投稿日 2024.01.25

最終更新日 2024.01.25

フォワーダーのDX成功事例を4選をご紹介

フォワーダーのDX成功事例を4選をご紹介

フォワーダー(forwarder)とは?

フォワーダーとは日本語で訳すと貨物利用運送事業者で、国際物流の貨物輸送を請け負ってくれるアウトソーシングサービスの事です。例えば、自社の製品を海外で販売したい時には、海外へ製品を運ばなければなりません。しかし、荷物をどうやって運んだら良いかや手続きはどうすれば良いのか、現地でどうやって配送の確保をすれば良いか等分からない事は沢山あり、色々と困ってしまうという企業は少なくありません。
 
こうした時に役立つのがフォワーダーです。フォワーダーは国際物流の全てを請け負ってくれるので、海外で自社製品を販売したい企業にとっては非常に頼りになる存在です。ただし、フォワーダー自体は製品輸送用の船や航空機を持っていません。複数の運送業者と提携して、最善の方法で製品を運ぶという形を取っています。では、具体的なフォワーダーの役割について、以下で詳しく見ていきましょう。

船や航空機を手配する

国際輸送の手配がフォワーダーの基本的な仕事です。輸送を希望する企業にとって、もっとも適切な方法を選び出し、それを提案して納得してもらったら手配の準備に入ります。輸送業者に連絡をして、輸送スペースを作ってもらい、それを顧客に提供し製品を運びます。また、一言でフォワーダーと言っても、海上輸送が得意な所もあれば航空輸送が得意な所もありますし、欧米に強い所もあればアジアに強いという所もあります。そのため、利用する場合は自社に適した業者を見つけるという事が重要です。

関係書類の作成

海外に製品を輸送する場合、例えば船なら船積書類といったものが必要となります。船積書類は製品を輸出する側が準備しなければならず、種類も保険関係書類や運送契約書等色々あります。しかも専門性も高い為、これらの書類をミスなく作成するのは専門知識がないと難しいです。そこで、専門知識を持つフォワーダーが企業の代わりに必要書類を作成します。

通関業務

通関業務もフォワーダーがやる事が多いです。製品は税関で検査を受け、許可を得なければ海外に輸出する事は出来ません。こうした手続きを行わず海外で製品を販売したり、手続きの際に不備があったり虚偽申告をした場合は、密輸となってしまう恐れがあります。そのため、海外貿易を行う場合、通関手続きは欠かせません。しかし、この通関業務は複雑でかなりの時間を要する作業です。フォワーダーを頼らずに自社だけで行う企業もありますが、スムーズに手続きを終わらせる為にフォワーダーに任せるという所も多いです。

製品の保管や梱包、配送業務

フォワーダーの仕事は、製品を輸送したら終わりという事ではありません。海外の輸送した先の港湾倉庫で商品を保管したり、トラックの手配をしたり、製品の梱包といった作業も行います。こうした製品輸送後のフォローもしてくれるので、フォワーダーに海外輸出に関する全ての業務を任せてしまうという企業も少なくありません。

フォワーダーのDX成功事例4選

フォワーダーのDX成功事例がいくつかあるので、詳しく見ていきましょう。

日立物流

日立物流は、IoTテクノロジーを使い、輸送事業者の業務効率化だけでなく事故を無くすサービスプラットフォームを開発している企業の1つです。例えば、ドライバーの生体情報や車両の状態を探知機で計測し分析する事で、リアルタイムで警告を出して事故を防いだり、車両管理や整備実績をデジタル化して、車両稼働率を上げたり管理工数の削減を支援したりしています。このように、輸送事業に関する情報をデジタル化して提供する事で、自社の競争力を高め日立物流は顧客の信頼を得ています。

SGホールディングス

SGホールディングスは佐川急便を傘下に持つ会社で、DXの推進に力を入れています。例えば佐川流通センターにおける仕分け業務のDXでは、無人搬送車で荷物を搬送して、仕分け作業を行う次世代型ロボットソーターを導入しました。それにより、生産性の向上だけでなく、どうしても人が行う事で起きる誤発送の削減や、人件費削減にも成功しています。また、AIを使った手書き伝票のデジタル化を進める事で業務の効率化も進めています。

商船三井

商船三井は、自社で開発したアプリにより、航行中の船舶から大量のデータを収集し、船の状態や位置等の情報をリアルタイムで陸上と共有する事が可能になりました。その結果、より安全に航行する事が出来るようになっています。また、商船三井が得意とする海上輸送を活かして、越境Eコマースサイトを使いアフリカに中古農機を販売する新規事業を始めたことにより、アフリカでは農業生産性が向上し、新たな輸出ビジネスにもつながるとして高い評価を受けています。

日本郵船

日本郵船は国際的海上輸送業を中心とした総合物流事業を行っている会社です。自動車専用船の運航スケジュール策定支援システムを開発する事で、運行担当者の業務の効率化につながりました。船舶ごとの運行データを収集する社内のシステムと連携させる事で、寄港地や積み下ろし台数を指定すれば、最適な航行スケジュールを提示してくれます。その結果、より迅速に意思決定が出来るようになっただけでなく、温室効果ガスの排出を減らすスケジュールの提示も出来て環境にも優しいという事で評価されています。

フォワーダーの今後の展望

フォワーダーにおける今後の展望としては、まだまだこれからも需要が高まり続ける可能性が高いです。何故なら国際貿易量は増加し続けており、物流業界全体の成長が見込まれるからです。
また、インターネットのさらなる普及により、個人等の小口の貨物輸送需要も増える事が予想されており、さらにビジネスチャンスは広がっていく可能性はあります。その一方で、環境に優しい物流ビジネスも求められているので、フォワーダーは電気や水素を使った新たな輸送手段を検討しなければなりません。
 
それから、AIやIoTといった技術の進歩で、より作業の自動化や効率化が進むという事も期待されています。自動運転技術や自動倉庫システムが導入される事で、より荷物の運送や保管がスムーズに行えるようになり、効率的に物流サービスを顧客に提供出来るようになります。
 
このように明るい展望がある一方で、課題が全くないという事でもありません。例えば国を超えた貿易がより盛んになる事で、政治や法律上の問題が出て来る事も十分考えられます。関税の問題でトラブルが起きたり、国によっては輸出入規制が厳格化されたりする事もあるので、より専門知識を持った人材の必要性が増していく可能性は高いです。また、海外貿易が活発になる事で、言語や文化の違いによって誤解が生じたり、トラブルが起こる可能性もあるので、多言語対応や文化的理解を深めるという事も必要です。
 
さらに、人手不足や高齢化の問題も無視出来ません。物流業界ではベテランスタッフの退職も問題になっており、新たな人材に入ってきてもらう為に労働環境を改善したり、人材育成も求められています。そして、価格競争もより激しくなる事が予想されているので、新サービスを開発する事で生産性を向上し競争力を高めていくという事が重要です。

Salesforceを活用して貨物の最新情報の連携を行った事例

Fabeee株式会社は、システムの構築だけでなく運用定着まで徹底的に伴走し、お客様のビジネス成長に貢献しています。実際の事例として、国際物流サービスのフライングフィッシュ株式会社との対談を通じて、Fabeeeの『バンソウDX』の思想や価値を解説します。フライングフィッシュ株式会社は国際物流サービスを提供し、2023年にSalesforceを導入しました。本稼働を開始してから約10ヶ月間、導入と定着支援の過程を振り返りました。
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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。