AI(人工知能)とは?仕組みから活用事例までAIに関するイロハを解説

2021.07.01

2023.09.12

DXのあるべき姿を考える


AI(人工知能)は、ここ数年で人間の生活に身近な存在となりました。さまざまな業種に対してあらゆるメリットをもたらすと言われているAIですが、その正体について理解できていない人は少なくありません。
今回は、AIの基本の部分から活用事例まで、AIにまつわるイロハを解説していきます。

AI(人工知能)とは?


まずは、「AIは何なのか?」という基本のところから確認していきましょう。

AIの言葉の定義

「AI」は、「artificial intelligence(人工知能)」の頭文字を取った言葉です。人工的に人間の知的なふるまいが行えるよう開発されたことから、人工知能を意味する名前で呼ばれています。
どのような類のものがAIと呼ばれるのかという言葉の定義についてですが、実は研究者によってその内容は異なるのが事実です。明確な定義がないのには、理由があります。それは、そもそもAIの幹となる「知性」や「知能」といった言葉自体に、定義がないからです。総務省の平成28年版情報通信白書では、東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻の杉山将教授によって「人工知能という分野を定義することは難しい状況」とされています。
AIという言葉の定義は定まっていませんが、各研究者たちの定義に共通するのは、「人工的」・「知能」・「知性」といったキーワードです。AIとは何かを学ぶ上で、この3つのキーワードが中心になることを頭に入れておくといいでしょう。

AIの種類

AIとひとことで言っても、実はその種類はさまざま。機能などによってカテゴライズされていますが、使う場所や目的に合わせて最適なAIを選ぶことが大切です。
AIは、「特化型or汎用型」・「強いor弱い」のいずれかに分けられます。では、それぞれの種類の特徴についてみていきましょう。
 
【特化型と汎用型の違い】
特化型と汎用型の違いは、そのAIがどういった領域で自らの能力を発揮するのかというところにあります。ある個別の領域にて力を発揮するものが「特化型AI」、1つのシステムで自ら考えていろいろな作業を進められるのが「汎用型AI」です。
特化型AIは人間が普段行っている作業の効率を上げるのに有効で、画像認識や囲碁、チェス、自動運転システムなど、私たちの身近なところにも存在しています。一方汎用型AIは、工学的・生物学的な問題が山積みであるため、現時点ではまだ開発されていません。
続いて、
 
【強いAIと弱いAIの違い】
強いAIと弱いAIという言葉を聞いても、いまいちピンと来ない方がほとんどでしょう。「強いAI」とは、人間と同レベルの精神能力を持ち、人間と同じような動きをするAIのことです。わかりやすく言えば“ドラえもん”のようなもののことを指し、現時点では汎用型AIと同じく開発はなされていません。
対して「弱いAI」は、強いAI以外の“全てのAI”のことです。自意識がなく、人間が行っている行動の模倣であるAIが弱いAIと呼ばれています。自意識を持つ“強いAI”は現在世の中に存在しないため、今私たちの身の回りにあるAIは全て弱いAIであるということになります。
近年急速に進められている“DX(デジタルトランスフォーメーション)化”に活用されるAIも、“弱いAI”なのです。
最近でこそよく耳にするようになったAIという言葉ですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか。AIが現在の姿に進化するまでに、計3回の大きな転換期を経験しています。AIの歴史の始まりから各転換期の特徴までを、この章で解説しましょう。

 
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AI(人工知能)の歴史


最近でこそよく耳にするようになったAIという言葉ですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか。AIが現在の姿に進化するまでに、計3回の大きな転換期を経験しています。AIの歴史の始まりから各転換期の特徴までを、この章で解説しましょう。

1950年代から始まったAIの歴史

“人工知能”という概念の起源は、それより少し前の1950年にイギリスの数学者であるアラン・チューリングによって出された著書『計算する機械と人間』であると言われています。この著書の中でチューリング氏は、「機械は考えることができるか?」という問いを投げかけました。その後チューリング氏によって、“機械と人との会話が成功すれば機械が思考していることになる”という考えが生み出され、「チューリングテスト」と名づけられています。
その後、明確に“人工知能”という言葉が使われ始めたのは、1956年だと言われています。近代的な技術というイメージのあるAIですが、実は1956年に開催された「ダートマス会議」にてその歴史が幕を開けました。
人工知能の概念が確立されたこと、人工知能という言葉が使われ始めたことにより、研究者たちによるAIの研究は加速の一途を辿ることとなります。

【1960年~1974年】第一次AIブーム

“AI(人工知能)”という言葉が生まれたダートマス会議は、世界で初めて巻き起こったAIブームのきっかけなりました。AIの概念が科学の一つの分野として社会にも認識されていきますが、この頃のAIは「推論」や「探索」の研究が中心となっています。人間の思考過程を分解しながら答えを探索し、答えを導き出すのがこの時代のAIでした。オセロやチェスなど、ゲームに対する問題に対応するAIが中心となります。
第一次AIブームを語る上で忘れてはいけないのが、人類史上初の自然言語処理プログラムである「ELIZA(イライザ)」です。イライザは、テキストを使って会話ができるコンピューターのことで、人間が発した言葉に対し自動で応答するという画期的なシステムでした。今から50年近く前に開発されたイライザは、現代の私たちの生活に身近な存在である「siri」の起源になったとも言われています。
AIの歴史の中でも大きな一歩となった第一次AIブームですが、「ニューラルネットワーク」の壁の存在に太刀打ちできず、そのブームは終わりを迎えることとなるのです。ニューラルネットワークとは、AIのアルゴリズムのこと。当時は、1958年に開発された「パーセプトロン」というニューラルネットワークが使用されていました。
しかし、パーセプトロンは線形分離の方式で問題を解決するニューラルネットワークであるため、問題解決能力に限界があることが指摘されるようになります。
結果、条件に限度のある環境下でしか答えが求められないということで、第一次AIブームは冬の時代を迎えることとなったのです。

【1980年~1987年】第二次AIブーム

「推論」と「探索」が中心だった第一次AIブームの終わりの後、約6年間にわたってAIの冬の時代が到来します。ゲームや迷路のような単純な問題に立ち向かうことはできても、人間が生きる実際の社会で起こっているような複雑に入り組んだ問題には太刀打ちできないのではないか。このような疑念から、研究支援も減っていきAIの開発は一旦ストップしてしまいます。しかし、そんな冬の時代は“AIに知識をプラス”することによって終わりを迎え、次の新たなAIブームへと動き始めることとなりました。
第二次AIブームが巻き起こるきっかけとなったのが、「エキスパートシステム」の存在です。エキスパートシステムとは、第一次AIブームにた誕生したAIに、専門家のような新たな知識を教え込んだシステムのこと。エキスパートシステムの開発は第一次AIブームのころから行われており、細菌感染判定システムが開発されましたが当時は実用化にまで至りませんでした。
直線で分けて問題分離を行うことしかできなかった第一次AIブームの課題を、各分野の専門知識をAIにプラスすることで解決を図ったのが、第二次AIブームの大きな流れです。第二次AIブームで開発された技術は、現在のチャットbotやスマートスピーカーなどの基になる技術として活用されています。
しかし、今まで大きな課題とされていた部分を克服したかのように見えた第二次AIブームですが、また新たな壁に直面することに。専門知識を搭載させるエキスパートシステムには、インプットできる情報量に限界があります。第二次AIブームのころのコンピューターは、自発的に情報収集を行うことができませんでした。そのため、必要な知識は人の手で入力しなければならず、その知識にまつわる情報のヒアリングもまた人が行わなければいけません。
また、高度な専門知識が必要な限られた分野ではエキスパートシステムの力が発揮されましたが、人の日常生活の中にある“あいまいな問題”に対しては弱いのが事実でした。例えば、医者の代わりになるAIを開発する上で、患者から「体がなんとなくだるい」と伝えられた場合、情報が曖昧すぎてAIは診断を下すことができません。エキスパートシステムを日常生活の中で使えるようにするためには、この“曖昧な情報に対する正確な情報”を人間が細かくインプットしていかなければいけなかったのです。
この作業には、とてつもない時間と労力が必要になります。“知識を書ききる”ということの難しさに直面することになった第二次AIブームは、約7年の歳月を経てまた終わりを迎えることとなったのです。

【2006年~】第三次AIブーム

1987年から再び冬の時代に突入したAIの歴史は、2000年代に入り再び動き始めることとなります。第三次AIブームが本格的に加速し始めたのは、2006年ころ。1993年から2006年までは、第三次AIブームの土台づくりの年となりました。
1990年代に入り、コンピューターの性能が益々高まったことで、情報量もそれ以前に比べて爆発的に増加。1990年にはインターネット、2000年代にはスマートフォンが普及し、ビッグデータの到来とともに第三次AIブームは加速していくこととなります。一説によると情報量は、1年半ごとに2倍ずつ増えていると言われ、情報処理能力とともに膨大な量の情報の中から必要かつ正確な情報を読み取る能力が求められる時代がやってきました。
ビッグデータ時代が訪れたことで、注目を集めたのが「機械学習」と「ディープラーニング」という言葉。この二つの存在が、第三次AIブームを加速させるきっかけとなります。では、それぞれの意味について簡単にみていきましょう。
機械学習(Machine Learning)とは、機械が自ら学習すること。すなわち、AI自らが学習する機能のことを意味する言葉です。ここでいう“学習”とは、「分け方」という意味を持っています。増え続ける情報の中から確実に取捨選択するためには、より精度の高い「分け方」が必要です。機械学習の機能が開発されたおかげで、コンピューターはあらゆる状況下でも、大量のデータ処理を行いながら判断できるようになりました。
続いてディープラーニングについてですが、こちらも機械学習の一種とされており、機械学習と同じくコンピューター自身が学習する機能のことです。ディープラーニングは、膨大なデータの中から自動的に特徴を見分けてより深い学習を行います。この技術は音声認識や画像認識、異常検知、自然言語処理、レコメンデーションといった幅広い分野で活用されています。
現在まで、途中に冬の時代を挟みながら計3回のブームが巻き起こったAI。2021年現在はまた少しAI技術開発のテンポが落ちてきているとも言われていますが、AIの進歩は間違いなく私たちの生活を変えるきっかけになったと言えるでしょう。

AI(人工知能)の仕組み


人工的に作られた知能”であるAIですが、どうして人工的に知能を作ることができるのでしょうか。その仕組みに迫ってみましょう。

脳の仕組みとコンピュータの仕組みは同じ

エンジニアではない人間にとっても身近になったAIという言葉ですが、“人工知能”という言葉に違和感を覚える人は少なくないのではないでしょうか。知能という言葉に対して生物的な印象を強く受ける一方で、その前についている“人工”という言葉に対しては機械的な印象を受ける人が少なくないことでしょう。
人工知能という言葉に対する違和感は、まさしくこの相対する印象を与える言葉が並んでいることに対してなのではないかと推測します。血が通う生き物にのみあるとされる脳を、人工的に作るなんてことができるのか…。この疑問を抱くのは、エンジニアではない人にとっては自然なことだと思います。
しかしながら、人間が脳を使って瞬時にものごとを判断するとき、実は脳の中でコンピューターと同じような動きが起きています。人間の脳は、脳神経の中を電気信号が行き来することによって作動。一方コンピューターも、電気回路を流れる電気信号によってさまざまな計算を行います。
血が通うものと人工的に作られたものという点では遠い存在である脳とコンピューターですが、実は共通点があることをAIの仕組みを考える上で忘れてはいけません。

AIは脳の一連の動きを人口的に作り出したもの

AIは、人工知能が主体的に答えを導き出せるようプログラミングすることで、動作しています。ただ、プログラミングを用いて人工知能を作りだしたからといって、実際に使えるAIがすぐに完成するというわけではありません。人間も生まれてから日々経験と学習を積んで成長していくのと同じで、AIにもたくさんの“経験値”と“知識”を与えて初めてその場に合ったAIとなるのです。
AIというのは、あくまでも人工知能という概念であり、それだけで使えるものではありません。“一人前のAI”に育て上げるには、膨大なデータ処理を何度も行わせ、AIが主体的に答えを導けるよう学習させなければいけません。AIの歴史の章で解説した「機械学習」や「ディープラーニング」は、まさにこの“学習”の部分にあたります。
AIが主体的に答えを導くまでに行うデータ処理が、機械学習です。その事柄の特徴を掴んで法則化し、その法則を自動化するので、それ以降の再現性を作ることができるようになります。
この機械学習よりもさらに発展してより深いところに踏み込むのが、ディープラーニングです。ディープラーニングは、人間の脳の中にある神経回路をコンピューター上に人工的に再現したものです。
データを収集→データ読み込み(モデル学習)→システムの実装(プログラミング)
上記のような流れで、AIは作り上げられていくのです。

AI(人工知能)ができること・得意なこと


AIは、「単純な作業」・「データ同士を照らし合わせて共通点を見つけること」・「データを正確に処理すること」が得意です。そんなAIが“できること”と“得意なこと”をまとめました。人間がすべきことを知る上でも、AIの得意分野を知っておくことは大切です。

画像処理・音声処理・映像解析

AIは、テキストデータではないデータも圧倒的な精度で解析することができます。この調書を活かしたのが、他でもない画像処理や音声処理、映像の解析などの技術です。スマホのカメラ機能を起動すると、被写体の顔を認識して四角形のマークが出てくることかと思います。実はあの機能、AIの能力なのです。スマホの顔認証機能だけでなく、インターネットである特定のキーワードを入れて画像を検索する際も、AIの画像処理技術が活用されています。
自然言語処理に組み合わせれば、人の話す声を聞いてテキスト変換することも可能。人間も同じ作業ができますが、AIを活用することで早く正確に作業を進めることができます。
AIは、単純な作業を大量にこなすことが得意です。人間にとって時間のかかる単純作業は、AIを活用して効率よく進めることができます。

言語処理

AIはデータに基づいた単純作業を得意としているため、決まったセリフを発する場面や、ある程度決まった会話がなされる場面でも活躍してくれます。人が日常的に使っている言葉を認識・理解させ、処理を行うシステムは言語処理の機能として身近な場面で活用されているのをご存知でしたでしょうか。
ホテルのフロントなどでは、すでにこの言語処理機能を活用してAIが接客を行っているところも。言語処理の機能が発展すれば、ロボットによる接客が当たり前になる日もそう遠くはないかもしれません。

倉庫内作業などの単純作業

同じルーティーンを繰り返すような単純な作業は、AIの得意ジャンルです。コンピューターの中での計算や分析などの作業はもちろん、外部の世界でもその特技を生かすことができます。
実際、Amazon物流倉庫などではロボットが作業を行っており、AIの長所を生かしてビジネスに取り入れている企業も少なくありません。

数値化されていることを推論する

「明日、この商品がどれくらい売れるか」、「一週間後、この銘柄の株価はどうなっているか」など、データに基づいた推論もAIの得意技な一つです。統計データから未来の数値を予測することは、AIが誕生する前から行われていたことですが、実はAIはこの“統計モデル”をお手本に開発された技術でもあります。
機械学習やディープラーニングによって、統計のツールを活用するよりも早くより正確に推論の結果が求めることができるのです。

AI(人工知能)ができないこと・苦手なこと


進化を遂げ続けているAIですが、実は“できないこと”や“不得意なこと”があるのも事実。AIは、どのようなケースに対して「苦手」を感じるのでしょうか。

クリエイティブな作業

音楽を作ったり小説を作ったりできるソフトが開発されているため、一見クリエイティブな作業も得意としているように見えるAI。しかし、AIは予め学習した大量のデータに基づいて初めて動作するものであるため、1を10にすることはできても、0を1にすることは難しいのです。
人間が行うクリエイティブな作業も、その人が過去に見たり聞いたりしたものが原点になっている場合があるでしょう。しかしそこから生まれる全く新しい独創的なものと、AIが作った過去のデータに基づくものとはまた別物であると考えるのが自然です。

人の気持ちを汲み取った上での判断

人と人が仕事をしたり生活をしたりする上で欠かせないのが、コミュニケーションです。得意不得意はあるにせよ、人間関係を築く上でその場の空気を読んだり、相手の気持ちを汲み取ろうとする行動は自然と行なっていることでしょう。
人を相手とするAIですが、あくまでも“機械”。定型的な受け答えはできても、型からはみ出た質問に対する答えを考えたり、相手の気持ちを汲み取った上で判断することまではできません。
問題に対して正確な解を導き出すことはできても、人の気持ちを汲み取った上での解はまだAIには導き出せないのです。

明確なゴールがなく数値化できない課題

先ほど、AIは「数値化されていることを推論することが得意だ」と解説しましたが、その反対である「数値化できない課題」については苦手としています。仕事をする上で、臨機応変に解を変えるケースは珍しくありませんが、実はこれはAIが苦手としていることに該当します。
明確な解に向かうようなケースに対してはAIが力を発揮しますが、「なんとなくこっちのほうがいい気がする」という曖昧な答えを出すことはできません。人間の倫理観や文化、時代などに解が左右されるようなケースではAIは本領を発揮できないと言えるでしょう。

十分な量の学習データが用意できないケース

人間の場合、まだまだ人生経験の未熟な小さい子どもであっても、一度車を見ると次に車を見たときも「それは車である」と認識できるケースは珍しくない。一方AIの場合は、自分で考えて情報を記憶したり選別したりするわけではないため、少ないデータから解を導き出すことはできません。
AIがそれを車であると認識するためには、大量のデータが必要となり解との紐づけが必要となります。いずれは少ない情報でも解を導き出せるAIが誕生するかもしれませんが、今ある汎用型AI・弱いAIではこのレベルにまで至っていないのが現状です。

AI(人工知能)の活用事例8選

お掃除ロボットや自動車の自動運転など、日常的に活用されているAIの技術。今まで人間がやっていたことが、どんどんAIの技術へと入れ替わり始めています。
今現在、AIの技術はどのような業務に取り込まれているのでしょうか。活用事例をセレクトしてご紹介します。
 
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AIがコールセンターのオペレーターを支援

あらゆる企業で設けられているコールセンターですが、その運営に欠かせないのが電話業務を行うオペレーターたちです。コールセンターと言えばユーザーからの意見を受けつけたり、製品・サービスに対するアフターサービスを請け負ったりする部門というイメージがあります。しかし現代のコールセンターには、上記の機能プラス“顧客接点”の機能が求められ、ユーザー予備軍に対してのアプローチにも力を入れるところが増えているのです。
そこで活用され始めたのが、AIの技術。コールセンター業務の一部にAIを取り入れたり、コールセンター業務全てをAIに任せたりと、「AIコールセンター」と呼ばれるところが増えています。AIの機械学習機能搭載したチャットボットや、音声認識機能を使ってオペレーターの負担を大きく軽減。オペレーター育成にかかる費用や時間の節約にもつながり、今やコールセンターにとってAIは心強い存在となっているようです。

AI活用したフリマアプリでの売買

「フリマアプリを使って不用品を売りに出す」・「欲しいものはフリマアプリで安く買う」
こんな購買行動が普通になった現代において、フリマアプリ内でもAIの能力が活躍しています。
「mercari(メルカリ)」では、出品にまつわる手続きを簡素化するためにAIの能力を活用。他のフリマアプリに先駆けて発表された機能であったため、注目を集ました。
出品する商品の画像をアップロードすると、商品名やカテゴリ、ブランド、売れそうな価格帯などが自動入力され、出品にかかる負担を軽減します。また、その商品が違法ブランド品ではないか、未成年にも販売できるものかどうかなどもフィルタリング。安心・安全に売買できる場の構築にも、AIの力が使われています。

AIで食品製造の外装検査

食品製造の現場では、内容物・容器・包装に対して不良や欠陥がないかのチェックが常に行われています。このチェックは、“目視”と“検査装置を利用した検査”の二つの方法を採用。しかしそれぞれには、人員確保の問題や属人的なルール設定など、課題も挙がっていました。
そこで外装検査に導入されたのが、AIです。AIを導入することで、曖昧な基準に対応できるようになったり、異常品であると認識するためのパターンが多いケースにも対応できるようになったりなどのメリットが。
人間の疲労によるミスなどもなくなるため、安心・安全を徹底しなければいけない食品製造の業界では、非常に重宝がられています。

AIによる画像生成サービス

ユーザーがテキストで指定した内容から、AIがオリジナル画像を迅速に生成するサービスです。カスタムオプションで細部指定すれば、高品質な画像を作成することも可能です。近年では、アニメ・漫画・芸術といった分野でAIによる画像生成サービスが利用されるケースも増えています。

AIによる研修のロールプレイ

営業や販売スタッフの育成に欠かせないロールプレイ。近頃では、AIがロールプレイの内容を評価する事例が見られます。話し方の速度、表情、声の大小など、さまざまなポイントを数値化。これによって、ロールプレイの効果的な修得を判断します。

AIによるシフト管理の事例

人員の最適な配置やシフトの作成は、現場業務において頭の痛い問題です。従来のシフト管理は、総合的な判断力と経験が問われる難しい仕事でした。しかし、AIを使うことによって、シフトのさまざまな要素を考慮した人員の配置が、一定の精度以上で自動的にできるようになっています。シフトの作成にかかっていた時間を削減できるだけでなく、作業現場の効率化が期待できます。

土地や不動産の査定の自動化

従来は土地や不動産の査定というものは、人力で対応するしかないと思われていた仕事でした。しかし、近年では、マンション価格や土地査定がAIによって自動化することが可能です。過去の売買データから相場観を学習させることによって、土地やマンションの価格算出を実現しています。これによって、だれもが土地やマンションを査定できるようになり、査定結果に透明性を持たせられるようになりました。

AIによる顔認証技術と本人確認

AIを用いた顔認証を採用することによって、IDやパスを発行せずとも、高度な本人確認が可能です。建物やオフィスへのアクセス制御や金融取引での本人確認にも用いられるケースが増えています。本人の顔という唯一無二の個人情報を使うことによって、不正アクセスを防ぎ、セキュリティを向上させます。

AI(人工知能)の未来はどうなる?人間の仕事は奪われてしまうのか?


「AIが人間の仕事を奪ってしまうのではないか」
このような不安を抱える人も、少なからずいるかもしれません。確かに、今まで人間が行っていた仕事をどんどんAIに変えていこうという動きがあるのは事実です。
しかし、だからと言って本当にAIは人間の仕事を全て奪ってしまうような存在なのでしょうか?AIと人間の未来について考えていきましょう。

AIにまつわる歴史も繰り返される

1950年にAIの歴史が動き始めてから、早70年あまり。今まで計3回のブームを迎えながら、AIは進化を遂げてきました。“大変”・“しんどい”・“辛い”と言った人間のネガティブな感情を伴う場所に、進化したAIが寄り添わせることでAIは“とても便利な存在”として認識されています。
2014年には、以下のような発表もなされました。イギリス オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授たちの予測よると、「人間の仕事はAI・機械に変わることによって、現在の約50%ほどになる」そう。この予測は2014年から20年以内にという計算のもと出された予測なので、あと十数年ほどで人間の仕事はかなりAIと機械に奪われることになるようです。
しかし、このような文明の進化は、AIだけの話ではありません。新たな文明の機器が発明されるたび、もともとそれにまつわる仕事をしていた人は職を失ってきました。だからと言って、人が生きられなくなったのかと言えばそうではありません。
人々は新たな文明の機器が出るたびに、その機器を使いこなす仕事やその機器が開発されたことによって新たに生まれた仕事に就いてきました。「時代は繰り返される」という言葉がありますが、これからもこういった動きは絶えず繰り返されていくことでしょう。

AIは人の仕事を奪ってしまうのか

AIの技術の進歩によって、なくなる仕事はたくさんあると言われています。AIに代替される仕事は、農業や肉体労働、銀行窓口、カスタマーサポートなどの仕事です。他にもAIに代替されていくだろうと考えられる仕事はたくさんありますが、AIでは代わりのきかない仕事もたくさんあります。
AIの得意・不得意のところでもお話しましたが、AIは基本的に0を1にすることを苦手としています。そのため、各分野において必ず人間が優位になる仕事が残されているのです。人の心を読み取りながら取り組まなければいけない仕事や、センスが問われる仕事、AIエンジニアなどAIを作り上げる仕事も、人間にしかできない仕事でしょう。
大切なのは、仕事に対して常に向上心を持てるかどうか。AIに仕事を奪われないようにするためには、AIができないことに目を向け自分にしかできない仕事ができるかどうかが重要になります。
需要が減っていく仕事があるのに対し、間違いなく売り手市場になる仕事が出てくるのも事実です。臨機応変に対応するスキルをつけておけるかどうかが、AIに仕事を奪われるか奪われないかの分かれ目になるのではないでしょうか。

まとめ

AIの進化により、AIができることは今後もどんどん増えていくことでしょう。しかし、AIは魔法ではありません。学習に時間がかかったり、学習したこと以外はできないという短所も持ち合わせています。
弊社DXのホワイトペーパー「そろそろDXをわかりやすく」株式会社FabeeeのDXにまつわるPDFでも、AIについて触れているので、ぜひ合わせて確認してみてください。

AI
この記事の監修者:杉森由政

この記事の監修者:杉森由政

2018年2月Fabeee株式会社CTOに就任。現在は、新規事業開発部門の責任者を務めるともに、AIやブロックチェーンなどの先端技術を用いた研究開発も担当。また広島大学との連携研究においては、生体データを解析する人工知能および解析アルゴリズムの研究開発にも携わるなど、多岐に渡り活躍をしている。
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