投稿日 2024.04.18

最終更新日 2024.04.24

バックオフィスDXはなぜ進まないのか?必要な取り組みや成功のポイントを解説

バックオフィスDXはなぜ進まないのか?必要な取り組みや成功のポイントを解説

近年注目されているDXにはさまざまな取り組み方がありますが、見落とされがちなのがバックオフィスDXです。直接収益性に直結しないDX施策である一方、組織の生産性向上に不可欠なこのDX施策は、思うように進まないという企業も少なくありません。

この記事では、そもそもバックオフィスDXとは何か、なぜDX施策がうまくいかないのか、どのようなアプローチを検討すべきかについて、解説します。

バックオフィスDXとは

バックオフィスDXとは

バックオフィスDXは、その名の通りバックオフィス業務全般のDXを指す言葉です。バックオフィスは営業活動などとは異なり、直接企業の収益に貢献する業務は含まれない一方で、組織活動を維持する上では欠かせない存在です。

会計や勤怠管理、その他事務作業のように、どれだけ現場を効率化してもバックオフィス業務は発生するものですが、バックオフィスDXを推進することで、その際に発生する負担を最小限に抑えるなどことができるようになります。

バックオフィスDXが進まない理由

バックオフィスDXが進まない理由

バックオフィスDXは、他のDX施策と比較して普及が遅いことでも知られています。バックオフィスでのDXが思ったように進まない理由としては、以下の要因が考えられます。
改善点がわからない
バックオフィスDXはDXの方向性をバックオフィスに限定しているとは言え、できることはさまざまです。

そのため、DXによってバックオフィスの何を改善して良いのかわからない、あるいは現状である程度満足できているため、バックオフィスの何を変えれば良いのかわからず、そのまま放置しているというケースもあるでしょう。

DXの費用対効果がわからない

DXは最新のデジタルサービスを導入する取り組みであるため、実施にあたっては費用がかかります。DXが進まない企業ではそのような設備投資の発生や人員負担の増加を嫌い、なかなかデジタル化が行われないということも見られます。

バックオフィスは特に収益性にあまり関わりのない領域であるため、DXによって具体的にどれくらいの費用がかかるのか、そしてその費用に見合った結果を期待できるかといった見通しが得られないことから、後回しになるケースがあります。

適切なDX施策を実施できていない

バックオフィスの改善のためDXをやってはみたものの、期待していたような成果が得られず、DXが失敗に終わるケースも少なくないようです。DXを推進しているにも関わらずパフォーマンスが出ない場合、自社の課題にあった施策を選べていない可能性を考えなければなりません。

DXには多様なアプローチがありますが、その全てが自社にとって有益であるとは限らないものです。自社課題を正しく把握し、それに合った施策を展開できないと、成果を十分に得ることは難しいでしょう。

バックオフィスDXが進まない企業の特徴

バックオフィスDXが進まない企業の特徴

このようなバックオフィスDXの推進が期待できない組織においては、以下のような問題を抱えている可能性があります。一度自社の状況を振り返り、当てはまる要素がないか確認しておきましょう。

DXやITに関する知見が少ない・人材不足

バックオフィスDXに失敗しやすい企業の最大の特徴は、DXやITに関する知見が少ない、あるいはそういった分野への関心やスキルのある人員が足りていないことです。

DXは一度組織に馴染んでしまえば強力な導入効果を発揮しますが、施策をなじませるには相応の時間とスキルが必要になります。

特にこれまでITを活用してこなかった企業はこういった取り組みを主導できる人材が揃っていないケースが多いため、新たに人材を外部から獲得したり、専門家に相談したりすることが必要です。

DXに向けた仕組みづくりができていない

DXは思い立ったその日からすぐに設備を整え、最大限のパフォーマンスを発揮できるものではありません。DXを成功に導くための環境づくりにも取り組む必要があり、その仕組みを取り入れるにはある程度の時間が必要です。

まず、DXに不可欠なハードウェアやソフトウェアの導入に時間を要するのはもちろんですが、それらが社内に定着するまでの時間もかかります。また、デジタルツールを従来の業務に取り入れるべく新しい業務フローを検討したり、場合によっては働き方を見直したりする必要も出てくるでしょう。

既存の業務をあらかじめ見直しておかないと、せっかく便利なDXツールを導入しても、現場で使用されないまま従来の業務が継続されるというケースになってしまいかねません。

バックオフィスDXにおいて取り組むべき施策

バックオフィスDXにおいて取り組むべき施策

それでは、バックオフィスDXにおいては具体的にどのような施策に取り組むべきなのでしょうか。ここでは主なバックオフィスDX施策について、解説します。

ペーパーレス化

バックオフィスDXにおける代表的かつ難易度の低い取り組みが、ペーパーレス化です。社内で管理している帳簿類や名刺、その他あらゆる書類を全てデジタル化し、紙を使わずとも業務を遂行できる環境を整備します。

電子帳簿保存法の改正などが進み、現在はほぼ全ての書類が電子化された状態での保存や共有が法的に認められているため、紙媒体にこだわらないといけない理由はなくなりました。

ペーパーレスを推進することにより、企業は紙を使った業務に伴い発生する印刷コストなどの削減や、書類を保管するスペースの削減、そして紙を使って業務を遂行するという業務負担の削減などを実現できます。

実際、DXに取り組む多くの企業がまずペーパーレス化を目指すところからスタートしています。これからDX推進を始めようとしている企業は、まずはペーパーレス化から検討することをおすすめします。

RPAの導入

RPAとはロボットを使った業務の効率化システムで、ルーティンワークを自動化することができます。

データの転記作業や検索、エクセルでのデータ集計などの業務を自動化し、デスクワーク負担を削減します。これまでロボットの活用は製造業におけるベルトコンベア作業などに限定されてきたイメージがありますが、近年はホワイトカラーの業務にも積極的に採用されているのが特徴です。

コミュニケーションツールの活用

口頭の会話やメール、電話に限定されたコミュニケーションから脱却し、社内SNSやチャットツールを使った情報共有もバックオフィスDXの一環として注目されています。

コミュニケーションツールを活用することで、口頭での連絡に伴う負担を削減できたり、リモートワークの推進に繋がっています。また、メールの利用を控えることでセキュリティインシデントのリスクを抑えることにもつながることから、サイバー攻撃対策の強化を推進する上でも重要です。

バックオフィスDXを成功に導くポイント

バックオフィスDXを成功に導くポイント

上記のような施策を導入し、バックオフィスDXを実現するためには、以下のポイントを踏まえた業務の遂行が必要です。

既存業務の可視化を進める

まず、既存業務のフローや課題点を可視化して、どんなDXを進めるべきかを整理しておきましょう。

業務を可視化することで、どうすればDXを成功に導けるかを正しく把握することにつながります。

適切な人材を確保・教育する

DXを推進するためには、適切な人材の確保や専門家への依頼も必要です。正しい知見を持った人間に課題を分析してもらい、DX推進計画を立てることが求められます。

DX化を目論む業務を担当しているから、などという理由で既存社員にいきなりDX推進を任せるのは成功から遠のいてしまうおそれがあるため、DX推進を担当する社員はもちろん、その他の社員に対しても、業務のデジタル化に関する研修や各種支援を提供する計画も検討しておきましょう。

経営者も含めたDX推進を目指す

DX推進は情報技術担当者に任せるのではなく、経営者直下のDX推進部門を立ち上げた上で取り組むことが大切です。DX施策を展開するための権限が限定され、意思決定が遅れたり、現場での浸透が進まなかったりする事態を回避するためです。

経営者層のDXに対するリテラシーを高め、理解を促すこともバックオフィスDXには必要です。

まとめ

この記事では、バックオフィスDXとはどんな取り組みか、DXを成功させるためには何が必要かについて解説しました。これまでデジタル化とはあまり縁のない組織作りを進めてきた場合、DX推進には組織内でのリテラシーの向上、そして外部の専門家の存在も必要になります。

Fabee株式会社では、そんな企業のバックオフィスDX支援をサービスとして提供しており、専門家の知見からDX施策の導入サポート、そして施策運用のための教育支援を行っています。

DXを進めたいが、人材やノウハウが不足しているとお考えの際には、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。