先順位の高い施策から実行してPDCAを進め、本稼働につなげましょう。

なお、新規事業の立ち上げはそれ自体が目的になりがちであるため注意が必要です。新規事業は、会社の成長や利益に貢献して、初めて成功と言うことができます。続いて、新規事業を成功させるのに役立つポイントをピックアップして取り上げます。

市場規模拡大が見込めるところで勝負する

新規事業は自社の新たな可能性を探る取り組みであり、いばらの道を進むかのような困難も伴います。それゆえ、失敗する確率も決して少ないとは言えません。より条件の良いところで勝負した方が成功確率が高まりますし、失敗してもある程度の収益を確保できるでしょう。これから成長が見込める市場で、自社の強みを発揮できる分野に参入するのが得策です。

まずは手近なところから小さく始める

新規事業を東京や海外など新たな土地で始める企業もありますが、できれば自社の所在地で小規模に始めた方が良いでしょう。見知らぬ土地で土地勘がない、もしくはその地域の実情を理解していない状況で事業を始めてしまうと、予想以上に苦戦する場合があります。地元であれば、自社のネームバリューや人のつながりを活用できるため、成功確率は高まります。

事業計画を綿密に立てる

事業計画書は、メリットは控えめに、リスクは厳しめに記載すると現実に即したものになります。絵に描いた餅は理想であって、現実から乖離しており、ゴールから遠ざかる危険性があります。一度立てた事業計画を何が何でも行うというよりも、ステップごとに検証し、修正していくと成功に近づくでしょう。

スピード感ある意思決定

新規事業の意思決定は、従来の事業よりもスピーディーに行うのがポイントです。承認に時間がかかりすぎると、競争相手に遅れをとる場合があります。スピードは大事ですが、致命的な決定をしないよう予防線を張っておくことも大切にしましょう。事前に撤退するラインを決めておくのも良い方法です。

外部の視点を取り入れる

新規事業の失敗の多くは、既存の考え方や従来のやり方を重視しすぎることから生じています。ベテラン社員であっても、新規事業立ち上げに関しては素人と言う方が集まって行うことが多いため、致し方ないかもしれません。新規事業立ち上げの過程では、上司や先輩社員に頼る傾向が強くなります。できれば、コンサルタントなど他者の目線を取り入れると、物事を客観的かつ柔軟に見ることができるようになり、成功率が上がるようです。

新規事業の成功事例3選

では、実際に新規事業に成功した事例を厳選して取り上げてみましょう。

富士フイルム株式会社

「写ルンです」など写真関連の商品をヒットさせてきた富士フイルムでは、新規事業として化粧品開発に参入しています。機能性が高い化粧品は市場規模拡大が見込める分野ですが、富士フイルムは培ってきた写真用フィルムの製造技術を活かし、素材の粒子を細かくして肌への浸透力を高める化粧品開発に成功しました。今では、富士フイルムは誰もが知る化粧品メーカーに成長しています。

ヤマト運輸株式会社

配送サービスのノウハウを豊富に持つヤマト運輸は、家電製品の修理事業を開始しています。家電製品の修理は、販売店やメーカーに連絡して修理の約束を取り付け、製品を自ら梱包する必要があったため、利用者側の負担になっていました。ヤマト運輸では、パソコンやデジタル製品を安全に輸送する技術を持っており、故障した電気製品の回収から返却までをトータルで担えるため、人気のサービスとなっています。

ユニ・チャーム株式会社

ユニ・チャーム株式会社では、おむつや生理用品に使用する不織布・吸収体製品の製造技術を生かし、ペット用品の開発に参入して成功しています。使われているのは、紙おむつや生理用ナプキンなどに活用されている素材・高分子吸収体です。これをシート状にし、従来よりも多くの水分を吸収できるペットシーツを開発しました。ペットにお金をかけることをいとわない飼い主は多く、コロナ禍でペットを飼う人が急増したことも成功の要因の一つです。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。