投稿日 2021.11.01

最終更新日 2021.11.01

「BIツール」と「Excel」の違いとは?データ分析に欠かせないそれぞれの特徴を解説

表計算やグラフ作成などで使われるExcel。関数を利用してデータの集計に活用するなど、業務内で欠かせないツールとなっている企業も少なくないことでしょう。

一方、データ分析のためにBIツールを導入した企業も増えています。そこで今回は、BIツールとExcelの違いについて解説。それぞれのメリット・デメリットや、使い分けの方法についてもご紹介します。

BIツールとExcelの違い

近ごろExcelと同じような位置づけで活用されている、BIツール。まずは“BIツールとは何か?”というところから確認をして、それぞれの違いについて解説していきます。

BIツールとは?

BIツールのBIとは、「Business Intelligence」の頭文字を取った言葉です。デジタル大辞泉(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9)によると、Business Intelligenceとは“企業内に蓄積された膨大なデータを統合・分析・管理し、企業の意思決定に活用するシステムや概念の総称”のこと。企業でのビッグデータ活用が盛んになり始めてから、活用されるようになったツールです。

Excelを使ってデータの集計などを行う企業もありますが、データの量が増えることによって作業も複雑になり、動作も極端に重くなります。BIツールは、企業内に蓄積されているさまざまな種類のデータを集計・分析するのに最適。見た目のデザインなどは異なりますが、表計算ができたりグラフが作成できたりと、機能的にはExcelと同じような機能を兼ね備えています。

今では、企業にとってデータ活用のために欠かせないツールの一つです。

BIツールとExcelの違い

基本的には同じような機能を果たすBIツールとExcelですが、一番大きな違いは「それぞれが処理できるデータの量」です。先ほどもご紹介したとおり、Excelでは一度に大量のデータを扱うと、極端に動作が遅くなります。一方BIツールの場合は分析できるデータの量や対応可能なデータソース量、表示できるグラフの量などがExcelに比べて多く、大量のデータの抽出や分析に最適。レポート作成にかかる工数も少ないため、複雑なデータ分析にはBIツールの方が向いていると言えます。また、違う形式のデータも取り込むことができるので、異なる部署間のデータや異なる形式のファイルから抽出したデータの集計にもBIツールが心強い存在となります。

一方Excelは、大容量のデータの扱いには向かないものの、スポット的なデータ分析には役立つツールです。単一データからのグラフ作成や個人プロジェクトのデータ管理などは、BIツールよりもExcelの活用が向いています。

Excelでデータ分析を行う場合のメリット・デメリット

企業での利用頻度が非常に高いExcel。そんなExcelを使ったデータ分析には、メリットだけでなくデメリットもあります。

Excelを使ったデータ分析のメリット・デメリットを理解して、BIツールとの使い分けに活かしましょう。

Excelを使ってデータ分析を行うメリット

まずは、Excelを使ってデータ分析を行うメリットに目を向けましょう。Excelを使う一番のメリットは、初期投資のコストを低く抑えることができるということ。パソコンの初期ソフトとしてインストールされているケースがほとんどであるため、導入にかかるコストがかかりません。BIツールを導入する場合には、導入にかかるコストだけでなく毎月の維持費も数万円~数百万円ほど必要となるため、コストをかけずにすぐデータ分析のためのツールを用意したいというケースの場合には、Excelが役に立つでしょう。

また、Excelは誰もが触ったことのあるなじみ深いツールであるため、使用する上での不明点をネットで検索しながら解決できるというメリットも。使い慣れている人も多いため、有償のヘルプデスクなどを利用せずともデータ分析を行うことができます。

Web関数やデータベース関数などを駆使すれば、データの管理から分析までの一括管理も可能。すぐに使い始めることができるだけでなく、きちんとデータ分析を行えるなど、Excelにはさまざまなメリットが存在しているのです。

Excelを使ってデータ分析を行うデメリット

一方で、Excelを使ったデータ分析にはデメリットがあるのも事実。先ほどもお伝えした通り、大前提として大容量のデータ分析に対しては動作が重くなるなどのデメリットがあるため、利用するデータの量によってはExcelが作業の邪魔になってしまう可能性があります。ファイルが開かない、セルが挿入できないなど、データの量が多いと業務の足かせとなりかねないため、使うべき場面をきちんと見極めることが大切です。

また、BIツールとは違いExcelは違う形式のデータを一度に取り込むことができません。その上複数人での同時編集やデータの履歴の保存などができないため、複数人でデータを管理する場合には不便さを感じることも多いでしょう。

BIツールを使ってできること

大容量のデータを扱う際に有効なBIツールですが、一体どのようなことができるツールなのでしょうか。BIツールを使ってできることをまとめました。

データの可視化

BIツールは、データを可視化するのに最適なツール。あらゆるデータの収集から集計、分析、解析までを行い、レポートとして出力することができるため、ビジネスを俯瞰的に見ることができるようになります。

Excelに比べてより複雑なデータを可視化することができるため、高い次元で多角的な視野からデータを見ることが可能に。直感的で誰が見てもわかりやすい形にデータが可視化されるため、意思決定にかかる時間の短縮につながります。

将来の数値の予測

BIツールには、膨大なデータを解析しながら予測を立てるようなシミュレーション機能があります。分析による結果を基に最適な数値を計算することができるため、売上や収益などの予測からマーケティングを行うことができるようになります。

専門的な知識がなくても使えるツールであるため、誰もが使いこなすことが可能。このシミュレーションの機能を共有することで、業務の効率化にもつながります。

データからの新たな発見

BIツールのデータマイニング機能を活用することで、多くのデータから必要なデータだけを抽出することができるようになります。これにより、手動でのデータ分析では見えてこなかったような予測や法則性が見つかるケースも珍しくなく、新たな発見に出会えるチャンスが増加。

企業にとってビッグデータの活用が当たり前になった現代に、ふさわしい機能だと言えるのではないでしょうか。

BIツールとExcelの使い分け方

それぞれ得意・不得意な場面に違いのあるBIツールとExcel。場面に合わせて賢く使い分けることで、データ分析にかかる労力の軽減につなげることができます。どういった場面でどちらを使うのが有効なのか、それぞれのツールに合うケースをピックアップしました。

Excelが有効なケース・シチュエーション

Excelは、小さい範囲でのデータ分析に最適なツール。以下のようなケース・シチュエーションの場合は、Excelを用いる方が有利だと言えます。

単一の表・グラフを作成する場合

  • 個人的で他のメンバーと共有する必要のないデータの分析
  • 将来的にも更新の必要がない場合
  • データの数・入力にかかる負担が少ない場合
  • データベースへの許可が下りていない場合

Excelには、「大量のデータの使用には向いていない」・「複数面メンバーでの同時入力ができない」などのデメリットがありますが、上記のようなデメリットの心配をする必要がない場面では有効に活用することができるツールです。何より使い慣れている人が多いツールであるため、Excelが得意とするケースやシチュエーションでは賢く使いながら、BIツールとの使い分けを行うと良いでしょう。

BIツールが有効なケース・シチュエーション

BIツールは、大容量のデータや複数人での共有にぴったりのツール。以下のようなケース・シチュエーションの場合は、BIツールを用いる方が有利だと言えます。

  • 多数のデータを用いた分析
  • さまざまなデータソースを複合する必要がある場合
  • Excelへ入力するには入力の負担が大きすぎるケース
  • データベースへの格納が求められるデータ
  • さまざまな指標を基に細かい分析が必要となるケース
  • 社内外のメンバーとの共有が必要な場合
  • 経営判断のためのデータ分析が求められるケース

全社規模の大きなデータを扱う場合には、ExcelよりもBIツールの使用が適しています。また、自分以外の人間との共有が必要な場合にも、BIツールの使用がベターです。

まとめ

似たような機能を持つBIツールとExcelですが、それぞれに向き・不向きがあります。「ExcelからBIツールに乗り換えるべき」という考えを持つのではなく、その時々のケースやシチュエーションによってExcel・BIツールを使いわけることが、業務効率化への近道です。

それぞれの違いと特性を理解した上で、賢く使い分けていきましょう。

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー