投稿日 2024.01.29

最終更新日 2024.01.29

デジタルフォワーダーとは?フォワーダーの課題やデジタル化のメリットを解説

デジタルフォワーダーとは?フォワーダーの課題やデジタル化のメリットを解説

フォワーダー(forwarder)とは?

フォワーダーは、輸送手段となる船、航空機、トラックなどを所有しない貨物利用運送事業者のことです。荷主と直接契約をして荷を運ぶ運送業者はキャリアといい、フォワーダーとは異なります。フォワーダーの主な業務は、最適な輸送手段の提案と仲介ですが、通関業務や商品保管業務なども引き受けるのが一般的です。大型商戦や引っ越しなどで大量の荷が運ばれる繁忙期、通関業務でトラブルが発生したときなどは、フォワーダーは忙しくなるでしょう。
 
フォワーダーが必要とされる理由として、まず小口貨物を運びやすくなるというのが挙げられます。たとえば荷主がキャリアと直接契約をする場合、利益の少ない小口貨物のために多額のコストがかかる船、飛行機、トラックのチャーターなどできません。そこで、フォワーダーが小口貨物の荷主から荷を集め、目的地別に仕分けた上でまとめて大口貨物にしてから輸送の手配をします。コストは、一緒に運ばれる小口貨物の荷主で分担するので負担は少なくなり運びやすくなります。
 
他にも、荷主に代わって国ごとに異なる法律、通関手続きなどに対応できます。法律や通関手続きは、その内容を熟知して適切な対応を行わなければ、荷を目的の国に運び入れることができず、手続きに手間取って長い時間を要することもあります。もし、スムーズに荷を運べないとなると、場合によっては大きな損失が生じる可能性もあるので避けたいところです。個人や小さい会社が、法律や通関手続きのやり方を理解し、完璧な輸送の手配をするのは難しいので、フォワーダーに代行してもらうのが一般的です。以上のことから、フォワーダーという存在は国際輸送において重要な存在であるとわかるでしょう。

フォワーダーの課題

国際輸送における縁の下の力持ち的な存在といえるフォワーダーを悩ませる課題として、非効率な業務というものがあります。非効率な業務というのは、アナログなやり方で情報管理されているので属人化が起きている、輸送管理が自動化されておらず担当者の負担が重くなっている、などです。そうした状況では、荷主や荷受人が荷物の現在地を確認しようとしても、さまざまなところに連絡をしなければならず時間を無駄に費やすことになるでしょう。
 
さらに、各種手配では、電話やFAXなどのアナログな連絡手段が現役というのも珍しくありません。デジタルツールを使えば数秒で済む確認作業も、電話やFAXならば何分、何十分もかかってしまうでしょう。また、異なる言語や風習で生きる人間同士が電話やFAXでコミュニケーションを取る場合、連絡ミスや誤解が生じるリスクがあります。そうしたトラブルが起きないように、細心の注意を払って連絡を取ろうとすれば相当な時間が必要となるので、作業がスムーズに進まなくなるでしょう。非効率的な業務は、多くの人の負担を重くしてしまいます。
 
従来のやり方を変えるのは、簡単なことではありません。しかしながら、課題を解決したいのであれば、フォワーダーは非効率な業務から抜け出すための対策を講じなければならないでしょう。

デジタルフォワーダーの特徴

デジタルフォワーダーとは、業務で用いる情報をクラウド上で一括管理している貨物利用運送事業者のことです。これまで提供していた見積もり、予約、荷物の現在地調査などの業務がデジタル化され、プラットフォームにアクセスできる環境において、簡単に作業を進めることが可能になります。
 
デジタルフォワーダーの特徴は、情報のリアルタイム共有と、情報の可視化です。プラットフォームからシステムに入力された情報は、システムにアクセスできる人間ならば誰もが確認できます。もし、修正すべきことがあればプラットフォームから修正すれば反映されるので、伝言ゲームのように管理者へ連絡を入れて修正してもらう必要はありません。
 
情報の可視化は、情報のリアルタイム共有と密接に関わっています。過去にどのような工程を経たのか、現在どうなっているのか、これからどうする予定なのか、などの情報がリアルタイムでシステム上に表示されるようになります。あらゆる情報をシステム上で見えるようにすることで、関係者は荷が無事に輸送されているのか、次にどうすれば良いのかを把握しやすくなるでしょう。

デジタルフォワーダーのメリット

デジタルフォワーダーの大きなメリットは、業務が効率化されることです。情報がリアルタイムで共有される仕組みになっているので、荷主や荷受人が、荷物の現状を知りたいとき、即座に最新情報が手に入ります。そうなれば、船が止まっているなどのトラブルが起きたときに、代替品を送るなどの対策を素早く講じて損失を最小限に食い止められるでしょう。
 
即座に情報提供できる体制が整っていれば、デジタルフォワーダーの担当者も荷主や荷受人からの対応に時間を費やすことはなくなります。手が空いた時間を、より重要な仕事に回せるでしょう。
 
また、情報が可視化されていれば、作業工程も人目でわかります。何をしたのか、これから何をするべきかを繰り返し確認する必要がなくなります。確認作業をしなくて良い分だけ、人間の負担を減らせるでしょう。
 
他にも、デジタルフォワーダーのメリットには、海外の関係者とのコミュニケーションが取りやすくなるというのもあります。デジタルフォワーダーならば関係者に必要な情報を提供しやすくなりますし、翻訳ソフトやAIアシスタントの助けも借りてコミュニケーションがとれます。国境を超えてスムーズに関係者同士がコミュニケーションを取れる環境を構築できれば、国際輸送もしやすくなるでしょう。
 
コスト面でのメリットもあります。国際輸送では物流コストの増大が大きな問題となっています。物流コストが増大している原因はいくつかありますが、その一つが人手不足です。物流業界では少子高齢化や体力を使う仕事というイメージのために、新規就労者が増えにくくなっています。そのため、人を確保するために人件費が高くなり、結果的に物流コストも高くなるという次第です。そういった物流コストの増大は、荷主だけでなく荷物を最終的に購入する企業や消費者の経済的負担を増やします。
 
デジタルフォワーダーが、業務の効率化に成功したら、国際輸送で必要となる人も減るでしょう。人が減り人件費の削減ができれば、物流コストの抑制も図れます。削減できるのは人件費だけではありません。情報のやり取りで紙の書類を使わなくなれば、紙代とインク代が不要になります。電話やFAXを使わなければ、高い通信費も抑えられるでしょう。荷物がスムーズに運ばれると、港や空港の倉庫に保管する時間も短くなるので、保管費の削減も同時にできます。
 
デジタルフォワーダーでは、従来の業務に加えて付加価値のあるサービスも提供しやすくなっています。例えば、輸送日数や通関コストなどを踏まえて様々な経路をシミュレーションできる仕組みがあれば、荷主は納期やコストの面で最善の選択ができます。荷主が納得できる形で国際輸送ができるのは大きな魅力です。

Salesforceを活用して貨物の最新情報の連携を行った事例

Fabeee株式会社は、システムの構築だけでなく運用定着まで徹底的に伴走し、お客様のビジネス成長に貢献しています。実際の事例として、国際物流サービスのフライングフィッシュ株式会社との対談を通じて、Fabeeeの『バンソウDX』の思想や価値を解説します。フライングフィッシュ株式会社は国際物流サービスを提供し、2023年にSalesforceを導入しました。本稼働を開始してから約10ヶ月間、導入と定着支援の過程を振り返りました。
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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。