投稿日 2024.01.30

最終更新日 2024.01.30

国際物流とは?物流の仕組みや業界の現状を解説

国際物流とは?物流の仕組みや業界の現状を解説

国際物流とは?

国際物流は海外物流とも呼ばれ、国と国の間で取引が行われる物品やサービスの流れのことです。つまり、国際物流は国内から海外への輸出と、海外から国内への輸入の両方に関わります。一般的に、国内物流ではほとんどが陸続きになっているため、トラックや鉄道などが主な輸送手段となっていますが、国際物流では他国とのやり取りになるため、輸送手段も異なります。日本は周辺を海に囲まれた島国ということもあり、国際物流の輸送手段は限られてしまいますが、陸続きの他国への輸送が可能な国では、国内と同様にトラックや鉄道を活用しているケースも少なくありません。
 
国内物流とは異なり、国際物流では輸出や輸入の手続きとなるため、輸送手段の選択やインボイスの発行、保税倉庫の準備、荷役、海外向けの梱包作業などの様々な業務があります。これらの作業には、取引を行う相手国の法律や手続きに関する知識が必要ですし、万が一トラブルが発生した時の対処についても確認しておかなければなりません。また、一般的には国際物流は国内物流に比べて輸送期間が長くなりやすいです。国内であれば、商品を注文してから1~2日以内に届くことも珍しくありませんが、国際物流では一定期間荷物を取りまとめてから輸送するため、数週間以上かかることも多いです。加えて、輸送コストが高額になりやすいため、国際物流を検討する際には利便性とコストの最適化について意識することが重要といえるでしょう。

国際物流の基本※輸送手段や手続き

日本での国際物流の輸送手段は、船舶と航空機に限られます。しかし、航空機は輸送コストが高額になるため、国際物流の99%が船舶を利用した海上輸送です。中でも、世界で統一規格にしているコンテナに荷物を積み込み、世界各国のハブ港や地方港湾を回るコンテナ輸送が主流となっています。
 
国際物流の手続きは、まず商品の梱包や出荷から始まります。荷物の準備ができたら、法律に基づき輸出の手続きや申告を行い、税関で審査を受けた後、輸出物検査、輸出許可を経て船便や航空便に搭載するという流れです。輸出入の際には、国内物流では使用しない輸出通告書や包装明細書(パッキングリスト)、仕入書(インボイス)、運賃明細書、保険料明細書などの書類も必要となります。
船便か航空便かでも必要書類や手続きが変わってきますので、漏れがないように、しっかり確認しておいた方がよいでしょう。

国際サプライチェーンの要素

海外との取引を視野に入れる企業が増え、日本でも国際物流に活気が見られますが、国際物流には国内物流では見られない課題もいくつかあります。例えば、海外との取引では多くの国や企業と関わることになるため、書類の言語や費用等の計算方法などが自社と異なる可能性も少なくありません。その結果、物流の過程が分かりづらくなったり、発注や発送の流れが国内とは大きく異なったり、トラブルが生じたりする可能性が高いです。商品の納入が間に合わなかったり、在庫管理が難しくなったり、業務が複雑化してミスが出やすくなったりと、海外物流ならではのリスクがいくつもあります。
 
このような課題の解決策の一つとして、国際サプライチェーンが挙げられます。国際サプライチェーンはグローバルサプライチェーンとも呼ばれ、製品の原料調達から販売、消費までのサプライチェーン全体を、国内に限らず海外拠点も含めて最適化する仕組みのことです。具体的には、国内だけでなく海外の拠点も含め、生産や販売に関わる関係者が情報共有を行うことで、互いに齟齬のない計画をほぼリアルタイムに共有することになります。これにより、適切な在庫管理や書類に関するミスなどを未然に防ぐことができます。

通貨と為替の影響

日本円で取引ができる国内物流とは異なり、国際物流では通貨と為替の影響についても検討しなければなりません。通常、国際物流では使用する通貨や支払時期をあらかじめ決めておきますが、為替は毎日変動するものですので、これに伴って損益が発生してしまいます。例えば、外貨に対して円の価値が下がる円安の状態では、輸出の利益は大きくなりますが、輸入では従来よりも金額が高くなるため、損失になりやすいです。もちろん、逆に円高になれば円の価値が高くなるので、従来よりも安く輸入できるようになりますが、日本の製品を輸出する際には利益が出にくくなります。
 
このように、国際物流では通貨と為替の影響を常に受けていますが、リスクヘッジ対策としていくつかの選択肢が挙げられます。あらかじめ指定した期日に取引する通貨の種類や値段で売買を実行するように金融機関に予約しておく為替予約や、外貨同士の金利と元本を交換する通貨スワップ、特定の通貨を前もって決めておいた期間や期日に、定めてあった為替レートで売買できる通貨オプションなどが代表的な対策です。

国際物流におけるテクノロジーの役割

働き方改革やDXなど、国内企業でも業務効率化について注目が集まっていますが、国際物流に関しても例外ではありません。国際物流では、海上輸送や航空輸送で荷物の運搬を行いますが、その際に運賃の見積もりや予約、各種書類作成、税関の審査など様々な業務を行います。これらの業務でデジタル化できる部分について、テクノロジーを使って自動化することを国際物流DXといいます。具体的には、手続き書類の電子化やロボット、AIによる荷物の管理、バックオフィス環境のデジタル化などが挙げられるでしょう。
 
国際物流をDX化することにより、複雑な業務を簡略化できるだけでなく、作業プロセスのデータ収集や分析を行い、新しいアイデアに活かすことも可能です。国ごとに平均的な輸送日数を可視化して在庫管理に活かしたり、発注のタイミングを決めたりすることもできるでしょう。物流業務のミスを減らし、作業の負担を軽減してスピードアップが期待できるだけでなく、経営戦略の面からもデジタル化の推進が積極的に検討されています。

国際物流の未来

感染症や紛争などで経済が停滞することはあるものの、世界的に見れば貿易量は増加傾向にあります。今後はコンテナ船の積載量増加、増便などが考えられるでしょう。一方で、物価や運賃の高騰はすぐには改善しないという意見が多く、国際物流に関わる企業にとっては、コストを抑えながら増えていく作業量をこなしていかなければならないという事態に。さらに、社会情勢の変化によって物流の需要が急増した場合には、運賃の急激な変動や輸送手段の確保が困難になるなど、従来の業務にも支障が出る可能性があります。国際物流に関わる際は、世界的な情勢の変化や経済に目を配りながら、いざというときに柔軟な対応ができるように準備しておいた方がよいでしょう。
 
そのためにも、国際物流の手続きや流れ、法律を理解して、自社に合ったデジタル化、作業効率化を進めていくことは喫緊の課題です。国内物流よりも求められる知識や作業量は多いですが、物流が安定した場合には、取引相手が国内から一気に世界に広がることになるでしょう。

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Fabeee株式会社は、システムの構築だけでなく運用定着まで徹底的に伴走し、お客様のビジネス成長に貢献しています。実際の事例として、国際物流サービスのフライングフィッシュ株式会社との対談を通じて、Fabeeeの『バンソウDX』の思想や価値を解説します。フライングフィッシュ株式会社は国際物流サービスを提供し、2023年にSalesforceを導入しました。本稼働を開始してから約10ヶ月間、導入と定着支援の過程を振り返りました。
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