データクリーンルームとは?その可能性や仕組みについて解説

2022.04.15

2022.04.15

DXのあるべき姿を考える

データクリーンルームとは?その可能性や仕組みについて解説
Googleにおいて3rd partyが廃止されるなど、今後個人情報保護のための動きがより活発になることが予想されます。マーケティングを行う上で、こういった規制強化の壁に当たることはこれからも増えてくることでしょう。

そこで今注目を集めているのが、「データクリーンルーム」の存在。そこで今回は、広告効果の測定やユーザーごとに最適化された広告配信を行うための新しいソリューションである「データクリーンルーム」について解説していきます。

データクリーンルームとは?

データクリーンルームとは?

データクリーンルームとは、個人が特定できないデータにアクセスできる環境のこと。インターネットが普及して以来、企業にとってデータはマーケティングを実施する上で欠かせない存在となりました。しかし、企業が活用するデータの中には個人が特定できてしまうようなものも含まれることから、世界各国で個人情報保護の動きが活発に。Cookieフリー時代の到来も目前に迫る中、データクリーンルームは企業にとっての一筋の光のような存在となっています。

データクリーンルームを導入する最大のメリットは、3rd partyに頼ることなくより信憑性の高いデータから広告パフォーマンスの分析を行えること。データクリーンルームがあれば、PIIデータ(個人識別情報)を除去・加工した上で、あらゆるデータの分析に活用できるようになります。

データクリーンルームはなぜ話題になっているのか

データクリーンルームはなぜ話題になっているのか

3rd partyの廃止が近づいてきたことによって、データクリーンルームに対する注目度も上昇。Cookieフリー時代の到来が目前に迫り、これまでとは違う方法でより良い顧客体験の提供とプライバシー保護を両立させるべく、さまざまなソリューションが開発されています。

企業が広告効果の測定を行ったりマーケティングを行ったりする上で必要なのは、どういったユーザーに対してどのようなアクションが効果的なのかを知ること。しかしCookieフリー時代に突入すると、これまで活用していた3rd partyの活用が不可能となることから、ユーザーにフィットするアプローチが行いづらくなります。

個人が特定されることなくあらゆるデータをつなぎ合わせることができるデータクリーンルームは、これから訪れるCookieフリー時代を生き抜くために企業にとって欠かせない存在なのです。企業が叶えたいのは、「プライバシーの保護」と「より良い顧客体験の提供」。

データクリーンルームはこのどちらもを実現できる存在であるため、話題を集めているのです。

データクリーンルームの仕組み

データクリーンルームの仕組み

では、データクリーンルームはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。

データクリーンルームは、「プラットフォーマー」と呼ばれる多数のユーザーを抱えている企業から広告に関するデータを収集し、それらのデータを個人情報が特定できない状態へと加工した上で、もう一つの信頼できる外部企業のデータとを結合させてプライバシーの保護を実現しています。

個人が特定できない安全な状態のデータであるため、レベルでのユーザー情報を拾うことはできませんが、集約的なデータの活用が可能に。従来活用していた3rd partyのデータは、出所が不明であるというデメリットがありました。データクリーンルームの場合はブランド企業の一次データと、信頼できる企業の二次データとが結合されたデータであることから、より安全に活用できると言えるでしょう。

その特徴から、「Cookieに代わる存在」と言われるケースも増加。顧客に関する情報を保護しながらマーケティングに関わる活動が行えるようになるため、広告効果の検証や広告配信についてもまた新たな展開が期待できるのではないでしょうか。

データクリーンルームの事例紹介

データクリーンルームの事例紹介

データクリーンルームは、すでに国内の企業においても活用され始めています。国内最大の広告代理店である電通は、“cookieフリー時代”に対応すべくTwitter Japanと連携してデータクリーンルームの構築に着手しました。

「Twitter Data Hub Omusubi」(以下Omusubi)と名づけられたこのデータクリーンルームは、Twitterが保有する広告配信データやその関連企業が保有する1st partyと、電通が保有している2nd partyを掛け合わせた分析を実現。

Omusubiはすでに20件以上に及ぶクライアントとの実証実験を終え、実用化に成功しています。実際に大手外食チェーンでは、自社のアプリにて計測した購買行動のデータとTwitterに表示される広告の接触データとを組み合わせた分析を実現しており、Twitter広告に接触した場合と接触していない場合の差を可視化することに成功しました。

今後なくてはならない存在となるであろうデータクリーンルームの先駆け的実例として、国内でも注目を集めています。

まとめ

まだまだ発展の余地があると言える、データクリーンルーム。Cookieフリー時代を生き抜いていくためにも、導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。

3rd partyの廃止はもう目前に迫っています。プライバシー保護に関する意識はこれからも高まる一方となることが予想されていることから、今後「データクリーンルーム」という言葉を耳にする機会も増えてくることでしょう。

この記事の監修者:冨塚辰

この記事の監修者:冨塚辰

Fabeee株式会社のデータサイエンティスト。 広告代理店でオン・オフ問わずプロモーション領域を中心にプロデューサー、制作ディレクターとして国内・外資、幅広い業界のクライアントを担当。
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