投稿日 2023.02.06

最終更新日 2023.02.06

DX推進の予算はいくら?補助金・助成金の活用方法も解説

DX推進に企業は予算をいくら掛けている?に注目、またどの程度推進出来ているのかを解説

DX推進に掛かる予算はいくらなのか?

DX推進のコストは、企業や計画の規模によって差があります。DX推進は第一段階「デジタイゼーション」、第二段階の「デジタライゼーション」、最終段階は「デジタルトランスフォーメーション」と段階的に進めていきます。それぞれの段階にかかるコストは、以下のとおりです。

第一段階「デジタイゼーション」

第一段階のデジタイゼーションでは、デジタル技術を用いて既存の業務の効率化を図ります。簡易的な顧客管理システムの導入は約40万円、業務システムを新規開発した場合は400万円以上かかるでしょう。搭載する機能によっては1000万円を超えるケースもあり、そのシステムの保守やメンテナンスにも費用がかかり続けます。

第二段階「デジタライゼーション」

提供する商品やサービスにデジタル技術を取り入れ、経営戦略に変革を起こすのが第二段階の「デジタライゼーション」です。IoTを用いた商品の開発費用には数十万~数百万円かかる場合があります。

最終段階「デジタルトランスフォーメーション」

デジタイゼーションとデジタライゼーションを実施しても、DXは完了しません。DXは、業務の運用方法や企業文化、組織体制などの企業の在り方を変革させることが目的です。継続して取り組む必要があり、そのためにはデジタル技術を担う人材の確保や組織体制の整備が重要になります。企業の規模によっては、億単位のコストがかかる場合があります。

補助金または助成金活用企業の活用の実態

補助金または助成金の申請して獲得できる金額

DX推進を推進している企業で補助金または助成金の申請によってどの程度予算を獲得できているのかを調査した結果。「100万円未満」が18.2% で最多となりました。
補助金または助成金の申請よる獲得予算

申請してる補助金または助成金の種類

DX推進で活用できる補助金/助成金、 「IT導入補助金」が56.4%で最多となりました。

申請してる補助金または助成金の種類

経営者・役員の実例から学ぶ!補助金/助成金申請の前にやっておくべきことは?

Fabeee株式会社は、DX推進において補助金/助成金を活用したことがある企業の経営者・役員110名を対象に、DX推進の補助金/助成金活用に関する実態調査を実施しました。活用した補助金・助成金の種類、獲得した予算やどのようなDX推進を行ったかをチェックして、貴社でのDX推進の参考にしてください。
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企業の平均予算はどのくらい DXが進まない理由は予算なのか?

DXコンサルティングや人材育成を請け負う「パーソルプロセス&テクノロジー」が2021年に公開した調査「社内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する実態調査」を基に解説します。調査の対象は、600社の経営層や部長以上の会社員で、従業員50人以上の企業に限定して実施されました。600社のDX推進に対する平均予算は4億8891万円です。一番予算を充てられた「バックオフィスのおけるDX」は、平均2億6263万円となっています。続いて、「営業活動におけるDX」は平均2億4197万円、「マーケティングにおけるDX」が平均1億8120万円、「テレワークの促進」に対する予算は平均1億7879万円です。

調査ではDX推進に対して十分な予算が確保されています。にもかかわらず、DXが進んでいない背景には「人材不足」と「DXの目的が不明瞭」の2つがあります。それぞれの詳細については、以下のとおりです。

人材不足

DXが進まない原因の1つが、人材不足です。2019年に経済産業省が公開した「IT 人材需給に関する調査 」によると、2018年時点で22万人のIT人材が不足しており、2030年には最大で約79万人のIT人材不足に陥ると予測しています。DX推進やIoT商品開発が普及していますが人材は不足し、将来的にも人材不足の問題は解決されない見通しであることが調査に記されています。デジタル技術を担う新たな人材の確保が難しくなっているため、残された手段は既存の人材の育成です。しかし、人材の育成には時間かかり、コロナ禍によって技術習得の場を確保しづらくなったことで、人材育成に二の足を踏む傾向が強まっています。

DXの目的が不明瞭

前出の「パーソルプロセス&テクノロジー」の調査結果にもあるように、予算を充てているのはDXの第一段階のデジタイゼーションにとどまっています。経理などのバックオフィスや営業活動にデジタル技術を取り入れることに注力しており、デジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションには至っていません。その背景にあるのは、DXの目的が不明瞭なことです。既存の業務にデジタル技術を取り入れ効率化を図ることは第一段階であり、デジタル技術を取り入れた商品やサービスを提供し、企業文化にデジタル技術を根付かせることが目的です。この目的が不明瞭なため、デジタイゼーションの段階で止まってしまったり、DXの重要性に気づけなかったりしています。

DX推進の助成金を活用する方法

多額のコストがかかるDXですが、助成金を受ければ費用的な負担を軽減できます。助成金と補助金の違いや活用する方法、注意点について解説します。

助成金と補助金の違い

補助金は国や自治体が提供している資金サポートで、予算や採択件数が決まっていることが特徴です。助成金に比べて補助額は大きいですが、コンペ形式で支給対象が決まるので、支給されない可能性もあるでしょう。一方、厚生労働省が提供する助成金は、条件を満たしていればサポートを受けられます。募集期間は決まっていないものの、締め切られる場合もあります。助成金と補助金、どちらも返済は不要です。

助成金を活用する方法

助成金は以下の流れで支給されます。

  • 実施計画書の作成
  • 計画書の提出
  • 計画の実施
  • 支給申請
  • 労働局による調査
  • 支給

それぞれについての詳細は、以下のとおりです。

実施計画書の作成

助成金を申請するのは、各都道府県の労働局かハローワークです。都道府県によって実施している助成金や募集条件が異なります。地域で支給されている助成金の種類や募集条件を調べましょう。条件を満たしていることを確認し、DXの明確な目的やそのために必要な設備投資などの詳細を記した計画書を作成します。計画書と申請書は、厚生労働省の助成金申請様式のダウンロードページからも入手できます。

計画書の提出

各都道府県の労働局かハローワークに計画書を提出しますが、その場では合否は分かりません。計画書は厚生労働省に送られ、審査には時間がかかります。

計画の実施

審査に通ったら、計画に沿って実行に移しましょう。助成金の種類によって計画を実行する期間が決まっているため、期間内に完了させる必要があります。事情があって期間内に計画を完遂できない場合は、期間を延長してもらうための変更届を提出します。計画期間が過ぎてからの提出は受理されないので注意しましょう。

支給申請

計画が完遂したら、助成金の支給を申請します。

労働局による調査

助成金の支給を申請すると、管轄の労働局から実地調査を受けます。計画どおりに実施されているのかを調べられるので、計画書や受領書などの書類を整理しておきましょう。

支給

労働局による実地調査に問題がなければ、助成金が支給されます。申請の混み具合で支給までにかかる期間は異なりますが、雇用調整助成金は支給までの期間が短く2カ月程度です。IT人材の育成に活用できるキャリアアップ助成金では、実施計画の申請から支給申請までにかかる期間が約7カ月、申請から支給までが3~8カ月かかるので、トータルは10~15カ月になります。

助成金を活用する際の注意点

助成金を活用する際には、以下の3つ点に注意しましょう。

  • 後払い
  • 申請前のDX推進の費用は対象外
  • 課税対象

助成金は、計画が完遂した後に支給されます。そのため、DX推進にかかるすべてのコストを確保しておく必要があります。計画途中で資金が尽き、計画を完遂できなかった場合は助成金が支給されないので注意しましょう。また、助成金は審査通過前の設備投資費は対象外です。DX推進は、計画書の審査を通過してから実施し、審査中に進めないように注意が必要です。助成金は課税対象になります。対価ではないので消費税はかかりませんが、雑収入として会計処理を行います。

DXの目的を明確にし、助成金を活用してコストの負担を軽減しよう

企業や計画の規模によってDX推進の費用には幅があります。しかし、既存の業務プロセスのままでは、市場やニーズの激しい変化に対応できず他社との競争で不利になる可能性があるでしょう。DXの目的はデジタル技術を経営戦略に根付かせ、企業の在り方を変革し、競争の優位を確立することです。企業力向上のためにDX推進を検討し、助成金を活用してコスト面の負担軽減を図ってみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。