メタバースとNFTの関係性とは?実際の事例をもとにそれぞれの活用方法について解説

2022.06.06

2023.09.07

DXのあるべき姿を考える

メタバースとNFTの関係性とは?実際の事例をもとにそれぞれの活用方法について解説

新たなビジネスの場としても注目を集めている、メタバース。仮想通貨との関連性も高い分野であることから、いかに安全で安心して利用できるかという点が重要になっています。
 
メタバースを安心・安全に利用するためには、「NFT」という技術の活用が欠かせません。そこで今回は、メタバースとNFTの関係について解説します。

メタバースとは

メタバースとは

まずは、メタバースとは何か?というところのおさらいから始めていきましょう。
 
メタバースとは、meta(超越した)universe(宇宙)という単語が組み合わさってできた造語。日本語でわかりやすく言えば「仮想空間」という意味で使われる言葉であり、meta(旧Facebook社)が開発に力を入れ始めたことから、近年耳にする機会も増えてきました。
 
メタバースの特徴は、ネット上に存在している仮想空間でありながらも、経済圏を持っているということ。インターネットを介して他者とリアルタイムで交流できる上に、現実世界との連動性もあるため、新たなビジネスの場としても注目を集めているのです。
 
メタバースについては、先日アップした記事「メタバースとは?仮想空間を使ってできることやそのメリットについて解説」内でも解説しているので、参考にしてみてください。

 
■メタバースについて知りたい方はこちら

NFTとは

NFTとは

メタバースについて解説する上で避けて通れないのが、NFTの存在です。NFTはNon-Fungible Tokenという言葉の略称。直訳すると、「代替不可能なトークン」という意味になります。
 
「代替不可能なトークン」とは、替えの効かない暗号資産のこと。お金やフリー素材のイラスト、市販品など“代替性のあるもの”に対してではなく、直筆サインの入った本や世界にたった一枚しかないトレーディングカードなど非代替性のあるものに対してNFTが活用されます。
 
NFTの最大のメリットは、デジタル資産の所有者を明らかにできること。NFTの技術が確立される前は、ゲーム内で取得したアイテムやオンライン上にあるイラストや画像、音楽など“デジタル資産”と呼ばれるものの所有者を明確にすること自体が困難でした。
 
NFTが登場してからは、コピーかどうかの判別が可能に。自分が所有するデジタル資産に対して、「自分が所有者である」ということの証明ができるようになったのです。
 
もう一つのメリットは、誰でも使えるということ。NFTはブロックチェーンの技術が応用されていますが、プログラミングなどのスキルがない人でも作成・発表が可能です。作成した作品をアップロードするだけでNFT化できるため、オンライン上でも“自身の作品である”と自身を持って発表できるようになりました。
 
NFTの登場で、自分の持ち物を自分のものだと証明することができるようになったことから、デジタル資産の活用の範囲は飛躍的に広がっていったのです。

メタバースとNFTの関係性

メタバースとNFTの関係性

メタバースとNFTはしばしば同じような文脈で同時に使われることがあるため、両者は同じものだと誤解している方は少なくないのではないでしょうか。しかしながら、この2つは実際には全く異なる概念であり、簡単に言ってしまうとメタバースの可能性を拡大するのがNFTという存在です。少し言い方を変えると、メタバースとNFTの相性は良好ではあるものの、現時点では両者の関係性はそこまでに留まっています。
 
NFTはデジタル資産を所有するのが誰であるのかを明らかにするために用いられる技術である一方で、メタバース内では新たなデジタル資産が創出されたり、他のユーザーとコミュニケーションを取ることが数多くあります。暗号資産などを通じてメタバースで用いられる通貨はリアルな世界の通貨とリンクすることができるため、デジタル資産の所有者を明確化できるNFTの需要は将来的にこれまで以上に高まっていく可能性はあるでしょう。もっとも、既存のメタバースにとってNFTは必須の存在ではなく、それがなくても支障なく利用できるという点には留意する必要があります。両者の相性は良好であるため、メタバースにとってNFTはあれば便利な存在ではあるものの、必ずしも欠かすことができない存在であるとは言えません。

メタバースにおいてNFTはどのように活用されている?

メタバースにおいてNFTはどのように活用されている?

メタバースは、NFTを組み合わせることによってその可能性が広がります。代表的なのは、ゲーム内で取得したアイテムや自身で作成した作品、アバターなどをNFT化するケース。これまでゲームやエンターテインメント業界の参入が目立っていたメタバースですが、NFTも同じくゲーム内にて活用されるケースが少なくありません。
 
例えば、ゲーム内で取得した土地やアイテムなどをNFT化して、高値で二次販売を行って利益を得る。これは、メタバース×NFTの関係性を象徴する活用事例だと言えます。ゲーム内にて取得したものをNFT化することで自分のものであるという証明ができるようになるため、世界でたった一つのデジタル資産となるのです。
 
NFTが登場するまでは、ゲーム内にあるアイテムなどはあくまでもそのゲームの中でしか価値のないものでした。しかしNFTが登場してデジタルデータの所有権が証明できるようになってからは、ゲーム内のアイテムもNFT化することで一つの資産に。
 
実際、NFT化したアートNFTアートが日本円にして億単位の金額で取引されたケースもあり、NFTが登場したことによってメタバースが大きなビジネスチャンスの場となったことは間違いありません。

メタバース×NFTの活用事例

メタバース×NFTの活用事例

近年、メタバース×NFTの活用事例も着々と増えてきています。早速どのようなケースがあったのか、確認していきましょう。
 
社会のデジタル化が進む中で、近年メタバースとNFTを組み合わせて活用する事例が増加傾向にあります。ここでは、そういった事例の中からいくつかをピックアップしてご紹介します。

The Sandbox(ザ・サンドボックス)の事例

The Sandbox(ザ・サンドボックス)はいわゆるNFTゲームと呼ばれるものの一つで、メタバースの環境を用いてユーザー間でコミュニケーションを楽しんだり、他のユーザーが作ったゲームをプレーできるというものです。このザ・サンドボックスの環境内では、現実世界の土地に相当するLAND(ランド)やアバターに加え、そこにゲームを作るために必要になる様々なアイテムや素材を売り買いすることが可能です。なお、これらはNFTマーケットプレイスに加えて、ゲーム内のマーケットでも取引できるようになっており、特にLANDについてはその希少価値が高く評価されているため、二次販売を行った場合には思った以上の高値で買い手がつく場合があります。

Decentraland(ディセントラランド)の事例

Decentraland(ディセントラランド)は、Decentraland Foundationというカリフォルニアを本拠とする非営利団体が開発したバーチャルプラットフォームです。ブロックチェーンの技術を使って作られているもので、メタバースを活用して利益を得ようと考えている多くの人々の支持を集めています。世の中に出ているメタバースプロジェクトの多くはまだまだ構想段階に留まっていますが、このディセントラランドは実際にメタバースの世界を体験できる状態になっています。その特徴は、初心者でも容易にゲームを開発できるようにするためのクリエイター機能が豊富に用意されているという点にあります。
 
ちなみに、ディセントラランドはメタバースに関心を有する企業などの間ではよく知られた存在であり、アメリカの金融大手であるJPモルガンや世界的な飲料メーカーであるコカ・コーラなどからも注目されています。実際に数多くの企業とのコラボレーションも行っていますので、今後もその動向からは目が離せません。

Axie Infinity(アクシー インフィニティ)の事例

Axie Infinityは、2018年にリリースされたメタバースゲームです。Axie(アクシー)というNFTペットを使って、対戦や繁殖、育成、取引することによって仮想通貨を稼ぐことが可能となっています。Axieは購入する以外に、無料で借りることもできるので、初心者でも始めやすいというのがこのゲームの特徴です。

BlankosBlockParty(ブランコスブロックパーティー)の事例

BlankosBlockPartyは、メタバース内で遊べるパーティゲームで、障害物レースやシューティングといったミニゲームを複数のプレイヤーが同時にプレイできます。ステージを自作したり、アバターやファッションアイテムをマーケットプレイスで取引したりすることも可能です。

EmberSword(エンバーソード)の事例

EmberSwordとは、ゲーム内の色々なアイテムをトークンとして取引できるMMORPGです。アイテムやキャラクターは敵を倒すなどして成長させることができ、土地に施設を作って素材等を手に入れることもできます。

CryptoVoxels(クリプトボクセルズ)の事例

CryptoVoxelsは、メタバースを体感できるNFTゲームで、その世界はボクセルと呼ばれる立方体で構成されています。他よりも自由で柔軟性の高いプラットフォームを目指しており、完全にオープンソースになっているという点が特徴です。

Somnium Space(ソムニウムスペース)の事例

Somnium Spaceは、イーサリアムとソラナのブロックチェーン上に構成されている仮想空間で、VRデバイスに対応しています。Decentralandと仕組みが似ているところが多いというのが特徴です。

まとめ

メタバースの可能性を広げる存在である、NFT。これから上昇の一途を辿るであろうデジタル資産の価値ですが、デジタルデータに価値を与えたのは紛れもなくNFTです。
 
メタバースに対する期待値が高まっているということは、NFTに対しての注目度も上がるということ。これからビジネスにおいてメタバース開発に着手する企業が増えることが予想されますが、うまくメタバースを活用するためにはNFTについての知識も蓄えておきましょう。
 
弊社では、メタバースプラットフォームを構築するためのサービス「Fabeee Metaverse Package」を展開しています。NFTと合わせてメタバースにも興味をお持ちの方は、ぜひ弊社サイトをご覧ください。

この記事の監修者:杉森由政

この記事の監修者:杉森由政

2018年2月Fabeee株式会社CTOに就任。現在は、新規事業開発部門の責任者を務めるともに、AIやブロックチェーンなどの先端技術を用いた研究開発も担当。また広島大学との連携研究においては、生体データを解析する人工知能および解析アルゴリズムの研究開発にも携わるなど、多岐に渡り活躍をしている。
>>プロフィール情報